~夢の真実~
夢を見た。僕と星奈が一緒に帰っていく場面だった。
『これは……僕が小学生だった頃……』
幼い頃の僕と星奈は笑い合いながら歩いていた。すると一人、別の女の子が僕達の所へ来た。
「星奈お姉ちゃーーん!!」
「あ、香ちゃん!! 今帰り?」
「うん!! あ、理雄兄さん!!」
「お、香ちゃんか!! どうした?」
「私ね、お兄さんのこと好きだよ!!」
「はは、ありがとな。嬉しいよ」
「ちょっとー? 私の理雄君を取るつもりー?」
他愛のない話して三人は笑った。
『香……ちゃん……? 何で……どうして香さんがいるんだ……? しかも僕と星奈のこと知ってる……。もしかして……香さんって……!!』
はっと目を覚ますと、早朝だった。隣を見るとすやすやと香さんは眠っていた。
「…………」
どうも眠れそうになく、僕は水を飲もうと思い、冷蔵庫に向かう。
「ん……お兄……さん?」
「!?」
振り向くと、香さんがまだ眠たそうな目で僕を見ていた。
「ご、ごめん、起こしちゃって……。水、飲もうと思いまして……」
「……うん……」
そして再び香さんは眠りに落ちた。
「どうして……香さんが……。そして何で僕……覚えてないんだ……。あの夢に出た女の子は……確かに香さんだった。だとしたら……あれから香さんは年取ってないことに……」
そう考えたが、そんなはずないと首を振った。彼女はきっと別人だ。香ちゃんではない、全く別人の香さんなんだ。僕は思いっきり水を飲む。ペットボトルの水は僕の思考を馬鹿にするようにブクブクと音を立て、僕の口に入っていく……。