占い②
「流石に信じてくれにゃいよね、こんにゃ占い結果じゃ……」
レイナは占いを中断し、申し訳無さそうに片目を開き三人の様子を伺う。
しかし三人はレイナを疑っている様子は全くない。
黙ってはいるが占いの結果に納得している様子だ。
「つまり……なんらかの手段でギンは帰ったということか」
天音はほっと息をつき、ローガンの言葉に続いた。
「無事みたいだし、とりあえずは安心ですね」
「で、でも、やっぱり私は直接会って無事を確かめなきゃ!
どうにかして元の世界に帰らないと!」
焦っているヒナに天音が声をかける。
「あっ、私銀一郎から元の世界に帰る方法聴いてます。
ローガンさん、銀一郎に教えたあの場所って」
天音に言われ、ローガンは申し訳無さそうに答える。
「うーむ、すまない。
あそこの魔素は銀一郎が帰った時に半分以上使ってしまった。
また魔素が溜まるまでしばらく待つか、他に魔素がたまっている場所を探すしかない」
「あぁそうですか、じゃあどうしようかな」
天音は口でこそ困ったように話しているが、自分自身はこの世界から帰るつもりもなかったので、特に焦りも落胆もしていなかった。
最初は占いをしくじったと思いオロオロしていたレイナだったが、聞いているとそう言うことでもないらしい。
安心したと同時に、自分の事など御構い無しに話を進めている三人の様子が気に食わず、会話に無理矢理割って入った。
「ああ、もう!
ちょっと、ちょっと!
私を無視して話を進めにゃいでよ!
いったいどういう事にゃの!?」
ぷりぷりしているレイナをなだめるようにローガンは言って聞かせる。
「お前の占いの力は本物だったという事だ。
心配するな、ギンの居場所については占いのおかげで大体見当はついた。
それで……急ぎで申し訳ないが、俺の占いの方をさっそく始めてもらっていいか?」
結局なんの説明にもなっていないようなローガンの言葉だったが、なんだかめんどくさそうな話だし、いちいち聞く必要もないと納得し、話を進める事にした。
「よくわかんにゃいけど、占いに満足してるみたいだし、お金はもらえるんだよね。
いいよ、別にあれくらいの占いにゃら疲れもしにゃいから。
それで、おじさんは何を占ってほしいの?」
「俺の名前やらなんやらはいいのか?」
「目の前にいる人にゃら何もにゃくても大丈夫。まぁ一応名前だけは教えといてもらおっかにゃ」
「俺の名はローガン。
占ってほしいのは実は俺自身ではない。
これについて占って欲しいのだ」
そう言ってローガンは一枚の紙切れを取り出した。
紙切れを見た天音とヒナは違和感を感じた。
ローガンが取り出した紙切れは、古く変色した大学ノートの切れ端だったのだ。
こちらの世界の住人であるローガンが、そんなノートの切れ端を持っている事は不自然である。
「この紙、何にゃの?」
レイナは紙を受け取りジロジロとながめまわす。
「私の友が残した、この世界に起ころうとしている厄災への手がかりだ。
紙には字が書いてあるだろ。
この字を書いたやつがどこにいるか占えるか?」
レイナは色褪せた掠れている文字を目を細め読んで見せた。
「にゃににゃに?
ノートは1ページずつしか開けない?
これだけ?何だこの文章?」
レイナの言葉を聞き、天音とヒナは衝撃を受けた。
ローガンが持っていた紙切れ。
それはヒナ、天音、そして銀一郎をこの世界にいざなった例のノートの1ページだったのである。




