表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/8

第5話「狼は過保護」

翌日、ルーナの身体は悲鳴をあげ、喉は枯れていた。


「旦那様。私は大丈夫ですよ……?」


「ダメだ。お前は弱い。すぐに音を上げてしまう」


「だ、旦那様がズルいだけですわ!」


さらりと恥ずかしげもなく言うのだからルーナが照れてしまう。


寝室でのリアムはまさに獣……といった具合に激しい。


虚弱なルーナをみてからというもの、リアムの過保護は増すばかり。


ベッドに張り付けられたようになり、献身的にリアムに面倒を見られていた。




(おそらくこれは狼なりの愛情よね……)


そう思うと余計に恥ずかしくなり、ルーナはときめいて枕に顔をうずめて叫んでいた。


とはいえ、ずっとベッドにいるだけでは退屈だ。


少しは動きたいとルーナはうずうずして上目遣いにリアムを見つめた。



「……でしたら旦那様、お願いがあります」


「?」


首を傾げるリアムにルーナはにやりと目を輝かせる。


立場の逆転したような肉食の目にリアムの本能が危険を感知していた。




***



「わああ、高いですね!」


巨大な狼の姿になったリアムの背にまたがり、森を駆け抜ける。


寒冷期に入る前の涼しい空気が頬を滑って心地よい。


ルーナはリアムに対し、甘くべったりだ。


狼、人、どちらも愛おしく想いメロメロといった状態だ。


そのうえで好奇心はおさえられない。


リアムの美しい狼姿にまたがって走りたいとルーナは欲望をぶつける。


キラキラ見つめてくるルーナに根負けし、リアムは肩を落として了承した。




あまり晴れることのないアイスノ王国は白っぽい空のことが多い。


寒冷期に入ってしまえばどんよりとした空模様になってしまうので、この時期に外を謳歌するのがルーナの楽しみだった。


「あら?」


下を見ると人里があることに気づく。


空から見下ろしているとやけに人が小さく見えた。


「あんなに近くに人里があったのですね」


「あぁ、あれは小人族の村だ」


「まああ! ではあの村は国の宝ですね!」


作物の育たない地だからこそ、技術力を高めて国を強化してきた。


鉱石の加工能力、暮らしに根付いた便利な発明。


他国で群を抜く技術力を持っていたが、その力は小人族によってもたらされたと言っても過言ではない。


城下町にも小人はいたが、人の多いところを好まず辺境地に拠点を構えている。


資源の豊富な森の近くに小人族は住む。


働き者の小人族は空から見下ろしてもわかるほどに忙しく動いていた。




「私、あまり小人族とは関わったことがございませんの」


「王都には少ないだろうな」


「城にも技術者として小人族はおりましたが、なにせ寡黙な方で喋ってくれませんの」


不満げに唇をとがらせ、鼻でため息を吐く。


が、すぐに口角をあげ頬を染めて柔和に微笑んだ。




「ですがとっても優しい方でした。このブーツ、小人族の方がくださったんです」



リアムに嫁入りすることとなり、その準備に追われた日々のこと。


城に常駐する小人がルーナのために皮で出来た上等なブーツをプレゼントした。


雪の積もった森でも歩きやすいようにと、機能性に特化した作りだった。


ほとんど口を聞いてはくれなかったが、ルーナを邪険に扱うことはなかった。


不器用なやさしさにルーナは嬉しくなり、狼に嫁ごうとする気持ちを足元から支えてもらえた。



「元気にしていらっしゃいますかね……」


小人族は見た目に反して長生きで力も強い。


温厚な性格のものが多く、人と共存して生きる類稀な異種族であった。



「……お前は愛されて育ったんだな」


「旦那様?」


「いや……」


なんでもない、とリアムはそれ以上何も言わなかった。


小人族の村の上空を飛ぶと、巨大な狼の影が村を覆っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