~白黒世界へ~
それからだろうか……。僕の目に映る世界が白黒になったのは。何もしたくない。何も考えたくない。生きたくない。死にたい。嫌。誰にも会いたくない。そう思い、部屋に閉じこもるようになった。彼女のいない世界は死んだ世界と同等に思えた。それぐらい、僕は彼女に支えられていたのだと今更気付く。
「……結局僕は、星奈に対して何もしてあげられなかったな……」
そう呟く。星奈の所に…行きたい。こんな世界……生きられない。そして僕はフラフラと外に出ることにした。季節は冬。灰色の雲が空を覆い、口から白い息が出る。今日は祝日。車も多かった。僕は交差点をとぼとぼと歩く。信号が赤になってから僕は誰かに押されたかのように歩き出すと、クラクションではっと我に返る。
「危ねぇだろ!! 気を付けろ!!」
運転手の男性が僕に怒鳴る。
「……すみません」
ぼそっと謝罪の言葉を呟き、その場を去る。死にたかった。死んで、彼女の元へ行きたかった。そう考えながら、歩いていると、いつの間にか海に来ていた。夏ではないため、人はいなく閑散としていた。
「……此処でなら星奈の元へ行けるかもしれない」
そして僕は一歩一歩海に入っていく。水の冷たさは僕の体温を一気に奪っていく。海の臭いが僕の鼻を刺激する。
「……あぁ……やっといける……待っててくれ……星奈。すぐ行くから……」
どんどん進み、上半身の半分ぐらいまで浸かる。あと少しで……あと少しで……僕は……。
「何してるの!?」
「!?」
後ろから誰かが僕を止めようと、バシャバシャと音を立てて、駆け寄ってくる。誰だ…僕を止める奴は……。邪魔しないでくれ…!! 僕は…星奈の所に行きたいんだ……!! 僕の邪魔をするな…!!
「来ないで下さい……!!」
「!?」
音は止まる。僕の叫びにびっくりしたのだろう。海が揺れる……。
「……僕は死にたいんです……。死なせて下さい……!! もう……この世界で生きる意味なんて…ないんです……」
僕はさらに進む。バシャバシャ……。僕の体がどんどん沈む。
「駄目…!! やめて……!!」




