来週からは、気をつけます
(イザベルが天使でモテるのは、仕方ないけど……)
(……カナさん)
今回の彼らは、色々と酷かった。後半は言葉にしなかったが、前半の言葉に照れる現世の私に和む。そんな私の前で、不意にラウルさんが跪いた。
「聖女様……力になれず、申し訳ない」
「ラウルさん……いえ、私も未知の環境で隙があったのかもしれません。来週からは、気をつけます」
「来週も、来てくれるんですか!?」
私とラウルさんとのやり取りに、割り込んできたのはエマ達ではなくナタリーだった。驚いたが、確かに、人によっては今の非常識なやり取りで辞めてしまうかもしれない。けれど、私にそういうつもりはない。そもそもが王命だし、困ったがこうして無事だったのだから。
「確かに、驚きましたが……ナタリー先生も、ラウルさんも。そして、殿下達も私を守ろうとしてくれました。これくらいで、辞めませんよ」
「……良かったぁ~」
「ナタリー先生!?」
私の言葉に、安心したようにナタリーが声を上げ、涙目でその場にへたり込んだのに焦った。そんなナタリーに、ラウルさんが真剣な表情で言う。
「聖女様が望むなら、俺はただ守るのみ……だが、当初の保健室で生徒の話を聞くことは、見直してほしい」
「そうですね、解りました……制服の予備などを置いている、小部屋があります。まず寄り添い希望か冷やかしかを保健室で確認して、それから小部屋に通しましょう」
「頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いします……あの、ただ毎回ではないにしろ、私もイザベル先生の寄り添いを拝見して良いでしょうか?」
「勿論だ。俺は小部屋の前に立っているから、急病人が来たら声をかけよう」
「ありがとうございます」
最初、どうなるかと思ったがラウルさんとナタリー先生は、私を守るという共通の目標が出来て纏まったようだ。安心したところで、私は助けてくれたエマ達にお礼を言った。
「ありがとうございます。本当に、助かりました」
「そんな! イ……お姉さまを助けるのは、当然のことですよっ」
「ああ、エマの言う通りだ」
「気にすんなよ、聖女!」
「同感です。初日からご迷惑をおかけしましたが、今後も可能な限りお守りします」
「ありがとうございます」
笑顔で頼もしいことを言ってくれる面々に、私も笑顔でお礼を言った。そして小部屋の整理をし、ラウルさんと修道院へと戻った。
ラウルや殿下達に叱られたので、次回は落ち着いてくれるかと思っていたら――一週間後、出勤した時に状況は一変していた。