表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の王  作者: 五ノ式 永代
一章『異世界への来訪者』
4/21

王城へ

「さて。改めまして、私はファリア・テンバルト」


「私はダイスケ・トウジョウです」


メア達が建てていた大きなテントの中には七人いる。


他の兵士達は外で待機中だ。盗聴防止の術符つきテントは広く、主に作戦時の臨時本部として使われる。王国側はメア、黒髪で左目を隠すレレバル、短めの金髪、五賢者で最も若い二六歳のアレバル。そしてグロエス騎士団副団長。


ヤエラ騎士団は、五聖地の二つ、ミサン墓地跡とテガロ山に向かっている。

「私はエリド王国王女、メア・ロ・レッテ・ベルマータです」


「王女専属騎士、フェクセル・ローズ」


「土の賢者、アレバルです」


「光の賢者、レレバルです」


「副団長、ミラントレッタでありま

す」


二十人掛けの円卓に、二対五で掛ける。


「なるほど、よろしくお願いします」


ファリアは軽くだが頭を下げている。


「まず何から話しましょうかね」


笑っている。しかもこちらの答えを待っている。


決まっている。


「あなた方はだれです?どうしてここに来られたのですか?」


待ってましたと言わんばかりの笑顔。


右のダイスケとは正反対だ。


「私たちは王国を守るためにやってきました」


既に黙示録と違う。


「この国には今、危機が迫っています。この世界に闇が訪れようとしてているのです」


全員理解しているか確かめるようにしてから、


「故にきました。先ほどの攻撃はここにくる際に所持していた杖に溜まっていた魔力を消費したものです。今はもう、残り一本しか在りませんので、魔法はもう使えないと思ってください。なので、魔法への期待は捨てていただき、対等な立場で話させてください」


違う。


敵となると書いてあった。古の戦争を呼び戻すものだと。


「すまないが、一つよろしいですか」

レレバルが手を挙げる。


「闇とはなんです?もっと具体的な説明をください」


「そうですね。私たちも具体的な状況は分かっていません。が、数日中に、早ければ今日にでも動いてきます」


一同の顔に緊張が走る。


「すみませんが、どこから来たのですか」


ローズが、全員が気になっていて、しかし聞けなかった事を聞く。


「天界、という言い方が正しいのでしょうか、この世には世界が二七あり、それを監視、管理するのが私たちAll World Guards。通称AWGです。そして、この世界に危機が訪れているためやって来たというわけです」


理解出来ない。黙っていると、「仕方ないですね」少し悲しげな顔。「機密ですし」


「そうですか。私たちはお二人とは戦いたく無いーーいや、戦えない。あなたの話が本当ならば、協力させてほしい」


メアが言った。


ファリアが笑う。肯定だと判断するメア。


「そこで、あなた方の戦力を教えていただきたいのですが」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


青い空。先ほどまでいたところにはもう、黒い色は無い。


「ワレバル様!あと五分程です」


先行している部下が言う。


「ああ、後ろのエレバル達にも回せ」


了解致しました、と言い残し後ろへ去っていく。


ワレバルは賢者という名に似合う長い髭、白髪。顔の皺が生きて来た長い年月を物語る。


木々を避け、飛び越え、影をスケートボードのように使う《シャドーボード》を使い、王城へ向かう。


総勢五百名。


他の部隊には、ウイングのアジトと思われていたところの調査、又王都の住民の避難誘導の援助を命じている。


王都へは別ルートで向わせている。


敵との遭遇を防ぐ為だ。


魔法には五種類ある。火、水、土、光、闇だ。そのうち一つしか覚えることはできず、しかも天性というのだ。


ワレバルは闇の賢者。闇は隠密と攻撃、機敏性に長けていて、他の種族も、それぞれ向き不向きがある。


そして、スピードで有利な闇部隊が先行しているというわけだ。


自らの影に乗って移動するシャドウボードで高速移動してもあと五分。

「急ぐぞ!」


「はっ」


街のない裏側から城へ向かう。被害を出すわけにはいかないが、そんなことも言っていられない。


ならば、最小限に留める。


「なっ」


王城あたりから煙が出ている。

一刻を争う。


「ついて来られるものはついてこい!他は後からエレバル達に合流して来るんだ!」


彼の全力について来られるのは数十名。しかし、間に合わないよりマシ。最終的には着くのだから。


数秒もすると、もうほとんど後ろにはいない。


血の匂い。右のほうに動くものがある。


手話で偵察、警戒を指示。漆黒の矛、四十名が向かい、残りは王城へ進み続ける。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ガチャ、と鎧の音。エレバル達と骸骨の馬に乗った剣士とは対峙する。


