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歩み続ける毎日へ  作者: 辻 琉翔
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淡い期待

 ずっと画面の向こうにいた。ずっと手の届かない場所にいた。そんな存在だったはずなのに、今は目の前にいる。私はやっと来てしまった。この人たちの目の前に・・・。


 この人たちと出会ったのはいつ頃だろう。どうして出会ってしまったのだろう。どうして直接会いたいと願ってしまったのだろう。

 一目見た時に心を持っていかれてしまった。いわゆる一目惚れってやつなのかもしれない。歌う姿、メンバーとの関わりで見せる笑顔。そのどれもが素敵で気づいた時には釘付けになってしまった。

 都内を中心に行われるライブ。このグループを知った時に何度行きたいと思ったことだろう。しかし、金銭面に余裕がなかった私は毎回諦めていた。

 ライブ後に配信される動画などを見て、何度も羨ましく感じたことを覚えている。こんな素敵な方達を生で見ることが出来る幸せ・・・。羨ましすぎる。

 意を決して応募してもチケットは当たらず、正直諦める寸前だった。きっと縁がなかった。私にとってこの人たちは動画の中だけの存在。そう言い聞かせてきた。


 しかし、今回のチケット抽選では「当たったら行こう」と軽い気持ちで応募したら当たってしまった。「やっと会えるんだ!」という嬉しい気持ちと、「会っても私のこの気持ちが伝わることは無い」という当たり前の感情が入り交じってしまった。

 そんな中に生まれる感情は「期待」だった。

 どんな些細なことでも優しくされてしまうと「この人と私は結ばれる可能性はあるかな」と普段ではありえないくらいのポジティブ思考が働く。楽しい時間、幸せな時間はすぐに過ぎてしまうが、その後に残るものは虚無感。

 1度味わってしまった幸せはもう一度欲しくなるのが人間だ。優しくされたい、もう一度あの姿を見てみたい。人間は貪欲だ。可能性が1つ達成する事に欲は段々と深くなっていく。そして、自分を制御できない人間もいる。1度味わってしまった喜びを、温もりを忘れられず、「好き」という感情ばかり積み重なって結果自分を苦しめ続ける。


 決して叶うことがないと分かっていても「期待」が私の中で大きくある限りこれからも苦しみ続ける。

 嗜むことを知らない人間の末路なのかもしれない。

「期待」とは必要な感情だが、一つ間違えてしまうと自分を苦しめる材料になってしまうことを私はまだ理解できていない。

楽しい時間の後にくる虚無感って、なんであんなに苦しいんでしょうか。

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