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ラトムリグの光芒  作者: 子鹿亭
1/1

0.はじまり

2021/09/19 投稿開始。


皆様はじめまして、子鹿亭と申します。初投稿となります。


稚拙かつ遅々とした進みになるかと思いますが、

お一人でも読んでくださる方がいれば最後まで書き続けるよう頑張ろうと思います。宜しくお願い致します。


はじめはふとした違和感だった。


PCの電源を着け、慣れた操作でここ1年毎日のようにプレイしているMMOを立ち上げようとした時だった。


「…ん?」


デスクトップ画面に見慣れぬアイコンが一つ増えていたのだ。


「ラトムリグ?なんだこれ?」


緑髪の無機質な表情の少女が描かれたアイコンに表示されているタイトルは、どうやら幻想世界ラトムリグとある。一見ゲームのタイトルのように思えるが、見たことも聞いたこともなければ、PCに入れた記憶も無かった。


「新手のウィルスとかかね。」


立ち上げた途端、個人情報が抜かれたりしないだろうか。そんな不安も過ぎり、普段であれば絶対に立ち上げようとはしない筈のそれを、その時はなぜか吸い込まれるようにマウスを握る手が動きアイコンを叩いていた。


するとアイコンに描かれた緑髪の少女が突然動き出し、背中に生えた天使のような翼をはためかせ、こちらに近づいてくるような動きから画面いっぱいに映り込んだ。


「なんだこれ、すげー技術だな。」


俺はアイコンのイラストが突然動き出すなんて想像もしていなく、感嘆の声を上げた。

すると少女は、透き通るがどこか無機質な声音で、こう語りかけてきたのだ。


――「はじめまして、我々の世界を救っていただけませんか?」


「ふむ。」


突然の事ではあったが、これはこのゲームのオープニング、または導入部分だろうと考え大人しく話の続きを聞くことにした。


――「世界の名はラトムリグ。魔王率いる魔の軍勢に人類種は追い込まれ、総人口は魔王出現前の半分まで減り、人々が住まう豊かな土地もその殆どが奪われてしまいました。」


魔王に世界が滅ぼされようとしている、どうやらこのゲームはよくあるファンタジーRPGのような世界観だと当たりをつける。しかし、状況を聞く限りのっけからヘビーな設定だなと思った。


――「私は魔の手から世界を救う可能性がある者を見つけ、その者の導き手となるためにつくられた存在、人工妖精のリムと申します。あなたのお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「キャラクターネームか。」


どうやらこの少女は人工妖精という存在らしく、ゲーム進行役のキャラクターと思われた。とりあえず、リムという少女に名前を伝えよう。ゲームで自分が扱うキャラクターの名前はいつも同じ、『オルト』で統一していた。本名をもじっただけだが使い慣れているし、今回も同じで良いかと考えた。


「ん?入力画面が無い?無いよな……、なんだこれ。」


いざ名前を入力しようとしたが、そのような入力画面は一向に出てこない。


俺がどこに名前を入力するのかと考えていたところ、画面の中の少女は困ったように首をコテンッと斜めに傾け、再度問うてきた。


――「あなたのお名前は?」


初めて人間味のある表情を見せた少女に不思議と目を奪われ、名前入力出来ないかとマウスやキーボードを操作していた手を止めた俺は自然と声に出していた。


「俺の名前は『オルト』だ。」


――「オルト様、ですね。記録致しました。」


音声認識?いや、おかしい。俺はフレンドと通話する場合を除き、マイクの電源はオフにするようにしているし、現に今もオフになっている。

この状況に妙な不安と冷や汗をかきつつ、何かを確かめるようにリムへと問いかける。


「リム、いくつか聞かせてくれないか。」


――「承知致しました。私にわかることであればなんなりと。」


ゲームのNPCキャラクターであれば、決められた定型文しか返せない筈だ。こちらの質問の意図が伝わらなければ沈黙か、はたまたわからない旨を返すはず。そう考えてのことだった。


「好きな食べ物は何かあるか?」


――「食べ物……ですか。私は食事を必要としない体のため食べることはないのですが、果実から香る甘い匂いにはどこか惹かれるものがあります。」


こちらの問いかけに対し、リムは非常に個性的な返しを見せた。その後も俺はいくつか質問を投げかけたが、その全てにリムはユニークな返事をしてみせたのだった。


ここまで来ても半信半疑ではあるが、半分はこの異常な状況がリアルだと受け入れてしまっているということでもある。


ここで大事な質問を一つ投げかけてみる。


「リム、もし俺がその要請を断った場合どうするんだ?」


――「私に強制する権利はありませんので、別の者を探すのみです。あなた程の適合者は居ないと考えますが、その場合は仕方ありません。」


「適合者とはなんだ?」


――「その質問は任務を許諾いただかないとお答え出来ません。」


「……いいね、その任務ぜひ受けさせてくれないか。」


俺はそう迷わず、是と返事を返していた。

不安が無いと言えば嘘になるが、変わり映えのない日々に突然訪れた非日常に、ワクワクしている気持ちの方が大きかったからだ。


――「任務受諾、感謝いたします。これよりオルト様を新マスターとして登録させていただきます。」


「それで、世界を救えと言っていたな。俺とリム、たったの二人ぼっちでか?」


――「はい、マスター。救えるとすればマスター、貴方しかおりません。」


選ばれし勇者とでもいうような、ゲームでは定番だが好みのプロローグだ。

そしてリムは胸に手を当て目を瞑り、祈るように言う。


――「世界を救いましょう。貴方と私、二人ぼっちで。……人類に光を。」






構想は練っておりますが、書き溜めてはおりません。

仕事の都合上、確約は出来ませんが週一ペースで更新出来ればと考えております。


まずは0話を読み、目に通してくれた方全てに感謝を。


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