表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

第10話 3の巻

かなり微妙な所で終わってます(笑)


続きは執筆中につき待て更新!



読んでいて気になる事などあったら気軽に感想へどうぞ。

何だかんだ言ってやる気が出ます。

孫策の先導で天幕に入ってみれば、

我が軍の会議用天幕と同じく簡易式のテーブルと椅子が数脚、

そして先客が2人、


「遅いぞ雪蓮、悪かったな神北殿」


1人は予想通り周瑜、だがもう1人は初見だ。


「いらっしゃいませ~神北さ~ん」


明るく挨拶してくれたのは眩しい程の胸……笑顔が印象的な美人、

背は俺より少し低く、明るい萌葱色の髪を肩まで伸ばしサイドが…どうなってるんだ?

ともかくこれまたアクアマリンのような明るい瞳にちょこんと小さな丸眼鏡、

服装は……やっぱ呉は暑い地方だからか全体的にはふわりと余裕のあるシルエットなのに、

何故か爆乳-そろそろ呉相手にはお約束になりつつあるな-の上乳が丸見えだし、

更にそこからお臍までざっくり切れ込みが入っていて可愛いお臍がこちらも丸見え。


そこまで露出しているのにニコニコ無邪気に笑っているのでエロスはそこまで感じない。


そんな美人に初対面でいらっしゃいとか言われたら、


「お邪魔します。

それで君の名前と住所と生年月日と今付き合っている人の有無…」


ナンパ開始します…、


リ~ン……チャキ!


「きさまこの期に及んで………!」


何でこの世界の人はそうやってすぐに暴力に走るかな、

まあ後ろに甘寧がいるのにナンパなんて始める俺が悪いんだが。


「……な~んちゃって!

はじめましてだよねお嬢さん?」


さっきの二の舞を演じるのは芸がないので他の突っ込みが入る前にやり直し。


「はい~♪はじめましてです~♪」


一応目の前で俺が殺されそうになったのに彼女の雰囲気に変わりはない…てか、楽しそう?。


「あら?穏は初対面だったかしら?」


孫策が声をかけてくれたので助けてくれるのかと思いきや、

完全スルーで話を続ける。


ならば、


「ああ初めましてさ」


俺もスルーで対抗すると、

一応孫策が間に入ったと判断したのかやっと首筋から刃が外れる。


「………チッ!…」


今舌打ちされましたよ!?甘寧さん怖いわ~。


「それなら穏、自己紹介しておきなさい」


「は~い~♪

改めて初めましてです~。

姓を陸、名を遜、字は伯言、

冥琳さまに師事して孫家にお仕えさせていただいております。

以後お見知り置き下さい」


袖を胸の前で合わせ正式に挨拶する陸遜さん。


「おおあなたがあの……私は姓を神北、名を隼人、

異国の生まれなんで字がないから好きに呼んで下さい」


丁寧に挨拶されたので返礼したんだが陸遜さんは難しい顔になり、


「ご丁寧にどうもです~……でも『あの』とはどういった意味でしょ~か~?」


小首を傾げで頭の上に疑問符が浮かぶ……可愛いなちくしょう。


「おおっと申し訳ない!

いや、部下から孫策殿の所に本の熱心な収集家がいらっしゃると聞いておりまして、

まさかこんなに美人で器量良しとは思わなかったのでつい……」


さらっと『あなたの陣営の偵察をしてましたよ』という意味の揺さぶりをかけるが、


「そんな~私なんてまだまだ若輩者で~…」


陸遜さんは別の所気にしてるし、


「………」


周瑜は表情に何の変化もない。


(なかなかヘビーな話し合いになりそうだ)


