異世界で良い気分で論破してたら突然殴ってきたので、喧嘩になったんだけど、結局なんとかなりました~奴隷ハーレム欲しいです、それとついでに悪役令嬢とか、とにかく何でも欲しいです~
俺の名前は佐藤那音、歳は17歳で、身長は175cmで、高校3年生のイケメン男子だ。
西暦2000年生まれで、普通の家庭で育って、普通より少しキラキラネームで、そして顔は普通ではなく超イケメンだ。
イケメンなのだけど、本当に本当に不思議なのだけど、何故かこれまでの人生で1度も彼女ができた事がないのだ。
まぁ彼女ができない理由は知っているさ。
俺がイケメンすぎて、声をかけるのも顔を見るのも恐れおおいのだろう。
まぁ今はそんな事はどーでもいい。
今考えるべき事はそーじゃないんだ。
「キサマいつまで黙ってるつもりだ! さっさと王の質問に答えんか!」
4月になって、俺は高校3年に進級した。
進級するとクラス替えがあったから、だから俺は彼女を作って童貞を捨てようとした………あ、いや、そーじゃない。
俺は青春の1ページに新たな出会いを夢見たのだ。
見てたのだが……
なのに……そんな夢を見ていたのに……
クラスで一番の美少女とお付き合いするはずだったのに……
教室の扉を開くとそこには美少女はいなくて……
「おいキサマ! いいかげんにしろよ! 大臣様も聞いておるであろうが!」
扉の先にはむさ苦しいオッサン達しかいなかった。
教室の扉を開けたら、王様というハゲと、大臣というハゲと、ムキムキの兵士が待ち構えていたのだ。
だから俺はキレた。
何故かと言えばこんな状況ではキレるしかないからだ。
俺はキレたと決心すると、さっきから何かピーピーと喧しいオッサン連中に向けて口を開いた。
「それはどーも失礼しましたね。こちらとしても突然の事態で混乱していたものですから。それで勇者の俺に魔王を討伐して欲しいとのことですが、その件につきましては、こちらとしてもすぐにはお返事できないのです。事が事ですし、この場ですぐに、というわけにはいかないんですよ。 というかですね、そもそもですね、コレって脅迫ですよね? そちら様は一応相談の体を取っているみたいですが、見たところ兵士は50名人以上いるみたいですし、それと兵士さんが入り口を塞いでますよね? それってやっぱり私を逃さないためなんでしょう? 大臣様も兵士長様も、出会ってからずっと横柄な態度ですし。つまりハッキリ言えば私は激怒しているんです。先程は一考するといいましたけど、ぶっちゃけるとですね、魔王なんかよりも、むしろあなた方を討伐したいくらいなんですよ? その辺理解できてますか?」
う~ん40点だな。
初戦でさっさと論破したかったけど、つい俺もイライラしてて、話が変な方にいってしまった。
まぁでも論破はできなかったが、イニシアチブを取る事には成功できたようだ。
大臣も兵士長も、壇上でデカイ椅子の上でふんぞり返ってた王様も、怯えて青くなった顔で俺を見ているし気分が良いな。
そんなアワレな顔をした異世界の上流階級っぽい、偉そうなバカどものバカ面を見て満足した俺は、この絶好の機を逃さないように、更に続けて攻め立てる事にした。
「なぁ王様さんよ、アンタ何か勘違いしとりゃせんか? アンタは偉い王様なんだろうけどさ、だからってべつに俺が敬う云われはないよな? 住む国も世界も違う初対面の俺によ、まさか無条件で敬われるとでも思っていたわけじゃないよな? ところでアンタさ、いつまで高い所から見下して俺に偉そうにしてんだ? 俺は年上相手には敬意は払う常識人だけどよ、ただ「クズ」みたいな相手にも優しくできるほど温厚じゃないんだぞ? クソみたいな対応で、クソみたいに礼儀知らずで、クソみたいなお前らのな、そんなクソな話をな、聞く耳なんて全くこれっぽっちも持ち合わせてないんだが?」
