初恋との再会①
「いやぁ賑わってますなぁ」
僕にそう話しかけてきたのは今年で5年の付き合いになる竜胆誠太だ。
「そうだな」
「そういうお前は何とも思わないんだな」
「当たり前だ。現実を見ればわかることだ。
「相変わらずだな」
そうたわいない話をしているが、竜胆もまたソワソワしているように見えた。
そういや竜胆の彼女が転入てくるとか何とか言ってたな…
ホームルーム終了後僕たちは体育館へと移動した。
そこで代表挨拶と共に転入生の紹介があるらしい。
周りが賑わっている中、僕は竜胆と話していた。
「楽しみだなぁ」
「嫌味か?」
「なんだ嫉妬か?珍しいな」
「そう意味じゃない」
「まぁ楽しみなのは確かだな」
「彼女が来るからか?」
「それもあるけど、転入生に対してのあいつらの反応がな。なんでも今年から募集したのに30人以上が転 入してくるらしい」
「それは何より」
「…絶対興味ないだろ」
「当たり前だ」
そんな話をしていると始業式はすぐに始まった。
いつも通り長い校長の話を聞き、ついにお待ちかね(一部の人のみ、まぁ大半だろうけど)転入生の紹介が始まり代表挨拶をし、始業式は終わった。
転入生のクラス分けはすでに済んでいるらしく担任と同じクラスであろう女子が何人か入ってきた。
自己紹介が済んだ後一人の女子(宮島ほのか)という名前になぜか聞きなじみがあった。
疑問を残したまま、帰宅しようとしたとき一人の女子が後ろにいた。
その子は僕に疑問を与えた聞きなじみのある女子本人だった。
「なにか?」
と声を発する前に僕は後ろに倒れた。
現状を理解できないまま顔を上げるとなぜか目の前に例の女子がいた。
「…?」
理解できないまま彼女をどかそうとするまえに
「…会いたかった」
と発せられた言葉に僕は困惑する以外何も考えられなかった。
それは周りの人間も同じで一瞬にして凝らすなうが静まった。
「君は誰だ」
とりあえず状況を整理するためにもそんな質問をした。
彼女がやっと顔を上げたかと思えば彼女の眼には今にもあふれそうな涙がたまっていた。
その顔もどこかで見たことがと思えば
「君”ほのか”か?」
「思い出した?」
「10年ぶりだな」
「うん!」
その優しい声にも聞きおぼえがあった。
年長を卒業して以来あっていなかった僕の”初恋”の子だった。