10/16
聖母
母は言った
「あなた鍛錬が足りないのよ」
私は何のことか分からなかった
そのたびに母は笑った
私は馬鹿なのだろうきっと
久しぶりに母と会った
母は私を見守っていた
彼女は私を知っていた
彼女は私が何者なのかを知っていた
ある日試験があると彼女は言った
私は何のことかさっぱり分からなかった
私は風邪をひいて寝込んでしまった
熊がころされてしまったらしい
次の日私は気付いた
私が何者なのか
私は何なのか
私は…あなただったのだ
この時代に
あなたと会えたこと
それは奇跡だ
それは幸いだ
病は気から
それは母への感謝が足りぬから
大自然は美しかった
それは母に似ていた
聖母は笑った
そしてただただ私を聞いていた
私の顎には白いひげが生えていた
彼女はそして文殊になった