覚悟はしていたが更に覚悟を決めて会談の席につく。


「それじゃあ挨拶も終わった事だしちゃっちゃと話を始めましょう」


全員が席についたのを見計らって、

まず口火を切ったのは孫策。


「単刀直入に言うと隼人に来てもらったのは曹操軍への橋渡しをしてもらいたいからなの」


「…橋渡し?」


「そう、橋渡し。

……明日の虎牢関への先鋒は我が軍に決まったわ」


「………は?」


かなり単刀直入な話のようなので必要最低限の合いの手しか入れる気なかったんだが、

今の内容には流石に目が点になるのは防げなかった。


「もう一度聞かせてもらって良いか?明日が何だって?」


聞き間違いであってほしいのでたまらず聞き返す。


「だから明日の先鋒が我が軍に決まったのよ」


何でもない事のように繰り返す孫策だが内容はそんなわけにはいかない。


先程甘寧を弄るのに使ったように孫策軍は袁術軍の客将であり、

単体の勢力で言えば劉備軍と変わらない弱小軍だ。


流石に練度で言えば劉備軍とは天地の差があるとはいえ、

堅牢でなる虎牢関への先鋒を任せるなんて自殺行為以外の何物でもない。


「また袁紹の指示か?」


こんな時思い出すのはやはり馬鹿袁紹、

なんてったって前科がありますんで。


「いいえ袁紹ではなく袁術ちゃんの方よ」


「………袁家ってアホばかりか」


にごりと微妙な笑みを向ける孫策の方を見る気力もなく頭を抱えテーブルに崩れ落ちる。


何故袁家の人はそんなに無理矢理な人事をするのが好きなのか?


