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勘違い

一行はシボーラに到着した。


馬車に乗っていたもの達、付き合いはほんの数時間だったが、すでに絆が生まれている。

名残惜しい気持ちもあったが、では私はこっちへ、僕たちはここでとそれぞれ立ち去り、天音とヒナだけが残された。


ヒナは天音に、銀一郎を一緒に探して欲しいと頼もうとずっと前から考えていたが、先程から彼女の頭の中に重大な疑問が生まれ、ずっとモヤモヤさせられていた。

その疑問を天音にぶつけるか否か、迷っていたヒナに先手を取り天音が声をかける。


「あの……」


天音は恥ずかしそうに、


「もう、大丈夫なので降ろしてください……」


と言った。そう、天音はいまだにヒナにおぶられていたのだ。


「そ、そうか、もう大丈夫だったか!」


慌てて、天音を地面に降ろす。

天音の美しい顔立ちを見て、ヒナの疑問はますます深くなっていく。

……あぁ、やっぱりどうしても、天音さんに聞きたい……。

この疑問を晴らさなければ、苦しくて苦しくて、私はもう耐えられない。


などとヒナが思っている間、天音の方も、どうやってヒナさんにお礼をすればいいのだろうと悩んで、言葉を出せずにいた。


しばらく沈黙が続いたが、我慢の限界だったヒナがポツリとつぶやく。


「銀一郎……」


「えっ!?」


銀一郎。天音はもちろんその名前に反応し、声を上げる。顔にあらわれる驚き、動揺を隠す術はない。


「やっぱり!知っているんだな!銀一郎を!」


さっきまで冷静だった筈のヒナがとても興奮している。


「銀一郎はあなたのことを探していた。えっと、あの……天音、深鈴さん、あなたは……あなたは銀一郎の……か、か、か、かのっ!彼女ですか!!」



突拍子もないその質問に、天音はクエスチョンマークだらけだ。

しかしヒナにとってはとてつもなく重大な質問である。

愛する銀一郎が探していた女性、しかも美人。もしも天音深鈴が彼女だったら……泣く!!


天音はこの素っ頓狂な質問に、


「はっ、はい?」

と声を出した。それがいけなかった。


「(!!!?天音さん、『はい』って言った!そりゃそうだよね。銀一郎みたいにカッコよくて、優しくて、強くて、頼り甲斐があって、可愛くて……そんな銀一郎に彼女がいない訳……)」


突然ヒナの瞳から大粒の涙が溢れた。


「う、うえぇぇへっ?な、なんで泣いてるんですかヒナさん」


ヒナの涙は止まらなかった。


「なんでもありません」


涙を流しながら無理やり笑ってみせる。


「大丈夫!私は銀一郎が助かって、幸せになってくれさえすればいいんです」


そう言いながらも涙がぼろぼろ溢れる。


「いやいやいや、大丈夫じゃないでしょ!」


泣きながらヒナは無理やり話を続けようとする。


「銀一郎はこの世界に貴方を探しに来ていました。

しかし先日魔物と戦って怪我をし、意識不明の重体で、その上誰かにさらわれました……」


「えっ?何それ?どういうこと?」


「一緒に……銀一郎を探していただけますね!」


突然号泣する美女に、衝撃の事実。

訳が分からないが、銀一郎が大変な目にあっているのはなんとなく天音にも伝わった。

天音は思った。たぶんそれは私が原因だ。銀一郎を助けなきゃいけない。私にはその義務がある。


「……よく分からないけど、私は絶対に銀一郎を助けるよ!」


ヒナはのそのセリフを聞き、2人の間には自分の入る隙間は無いんだと、より一層泣き喚いた。


「うぅうぅ、ひっく、ひっく……。じゃ、じゃあ……ぎ、銀一郎の居場所を探すため……大聖堂で占ってもらいましょう……」


「……う、うん。大丈夫?」


天音は大聖堂に向かう道中、えんえん泣いているヒナの背中を優しくさすってあげた。

その道中でなんとか聞き出したのは、ヒナも自分と同じ様にノートでこの世界に来た異世界人だという事、銀一郎が怪我を負い意識不明になった後忽然と消えてしまった事の二つだけだった。

天音はヒナが同じ異世界人であることに驚き、もっと色々と話を聞きたいと思ったが、今のヒナの状態ではどうしようもない。


やっとのこと大聖堂に着くと、長い階段の前に1人かなり体の大きな老人。そして聖職者の様な格好をした中年の男が1人。


「だから!巫女様はお前などには合わんと言っているだろ!」


「金ならある!どうしても占ってもらわなければならないのだ!」


話を聞く限り、老人が占いを拒否されているようだ。


「これ以上騒げば、衛兵を呼ぶ」


聖職者風の男がそう言うと、老人はギリリと歯ぎしりして苦い顔をした。


白髪で体格のいい老人。そしてその背には質素だが立派な槍。もしかしてこの老人こそが、桐島銀一郎が話していたローガンなのではないかと、天音は思った。

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