う~ん25点だな。
ヤツラの青い顔が赤くなったしこりゃダメだわ。
というかさ、俺はもう論破する気も無くなったし仕方ないよな。
コイツラの顔は生理的にムカつくというか、見てるだけでイライラしてくるし。
「キ、キサマァ! 王たるワシに向かってのこの無礼千万、絶対に許さんぞ! オイ兵士長! もう構わんからこの無礼な小僧を八つ裂きにしろ!」
はぁ、ホントめんどくさいバカ共だ。
「口で敵わないと即暴力ですか? ホント愚かですよね。こんなのが王だと国民がホント可哀想ですよ。というかですね、ボク一応勇者ですよね? さっきアナタが自身が説明してた通り、LV1かもしれないけど一応勇者のスキルがあるんですよ? 魔王を倒せる可能性がある、そんなボクに対して八つ裂きですか? そこに突っ立てるたった50人の兵士が? その辺のモンスターにでも苦戦しそうな兵士が勇者に? ホントアナタ大丈夫ですか? 言葉は話せるのだし一応脳味噌はあるんですよね? 考えた末のその言葉だとしたらホント馬鹿すぎるし、それだとボクは、異世界人ではなくて原始人とお喋りしてる事になるんですケド?」
今回は俺の口上もヤツラの反応も80点だった。
何故なら王様が黙ったからだ。
それに大臣も兵士長も同じようにまた青い顔で俯いたからだ。
だから80点。
足りないあとの20点は理由がある。
つまり王様、大臣、兵士長の3人のオッサン以外での失敗だ。
つまりつまり、兵士が1人襲い掛かってきたのだ。
「王に向かってなんたる事を! シネェ!」
兵士の一人が叫びながら剣で切りかかってきたので、俺の論破はやはり完璧ではなかったのだ。
なのだが……
「ファイアボール!」
だがそれほど問題ではなかった。
所詮20点足りないだけなので、満点でなくても既に合格点は取っている。
俺はべつに自分がそれほど賢いとは思わないが、だけどそれほどバカでもない。
だから論破というか、罵ればこういう結果になるだろうとはわかっていた。
わかっていたわけだから、当然対応策の1つや2つは考えてあるのだ。
ステータスウィンドウとかいう物を出して、ヘルプや魔法の事などを事前に読んであるので、だから魔法を使えるわけだ。
そして今、兵士の脛にファイアボールを撃ってみてわかった事だが、どうやら今の俺の力はこの広間にいる「敵」全員を虐殺するくらいの力があるみたいだ。
視界の片隅に出してあるステータス画面の消費魔力と、焼け焦げた兵士の脛を見て実感した魔法の威力で、俺はイケると確信した。
「すみません、今兵士君が卑怯にも背後から突然殺しにきましたけど、一体これはどういう事ですか? ボクの話が理解できないのだとしても、コレはあまりに稚拙すぎる行動ではありませんか? というかですね、もはやこれは完璧に交渉決裂ですかね? さっきボクは「一応考慮」しますと伝えたつもりなんですが、その返事がコレですもんね? あぁそんなに怯えなくても大丈夫ですよ? 見ての通りボクは武器なんて持ってませんから。なので魔法とスキルで一瞬で塵にしてさしあげますので。痛みなんて感じさせませんし、だから安心してくださいね?」
さてどう出るかな?
勇者の力もみせたし、論破という口車で、なんとかマウントは取れた感じだし大丈夫そうかな?