「力抜けちゃうわよね~?あれだけ大口叩いておいてこれだもの…」


……脱力とは違う意味で頭が上げられない、

はっきりとわかる程の勢いで孫策から冷気が溢れている。


「雪蓮、そこらでやめておけ。

話が進まないではないか」


周瑜が間に入って孫策の気配が沈静化したので頭を上げる。


「そうだぞ、悪いのは俺じゃないだろ?」


「………そうね。

悪いのは袁術ちゃんだものね?ふふふ……」


そっぽを向いて笑う孫策からは俺への圧迫感はなくなったものの、

はっきりと指向性を持った事で先程に倍する冷気が。


だがとりあえず俺に被害はないので周瑜に目線で感謝。


そして話が脱線してしまったのでお茶を飲んで仕切り直し。


「それで、孫策の所が先鋒になったのはわかった。

だけどそれなら俺じゃなく華琳に直接援護要請すれば良いのでは?」


自らの軍の損害を最小にしたいのはわかるが、

それなら俺-所詮一武将-ではなく華琳に直接要請するのが筋としても正しいだろう。


「そこなのよね……」


俺のもっともな意見に孫策が表情を消す。


「今の状況で援護を要請すると私が曹操軍に出向いて要請しなければならない……」


「当然だろう?」


これは残酷ながら現実問題軍の規模として仕方ない。


援護要請はこのような場合普通に行われるが、

それにしたって倍以上の兵数の陣営に要請しておいて主が直接頼みに来ないなんて失礼過ぎる。


これが反対なら伝令…は、やり過ぎにしろ、

下級将校辺りでも失礼に値しないんだが。


「……まさかそれが不服なのか?」


まさか孫策がそんな筋の通らない事を言う訳がないとは思うが。


「少し良いか隼人殿?」


俺の問いに答えが帰ってくる前に周瑜が発言する。


「どうぞ」


「すまないな、雪蓮からは言いにくいだろうから私から説明させてもらう」


遂に孫策の懐刀たる周瑜の登場か、

人知れず気合いを込め直して相対する。


「心苦しいのだが我等の立場を考えていただきたい。

先代の頃は江東一帯を治め隆盛を極めたが、

先代の急逝の隙に豪族共の反乱等の外部要因により袁術の下に付かざるをえなくなった…。

そして今回の袁術の暴走ともとれる用兵による被害、

これで我等の兵の士気は著しく減退した。

この上他の陣営に我等が主君が頭を下げに行けばどうなる事か……」


流石は呉の柱石にして筆頭参謀、

別に身振り手振りで説明しているわけでもないのに説得力と求心力がダンチだ。


しかし俺だって華琳の下で桂花ないし秋蘭とのディスカッション-やりこめられる確率8割だけど-を経験しているんだ、

そうそう簡単に丸め込まれるわけにはいかない。


「……話はわかるが……はっきり言えばそれはそちらの都合であって我等が軍が融通を利かす理由にはならないな」


しかし不思議と言えば不思議だ。


こんな事は周瑜所か凪や真桜等の武将だってわかるくらいの自明の理である。


「当然隼人殿に便宜を計る用意はしているのだが?」


俺の言葉を聞いていないかのように続ける周瑜。


「便宜?」


「ああ、金銭ならある程度用意出来る」


何でも無い事のように表情は笑顔のままだ。


「くっくっくっ…金はあっても困らないが、

俺がそれに興味をもつと思うか?」


こちらは若干カチンと来たが冗談だろ?と流そうとするが、


「色がお好みなら…私で足りるなら…だが?」


淫靡と言ってよい艶を表す周瑜、

それに対して何の反応も示さない孫策と陸遜だが、

俺は気付いた…隅に控えた甘寧が僅かだが動揺を示したのを。


「それは周瑜殿が一晩お相手して下さると?」


「下さるなどと。

私自身隼人殿に好意を持っております。

こういった場ですからお疑いかもしれませんが…」


本当に悲しそうに顔を伏せる周瑜は可憐な雰囲気で守りたくなる……普通ならば。


「美周朗の名を持つ周瑜殿にそこまで言われて断る男は無粋と言う物だろうな…」


相好を崩しニヤニヤと周瑜のグラマラスな肢体をねめつける。


だが心の中は表面上とは正反対、

自らの信を金や色で変えられると考えられている事にマグマのように怒り…いや憤怒し煮えたぎっている。


「それでは?」


政治家の顔に戻り先を促す周瑜に、


「そうだな…だがそこまでの取引なら孫権殿もつけて…」


発言の途中で狙い通り空気が動く!


今の今まで隅に控えていた甘寧が一瞬で間合いを詰め、

今までは動く度に鳴っていた鈴が動いた後に鳴る程のスピード。


だがそれが狙いだった俺は慌てずに甘寧の片刃の剣を受け止め…、


「「!!」」


ギャキン!


ようとした瞬間甘寧へと棒手裏剣が投擲され、

紙一重で甘寧が剣で弾く!


その隙を見逃さず甘寧の手首を捕らえ取り押さえる。


肩の関節をきめて地面に押さえつけた甘寧が叫ぶ。


「……冥琳さま!何故!?」


そうなのだ、今の棒手裏剣-よく見るとかなり刃幅が広い-は周瑜が投じた物だ。


「わきまえなさい興覇。

あなたが刃を向けたのが誰かわかっていればわかる事でしょう?」


声を荒げる甘寧に冷静に諭す周瑜。


「………」


なんだろ?非常に置いて行かれている感覚がする。


「ですが!事もあろうにこやつは蓮華さまに対して!?」


「それでもわきまえなさい」


危険はなさそうなんで甘寧の拘束を解く、

当然ながら武器はとりあげてだけどね。


「興覇、あなたは今回の会談に相応しくなかったようだな。

蓮華さまの護衛を明命と交代してきなさい」


声を荒げるでもなく険しい目を向ける甘寧に正面から告げる。


甘寧の後ろ姿しか見えないので予想だが、

かなり悔しそうな顔してるんだろうな。


と、考えていたら甘寧がクルっと振り向き俺に手を差し出す。


「…仲直りの握手?」


いきなりなんでシェイクハンドしようと手を差し出すと、


パシン!


叩き落とされた。


「……鈴音を…」


「鈴音?」


先程までの激昂が嘘のように静かな瞳でこちらを見て来る甘寧、

静かに呼ばれた鈴音……あ~!?


「悪いこの刀の事か!?」


取り上げたままだった刀を返すと足早に天幕の出入り口に向かい、


「失礼致します」


一礼を残して出て行く。


「「「………」」」


非常に微妙な空気に…あれ?なってない?


「……ぷっ♪冥琳?虐め過ぎなんじゃないの?」


今の今まで沈黙を守っていた孫策が軽い雰囲気で振れば、


「思春は今後の我が国の武の柱石とならねばならん人材だ。

端から見て厳しい位で丁度良いのよ」


周瑜も柔らかな笑みで返す。


え?どゆ事?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