表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/36

栄光街


じりじりと照りつける太陽で道路は蜃気楼が見られる。


そらの入道雲がその暑さを語っていた。


まったくもって暑い。暑すぎる。なぜこんなに暑いんだ。


びしょ濡れになりながら男は肩をおとした。


ふと男は辺りを見渡してみる。


酔っ払いが好みそうな居酒屋に、中学生がたむろってそうな本屋。

それに掘り出し物が見つかりそうな店。



この街は年期がはいっているが、それがまたいい。絵になるようだ。


どこか懐かしさも兼ね備えていて、引き込まれるような魅力がある。


だかあえて欠点をあげるならばそれは



人っ子一人いない。



(おかしい。なにがダメなんだ?)


男は思う


(やっぱり新しいものがいいのか?

近代的にデパートとか遊園地とかないとダメなのか?)


(そんなことしたらせっかくのこの街が台無しじゃないか!!)


(なんでもかんでも新しいものを取り入れたからっていいことなんてない!

すぐに飽きるだけだ!)


「一人ぐらいこの栄光街を楽しめよ!」


「うわっびっくりしぁ、もう」


「あぁ…すまん、」


男は我にかえった。


「もう、びっくりさせないで下さいよ~。飯田さん。どうしたんです?大丈夫ですか?」


「あぁこの暑さで少しイライラしてて。」


高ぶった感情を抑えるよう自分に言い聞かせ、もう一度頭を整理し、ある疑問をぶつけた。


「なぁ富田」


「はい?」


「どうして栄光街はこんなにも活気がないんだろう?」


「えっ。あぁだって暑いですもん。みんな外に出たくないだけですよ」


「それもあるがどうしてこの街は繁栄しない?こんなにも素敵じゃないか。」


「それは…まぁでも今やってるじゃないですか。その繁栄のために。」


「そうだけど……ここ最近の俺は本当にあれを造ることによってこの街がよくなるのか疑問に思うんだよな…」


「またそんなことを!あれが完成すればこの街は日本中から注目を浴びるわけですよ!?」


日本中から注目。この言葉を富田は力を込める。


「飯田さん、ちょっと考えを変えてみませんか?きっといい方向に進みますって。」


「まぁ、それならいいけど…」


飯田は富田にぎこちない笑顔を見せると、また眉間にシワを寄せ考えに込んだ。


(いい方向か…今の俺には本当に賛成することしかできないのか…?)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