榊と生田目4
榊と生田目は二人だけでこのノートを検証することにした。そのためにここではまずいということで場所を移すことにした。
「ここから俺のアパートが近いぞ」
榊がそう言うと、生田目はあからさまに嫌がった。
「お前ひとり暮らしだろ?部屋汚そう」
「失礼な!結構綺麗だぞ」
「……まぁ他に良さそうな場所もないし仕方ないか」
そう言って生田目はため息をついた。
「納得行かない!なんか納得いかないぞ!」
がやがやと騒ぎながらも榊のアパートに到着し部屋に入ると、確かに部屋は掃除が行き届いており片づけられていた。
「うーん、まぁ70点ってところか」
「何様だお前は」
二人は早速検証を始める。まずノートをめくれるかどうかだが、二人どちらが試してもノートをめくることができなかった。
ちょっと破ってみようと力を加えてみたがびくともしない。それならもしかしてと思ってノートに水を垂らしてみたが水をはじく。ムキになってコンロで火も試してみたが燃え上がる様子もない。つまりこのノートには外的要因は通じないのだ。他にも思いつく限り試したが、自分たちではめくることもできないしこれでは八方塞がりだ。
「これじゃあ仮に捜査本部に持って行っても透明な四角い物体で終わってしまう。
他に何か試せることはないのか、生田目?」
「X線、赤外線、紫外線とか試せることもあるにはあるんだが、どれもすぐにってわけにはいかないし、たぶん効果はないと思う。かといって専門家に渡しても無駄になりそうだし……」
二人が検証を続けている間に、いつの間にか夜になってしまっていた。
「今日はもう検証は終わりにしよう。何かいいアイディアがないか考えておくよ」
そう生田目が言うと榊は心配そうに聞いた。
「ノートはどうするんだ?明日になったら俺たちの記憶が消えてしまうかも……」
「いい作戦があるぞ」
生田目は検証前に飲み物等を買う際にガムテープを買ってきていた。
「榊、上着を脱げ」
「え?やだ、気持ち悪い」
「お前の発想が気持ち悪いわ。ノートのためだ、ちょっと我慢しろ」
榊がしぶしぶ上着を脱ぐと、生田目はノートをガムテープで榊の体にぐるぐる巻きに貼り付けたのだ。
「生田目……これはどういうことだ?」
「おそらくだが……ノートを手放さなければ記憶は消えないと思うんだ。だから寝ている間もはなさないようにくっつけた」
「風呂はどうするんだよ!」
「風呂入ってからくっつけるべきだったな。明日の朝入れよ。ついでにノートも臭そうだから洗っといてな」
怒る気力もなくし榊はソファーにドカリと体重をかけた。
「じゃあまた明日」
そう言って榊のアパートを後にした生田目だったが、ある程度ノートから距離を取ってしまうと、今日の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまった。
「あれ?今日俺はどんな仕事してたっけ?」
やはりノートには記憶を消す力があった。だが榊の方は眠っている間に記憶をなくすことなく、無事朝を迎えることになる。
しかし榊はその日ノートの事を構っている余裕がなくなるほどのビッグニュースを聞くことになるのだった。




