③ 日出ル国へ海賊船団の襲撃迫る (三太郎物語その参 完結編)
ジンギスカンと名乗る海賊船団が半島を離れ日本の国へ向かいつつある頃
日本の国では、迎え討つべく討伐隊船団が組織されていた
海賊船団は予め日本の都へ
【降服して臣下になれば無駄な殺戮や強奪はしない】
との文書による通達があった
しかし、大陸や半島などでの間者から伝え聞くところによると武装解除ののちに皆殺しの大虐殺があったとの事
当然、降服など出来るはずも無く徹底抗戦の構えで臨む事になった
神に護られた日出ル国、日本が外敵に曝されたのは建国有史以来初めてだった事から長く議論がなされた
然るのち、決戦の大将に推されたのは居丈高な力自慢の武将、誰あろう元『金太郎』であった
幼少の頃より、熊と相撲を取っていと噂された力自慢の金太郎
地元の有権者に見いだされ、仕官して侍になり生来の頭の良さと、隠されたズル賢さからトントン拍子に出世していた
ついには都を護る警護の最上級職にまで上り詰めた金太郎だったが敵もまた多かった
最初はこの防国の重大な任務に就くのを渋っていた金太郎だったが、海賊船団からの文書には名指しで金太郎を対応する使者にとの事だった
日本の国に降服を迫る海賊船団の頭目はジンギスカンと名乗る元桃太郎、そして副頭目に元浦島太郎
海賊たちは元々今の東シナ海で貿易船などを襲っていたが、今はジンギスカンらが日本襲撃の為に雇われてた傭兵だ
そんなこんなでついにジンギスカンら(元桃太郎、元浦島太郎)と今や立派な武将となっていた金太郎は、半島と日本の中間の洋上に停泊する中規模な帆船の甲板で会見する事に
双方の船団の人々が固唾を飲んで見守る中だったが、やはり話合いは決裂した
その時突然、金太郎は元桃太郎や元浦島太郎らに跳び掛かり、諸とも三人は海中へと落ちて行った
一旦海中へ放り込まれた三人だが、先に素早く浮き上がって来た金太郎は仲間のいる船に向かって
「今だ、火矢を放て~!」
待ち構えていたように、高く擬装した船縁の陰に隠れていた長弓隊が火矢を敵船団に連続して放つ
なすのよいち、呼ばれる名前の弓兵は的確に火矢を射ち続けた
果たして偶然か、味方の射た火矢が敵船団の母艦と思われる大型船が大爆発を起こし爆発で周りは煙に包まれた
両軍は互いに離脱散開した
急遽乱戦になったが 日本の国の船体には、予め鉄板や瓦版で火矢に備えた装備をしてあった為、最低限の被害で離脱して帰国して次の襲撃に備える事が出来た
海に落ちた三人の姿は既に海面には見えなくなっていた
恐らく重い甲冑鎧などのせいで三人とも海中に沈んで溺れ死んだのでは無いかと思われた
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それから半年後アメリカ西海岸に奇妙な格好で陽気な東洋系三人組が練り歩いてるとの噂が立った
のちに彼らは『ピーチボーイズ』と呼ばれアメリカ大陸中を闊歩したようだ
また更に海を渡りヨーロッバやアフリカへ行ったとも
彼らはいつも三人組で連れ立って歩いた為
『歩く三人組』とも呼ばれ
いつしか『アレキサンダー』と呼ばれたが、あくまで噂のまま歴史に残る事は無かった、、、