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魔法適性0の守り人  作者: まとい
~守り人就任編~
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移動魔法

 アルバは退屈を感じていた。

 歩きながらも、王宮を観察していたが、どこも統一されていて面白みがなかった。


「移動魔法で行けないのか…?」


 アルバの口から自然と文句が出る。

 王都からグリードまで国から国に魔法で移動できるライラなら、王様の部屋まで飛べないわけがない。

 体力に問題はないが、ここまで景色が変わらないと精神的にくる。


「無理だ」


 そんなアルバの不満をばっさりとライラは切り捨てた。


「なんでだよ。ここからグリードまで行けるんだったら、王宮の中を移動するなんて楽なもんだろ」


 ライラがあっさりと切り捨てたことに少しムッとして、言い返した。


「まず、王宮内部には結界と似たような魔法がかけれている。魔法自体使えないわけじゃないが、人に危害を加える攻撃魔法や、王族の生活を脅かすような魔法全般、王宮の中では使うことができない」


 アルバのことなど気にも留めることもないライラ。

 それでも、アルバに対して受け答えをしているのは、ライラも歩くのが退屈に感じている証拠である。


「考えてもみろ。移動魔法が使えたら、誰でも入り放題だ。安全も何もない」


 確かに、移動魔法で入れたら、どこにいても狙われる可能性があるということだ。

 安心して暮らすこともできない。


「王宮に限らず、すべての建物にかけられているぞ、まぁ、ここのは他のところよりも強力だがな」


 移動魔法には色々と使うのに制限があるみたいだ。

 そこでふと、アルバには疑問に思ったことが出た。


「なぁ、さっきから言っている移動魔法ってのは、魔力があれば誰でも使えるんだよな」

「そうだ。移動魔法に限らず、ほとんどの魔法はコツさえ掴めば、使えるぞ。ヴァニタス以外な」


 何を考えたか分からないが、ライラはあえて最後の言葉を強調した。


「俺が使おうってことじゃない」

「なんだそうなのか。君の期待を壊してやろうと思ったのに残念だ」

「最初から魔力なんてものがないのに、期待何もないだろ」


 第一、アルバにとって魔法なんて遠い世界のような存在だ。

 使いたいと思ったことはない。便利であるとは思うが。


「俺が言いたいのは、なんで移動魔法があるにもかかわらず、馬車が王都には多いのかだ」


 そう、そこである。

 グリードはヴァニタスの国というのもあり、馬車が主流になっているのは当然のことだ。馬車がなければ、他に移動手段がない。

 だからこそ、魔法が当たり前の王都では馬車なんてほとんど見ないと思っていた。

 しかし、ここまでメイン通りを進んできたが、アルバと同じように馬車が多く行き来していたことに、少なからずアルバは不思議であった。

 街の人々を見ても、皆歩いて移動していた。

 何故誰も魔法を使わないのか。


「移動魔法っていうのは、純粋に使う者の魔力量に総じて、移動する距離が変わる。国から国に移動できるほどの魔力を持っているのは、王都でも一握りしかいない。魔力適正『5』と診断されたとしても、国から国への移動はできない」


 ライラは簡単に言ってのけるが、その一握りにライラも入っているということだ。

 ほんと何者だよこいつ……。


「だったら、街の人が移動魔法を使っていないのは」

「簡単なことだ。歩く方が早い」


 場が静まる。

 当然アルバがそれで納得するわけがない。

 じっとライラを見る。


「という理由もあるが、根本的な理由ではない」


 すぐにライラは話し始めた。


「移動魔法は、人をそのまま移動させるからか、魔力効率が非常に悪い。ここの廊下の横幅を移動するだけでも、慣れていない人が使えば、使った後しばらく疲れて動けなくなってしまう」


 歩いても数秒で着いてしまう距離でさえも、そこまでの疲労感を伴えば、誰も使わないことに納得がいく。


「魔法は一見便利に見えて、融通が利かないところも数多存在する。事実、この王宮や、各国にかけられている結界のように、魔法の使用を制限できる魔法があるんだ。今のところ見つかっていないが、もし、魔法を完全に使えなくする魔法が存在でもしてみろ。魔法に頼って生活している王都国民なんて、ヴァニタスよりも頼りにならん」


 ライラはそこまで一気に言う。


「だから、私は完璧な魔法主義国家である王都が嫌いだ。魔法が何よりも勝っていると思っている奴もな」


 心なしかライラの語気が荒い。


「そんなこと言って大丈夫か。ここはその大本だぞ」


 アルバは、王宮の中で王都を侮辱するともとられてしまう言葉を発するライラを気遣うように見る。

 ライラがどう思われたところで関係ないが、今はやめてほしい。

 アルバも同じように思われては困る。

 グリード出身と分かれば王都に悪い感情を持っていると思われても仕方ない、だが、アルバ自身に王都に対する感情はない。良くも悪くも何も思っていないのだ。


「安心しろ。私がこういう性格なのは王宮に仕える奴には知られている。ここで誰かに責められることはない。言いたい放題だぞ」

「それ自信持って言うことかよ」


 ライラの態度にアルバは呆れる。

 ライラの性格を考えれば、ここでなくても言いたい放題だろうに。

 とりあえず王宮の中では心配しなくていいみたいだな。

 まだ、ライラの歩くペースは変わらない。

 話している間にそれなりに進んだと思ったのに、景色は変わらない。

 アルバは一人溜息をつく。

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