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死海
ふわふわとした
白い毛綿の中で
ただただ包み込まれて
呑み込まれてしまえばいいのに
人の視線や
人の戯言や
それら全てが
響音の景色になって
薄れ滲んでゆく
BGMのようになったらいいのに
神御魂の撫で息に包まれながら
山岳に包まる白い雲のように
その麓で佇む
孔雀になればいいのに
人の嘲笑や
人の憤りや
それら全てが
死海のレクイエムみたいに
龍が眠りこける
母胎のベッドになったらいいのに
荒魂と和魂のコンチェルト
混ざりゆく眠りのカオス
そこに現実がいつもうごめいている