灰色の空(200文字小説)
僕は受話器を置くことが出来なかった。
『ウソ』
君の声がそう呟く気がして…。
ずっと好きだったけれど、ろくに口もきけなかった。
あっという間に卒業式を迎えた。
何もないままはなればなれ。
会えなくなっても想いは変わらなかった。
伝えよう。
彼女の家の電話番号を書いたメモ。
ポケットに突っ込み電話ボックスを探した。
呼び出し音が長く感じる。
本人が出た。
告白した。
『ゴメン。付き合っている人がいるの』
灰色の空が息苦しいよ。
僕が若いころは、携帯電話なんか無くて、彼女に電話をするのにも家にかけるしかなかったんです。