12
ゴブリンがいるという橋までは結構な距離があるらしい。
ヒナは、
「移動だけでも馬車で行けば片道銅貨5枚はかかるぞ。
それでゴブリン4体で銀貨2枚とは、ケチな依頼主だ」
とボヤいていた。
ヒナは地図とコンパスを出し、この道を真っ直ぐ行けば着くと指差した。どうやら馬車は使わないらしい。
「歩いてだとどのくらいかかるの?」
ヒナはストレッチで体を伸ばしながら答える。
「歩いたら3時間くらいだな」
あれ、そう言いながらヒナは歩く気無さそうだぞ?
「もしかして……走る気?」
ヒナは当然の様に言う。
「足と心臓を中心に魔素を集めろ。
30分以内に橋まで行くぞ」
そういうとヒナは物凄い速さでスタートを切った。
僕もなんとかそれに続く。
足に魔素を集めるのはさほど難しくなかったが、同時に心臓やら肺やらを魔素でサポートするのは難しかった。
しかしなんとか橋の近くまでこれたみたいだ。
「隠れろ」
ヒナが敵を見つけたようで僕に注意する。
ヒナが見つめる先を見ると、1、2、3……12!?ゴブリンが12匹!
「何がゴブリン3、4匹だ!ふざけた依頼主め!」
ヒナはかなりご立腹だ。
「あれだけ多いと危ないかな?」
ヒナは少し悩んでいるようだ。
「ゴブリン3、4匹なら1人でやってもらおうと思っていたんだが……これは私が援護した方が良さそうか?」
「いやいやいや!ぜひ援護して下さい!」
「そうか、では今回の作戦が決定した……ギン、好きに奴らと戦ってみろ!後ろから弓で援護する」
「ええぇぇぇ!」
ヒナの聡明な作戦により、僕のギルド初任務は、ゴブリンの群れへの突撃になった。
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