~プロローグ~
こんにちは、リルンです
7作目は6作目に続き、恋愛物ですが今回は悲しき恋物語にしました。
そして、安定の連載小説です。
投稿停止と言ってましたが、勉強の一部が終了しましたので、記念に新しい小説を上げようと思います。
ですが、引き続き投稿が遅れる可能性が大です。
そしてすぐにまた投稿停止すると思います。
が、前の作品と同様、そのまま放棄はしませんのでそれは安心して下さい。
それではどうぞ。
色のない世界を僕は歩く。白黒の世界。空も白と黒が混ざった灰色。僕は立ち止まって空を見た。灰色な空は僕の存在を吸い取るような……あるいは僕を消すような……そんな感じだった。僕はきっと……この世界にはいらない。誰も必要としない。いや…僕を必要としてくれる人が死んでしまったんだ。僕の両親はとうの昔にこの世を去ったし、一人っ子なので、兄弟もいない。
「……僕には何も……僕は彼女しか…いなかったのに…もういない…僕は…一人だ……」
彼女が唯一、僕の支えだった。いや…彼女だけじゃないが……。僕を支えてくれた様々な人達。でも、皆いなくなった。僕の前から消えてしまった。
「……これから僕は……どうしたらいいんだよ……!! 教えてくれよ……誰か……」
僕は部屋でうずくまる。涙はもう枯れてしまった。……泣きすぎるぐらいに泣いた。だけど、泣いても何も変わらないって……分かってしまったんだ。それから涙が出なくなった。
「……もう泣き疲れた……。死にたい……」
僕はフラフラとした足取りでただ歩く。いつか彼女の所に行くことだけが希望に思えた。だから僕は……この白黒世界を……抜け出したい。今の世界は…死んでるも同然だから。
僕は彼女達がいる世界に……行くんだ……。
――――あの世では。二人の女性が現実世界を眺めていた。そして彼を見つけた。
「……あの人……こっちに来ようとしてる……」
一人の女性が言う。高校生ぐらいだろうか……。
「……兄さん……」
ぼそっともう一人の女性が呟く。小学生ぐらいだろうか……。二人は一人の男性を心配しているようだった。
「……まだ来て欲しくない……。死なないで欲しい……」
高校生ぐらいの女性は悲し気に言う。
「ねぇ、私がお兄さんを元気付けるのはどう?」
小学生ぐらいの女の子が女性に向かって言う。
「えっ……。でも、現実世界に行くには…正体がバレないように隠し通さないと駄目なんだよ?」
「そうなの?」
「そうらしいよ……。現実世界に居続けるには、そうしないといけなくて、バレると消えちゃうんだよ」
死んだ者は現実世界では幽霊としてなら、下りることが出来る。そして生きてる者の記憶を一部なら消すことが可能なのだ。
「そうなんだ……。分かった!! 気を付ける!!」
「でも……死んだ時と同じ姿だから…バレちゃうよ?」
「確か…記憶の一部を消すことが出来るんだよね? それを利用すればいいんじゃないかな?」
「記憶を……。……分かったわ。お願い、彼に説得してきて。私が行くと……彼がこっちに来たがるから……」
「うん、分かった! 私、……は現実世界に下ります」
そう言うと、女の子は光に包まれる。しばらくして光は消え、女の子の姿も無くなった。
「……まだこっちには来ないで……。……」