王城まで十キロ弱。ワレバル達はもう着くくらいだろうか。


風に乗って、微かだが焦げた匂いが運ばれてくる。


木、肉。王城にいる部隊のことを考えると、心が苦しい。


だが、今は考えてはいられない。


強者。


剣士からはファリア達のような強者のオーラが漂っている。


死のオーラ。


彼の周りの草は少しずつだが枯れてゆく。


彼は頭から全て漆黒の鎧に身を包んでおり、顔も見えない。


右腕には直接刃が生えていて、左手は肘から下がなくなっている。


「何者だ」


ファイアボールで牽制するが、それは腕の代わりの剣で打ち消す。


当たるはずのないところに打った球を消して来る。


刃を向けてくる。


戦闘の意思あり。


しかも本当に実力者。思い違いではない。


ーー不味い。こんなところで足止めは食えない。


「紅の剣、盾は残れ、あとはワレバルと合流しろ」


「承知!」


が、どこからともなくスケルトン・ナイトの群れ。


スケルトン・ナイトはその名の通りスケルトンの騎士。盾と剣を持ち、ほとんどは弱いが、魔法は効きにくいため、杖を剣とする。


「ちっ、突破しろ!」賢者の声に応えるように炎が飛ぶ。


しかし、ほぼ効かない。


効いていも、衝撃による破壊のみ。


エレバルは杖に炎を纏わせ、炎剣として剣士へと駆け出す。周りも動く。


骸骨とは思えない速さでやって来る彼らは一気に距離を詰めて来る。


「ファイアウォール」


しかし、炎がほぼ効かないため、炎の壁には意味が無い。慌てて杖を剣に変え戦うが、剣技や、数の上でも不利。


お互いの首が飛ぶ。骨が、肉が。


「ファイアボール!」


混戦の中でも魔法を使うのは炎への耐性があるからだ。


しかし、限度もあり、長くなると流石に厳しくなる。


「隊長!」


上からの攻撃を受け止め、右に避け、一振り。スケルトンは崩壊する。


絶望した。


多すぎる。


エレバルも剣士と戦ってはいるが、押されていた。


左から。右から。上から。剣を振るい続ける。


その間にも腕を傷つけられ、鼻の頭をかすってくる。


馬へ攻撃する隙もない。


馬にさえ当たれば隙も生まれると考えていたが、そうも言ってはいられない。


「レイアン!」副長の名を呼ぶ。


「なんです⁉︎」どこかから帰って来る。疲労の声。


「いけそうか!」


その会話の合間にも仲間の死の叫びが聞こえてくる。


「厳しいです…ね!」


レイアンが大振りで敵の首を払う。


その声に。


やってやるか、と意を決する。


馬の上から器用に戦う者から離れ、紅の剣達に一旦任せる。


すぐにギイインという音も無くなり、たった一撃で味方が飛ばされていく。が、いかんせん一対四十。交互に攻撃すれば足止めはやってくれる。


目を瞑り、集中力を高める。


仲間達の声すら聞こえないほどに。


魔力の流れをイメージする。


体の中から杖先へと流れる膨大な魔力、彼の必殺技。


目を開くと、スケルトンが優勢に見えた。


ーーー今だ。


「《フレイムインパクト》!」


杖先に莫大な魔力を流し、そこを核として一気に放出する。


百匹はいたであろうスケルトン達は粉砕、残っているのは約十五匹。


しかし、彼の魔力も残り少ない。


凄まじい爆音と衝撃で飛び、ぶつけた背中の痛みを感じつつ、「行け!」鎧の剣士と対峙する。


「こちらはお任せください!」


チラと目をやると、紅の剣隊長、デモーナがいた。


他は皆行かせたらしい。


「少し置いておけよ」


デモーナは驚いたふりをする。


最も信頼できる部下と背中を合わせ、互いに剣を構える。


「すみませんね。王城の方がまずい可能性が高いと思ったので」


確かに王城の方が危険だろう。しかし、二人で戦うというのは些か無理がある。


だが、


「お前らしいよ」


「ありがとうございます」


ゆっくりと剣士が近づいてくる。


デモーナは魔力の大きさでは多少劣るが、剣技ならエレバルにも勝る。


「そっちはまかせた!」


エレバルは五賢者の誇りと意地をかけ、圧倒的強者たる剣士に飛びかかる。


上空からの渾身の一撃を軽く止められ、飛ばされる。そのまま木の幹にあたり、背中に激痛が走る。


デモーナも戦い始めたらしい。


骨の砕ける音。スケルトンのキィという叫び声が聞こえてくる。


剣士には炎が効くようだ。こちらの攻撃を自分の遠くで弾いている。


(ならーーー)


剣士はまだ倒れているこちらにも、馬を走らせたりはしてこない。


ゆっくり近づいてくる。


背中の痛みに耐えつつ、杖を助けに立ち上がる。


帰りたい、逃げ出したい。しかし、


「私は王国最強の炎使い!貴様ごときに負けられるか!」


「……」


どこにこんな力が残っていたのか、距離を一気に詰め、左下から斬りかかる。


やはり止められる。しかし、炎剣が、いや、それが纏う炎が伸び、蛇を象る。


一瞬、剣士がおののいた気がした。


蛇が大きくなり、剣士に襲いかかる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