とにかくさっさと王様に折れて欲しいわけなのだが。
というか正直折れてもらわないと困るんだ。
いくらチートっぽい能力があっても、多勢に無勢の50人の兵士相手に俺1人で勝てるわけはないし。
30分前までは、俺はただのイケメン男子高校生だったのだし。
殺し合いなんてした事があるわけないし、いや、それよりも喧嘩すらした事がないんだ。
今は一応魔法は使えるようになったが、1人を相手にしている間に他のヤツにすぐ殺されるだろうし。
それに敵に囲まれてるこの状況は普通に超怖いし。
そんな怖い場面で尚且つ戦って人を殺すなんて普通に絶対無理に決まっている。
俺は殺人鬼ではないし、戦闘狂でもないんだ。
それにたった30分でただの平凡な高校生だった俺が、突然人が変ったように「勇者」のように振舞う事などありえない。
ついでいえば文明レベルの低そうな、このおバカな連中の口車に乗る事もありえない。
だから今の俺は色々とギリギリで「もうおウチに帰りたい」心境だった。
だから王様の横に座ってる俺と同じ位の年頃のスゴイ美少女なんて、今は心底どうでもよかった。
_____
「先程は大変申し訳なかった。勇者様を前にして緊張しておったのです。臣下一同の無礼も合わせて、ここにお詫び申し上げます」
王様はそう言うと俺に深々と頭を下げた。
椅子から降りて、壇上からも降りて、俺の横に立って謝罪をしたのだ。
今謁見の間には大臣も兵士長も兵士もおらず、俺と王様、そして姫しかいなかった。
「いえ、俺も色々とすみませんでした」
俺は王様に頭を上げる様に促してから言葉を続けた。
「それで魔王やこの世界の事を色々聞きたいのですが、俺も正直少し疲れてしまって……」
「わかりました。ではすぐに部屋を用意させますので、勇者様には1度休んでもらってから、改めてお話をさせていただきましょう」
そう言うと王様の傍らにいた姫が玉座の後ろの方へ歩いていった。
姫が兵士でも呼んでくるのではないかと少しだけ疑ったのだが、だが3分ほど王様と無言で見つめ合ったまま待っていると、姫が呼んできたのは兵士ではなくてメイドだった。
そうして俺は勇者になった。
俺は寝て起きて、王様にいかに魔王が悪いヤツかと説明されて洗脳されかけたが「とりあえず今は頷いておくのが得策っぽい」と判断したからだ。
なので勇者でも勇気があるわけでもないんだけど、肩書き上は一応勇者になったので、だから俺は勇者になったと言った次第だ。
それと1度八つ裂きにされそうになったけど、王様は意外と良いヤツだった。
偉そうな態度も、ゴージャスな服も、全ては国民のために虚勢を張ってただけで、実はかなり貧乏らしい。
よく見れば確かに城は老朽化していて、壁にはアチコチにヒビが入っていたりして、一見高級そうに見えた絨毯も破れがあったりと、王様の貧乏説明には裏付けが取れた。
まぁそれだけでハゲの言葉の全てを信じるわけではないし、もちろん八つ裂きにされそうになった事は末代まで忘れない。
そんな貧乏アピールをしていた王様なのだが、魔王を倒せば報奨金をくれる上に、地球にも帰してくれると約束をしたくれたので、短期バイトのつもりでとりあえず勇者をやる事に決めたのだ。
逃げても追っ手を仕向けてきそうだし、それにいつまでに倒せだとか言われたわけではないし、無理そうなら逃げればいいだけだしな。
そんな感じの事は全部隠して「わかりました。姫様みたいに美しい方が、これ以上顔を曇らせるのを男のボクが黙っているわけにはいきませんしね! ハハッ、任せてください! 魔王などはすぐに成敗してあげますよ!」などと俺が言うと、感動したっぽい表情の王様と姫様からは、熱いエールと金貨がどっさり入った重い袋を頂く事ができた。
そうして俺はこちらの世界で、優に100年は遊んで暮せる程の金貨が入った袋を持って、城から旅立った。
美少女奴隷を買って、チート能力で崇められて、姫を嫁にして、毎日毎日遊びまくる、偉大な勇者様の冒険が始まったのだ。
「とりあえず貰った金貨を元手に商売して金を増やしてみるか。そうしていれば美少女と何かイベント的な出会いがあるだろう」
王城の門を潜り抜けるとニヒルにそう呟いて、街に向かって歩き始めた。