復讐
ヒナはギルドを訪れた。
夜のためもう人は少なかったが、ギンの依頼を受けてくれた受付嬢が相変わらず気だるそうにパイプをふかしていた。
ヒナはそこにふらふらと近寄る。
「どうしたんだい?あんた?」
受付嬢はヒナの顔を見て心配そうに言う。
ヒナは黙って青色になった依頼書を受付に出す。
「あぁ、これ。こっちじゃないのよ。
報酬受け取りの窓口に持って言って」
ヒナはそんなことはどうでもいいという風だ。
「報酬などいい。
依頼主ゴールズの居場所を教えろ……」
受付嬢はしかめっ面を作り言う。
「……何かあったんだね。
でも止めときな。ゴールズは危険だよ」
ヒナは虚ろな目で言う。
「関係ない……そんなこと……」
受付嬢は黙ってヒナを見つめた。
「残念だったね。
ただの受付嬢が、依頼主の情報なんて知ってる訳ないだろ」
ヒナは黙ってその場を去ろうとした。
その後ろ姿に受付嬢は声をかける。
「これは独り言だけど。
ゴールズは金持ちの商人で、そう言えば町の西に一つでっかい豪邸が建ってたね」
ヒナは後ろを向いたまま呟く。
「すまない……恩にきる……」
ヒナはそのままギルドを出る。
受付嬢はその姿を見送り、相変わらず気だるそうにパイプをふかした。
ゴールズの豪邸はすぐに見つかった。
門の前には2人の護衛がいたがヒナはそんな事は気にも止めない。
護衛がヒナに気づく。
「おい、女、止まれ!」
ヒナは無視して護衛を通り抜ける。
「おい、待て!」
護衛の男は、そう言ってヒナを止めようとしたが、顔面にヒナの裏拳をくらい、吹き飛んでいってしまう。
もう1人の護衛はというと、あまりの力の差に戦意を喪失しその場にへたりこんでしまった。
ヒナはそのままゴールズの屋敷に入って行く。瞳には怒りと復讐の炎が燃えている。
「(ゴールズ……貴様だけは、許さない!)」
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