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十七本の赤い薔薇  作者: 西村系
第二章 出会うまで

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8/18

狩り

「黄色は狂気と腐敗、それから太陽をも象徴する―― そんな一文を、昔どこかで読んだ。けれど俺たちの中を巡る血は、残念ながらその色じゃない。赤だ。恋も、情熱も、恐怖も、すべて同じ色で脈打っている。」


 僕の名前は松本勇気、今年で17歳だ…

 一昨日、僕は親父と”喧嘩”をしてしまい――


 彼を、殺してしまった。

 その時、僕は大切な家族を一匹失った。


 …それから、悲しみに身を包まれて僕は雨に打たれながら夜道を歩いた。

 そのまま目を閉じて、車に轢かれるために道路で眠った。

 でも、親友が僕を見つけて、何日間か看病をしてくれた。


 その結果、顔をぼこぼこに殴られていたが何とかなった。

 ハハ、イケメンのままだ。

 

 それから三日後、僕は目覚め――

 シゲイチにこれからを告げられた。

 今、学校には僕が旧校舎の不良たちとつるんでいるクズで、その上音楽の幸子先生を妊娠させたという噂が立っている。


 誰がこんなくそみたいなことをしたのかは全く知らないが、そんなことはどうでもいい。

 今、旧校舎の誰かが行方不明になっているらしく、それも旧校舎のなかでも有名で力のある人らしい。

 殺害でもなんでも、今は黒川高校の生徒たちが疑われている。


 その中でも、なぜか放課後に消えるという僕が…一番に上がっているらしい。

 …消えるといっても、僕はラッキーの世話をしに山に出かけていただけだが、彼らはそんなことは知らない。

 それに、確かに僕は冬の間バスに乗らず、独りで家に帰っている。

 疑う理由は、ある。


 話を戻そう。

 今、たった今。

 朝七時五十八分。

 校門の前に、いつもの先生以外に大人の男性たちが集まっている。


「シゲイチ」

「わかってる、でも勇気、忘れるな、あいつらはお前の顔を見たことがない。お前は10年間目立たずに生きてきた、それが今役に立つんだよ。誰も、お前の顔を知らない、顔のない人間を探すのはどれだけ大変なのか、わかるか?」

「…うん」

「じゃあ背筋伸ばして歩け」

 背中を押されて僕は校門から中に入った。

 一瞬、変な目で見られたが…確かに彼らは僕の特徴を一切知らないようだ。


 校門の前に青黒いローンぐコートを着ていた男性が、ほかの男性たち二人ぐらいと一緒にいた。

 手には、写真が表から出てくるカメラをもって生徒たちの写真を撮って地面に置かれたバッグに写真を投げ入れていた。


 そして、カメラを下げると彼はまたしゃべり始めた。

 色と、その意味についてまた。

 黄色に、赤に、今度は黒色についても語り始める。


「でも、俺はロックが欲しいッ! もっと危ういものが欲しい、もっと強い心を持つものが欲しい! 不敗なんて一発スポンジで掃除すりゃ解決だがロックは違う! ロックにこそ色が宿るものなんだ。そこのくるくるパーマ野郎。こっちこい」


 僕じゃないと思って歩き続けていると、彼はまた叫び始めた。


「そこの何とかかんとかの一般人糞野郎! その薄汚れたジャケット着た貧乏人! こっちに来いといったんだボケナス!」


 僕は振り返って、彼を見ると

 男はカメラを僕の顔に向けていた。


 パシャッ


 写真を撮られた。


「よし、来い」

 手で来るようしぐさをされた。僕はシゲイチの顔を見た。

「怪しまれたくないんなら行って来いよ」

 シゲイチがそういって、先に学校の中に入っていった。


 僕は割れたアスファルトを踏んで徐々に色の男に近づいた。

「よろしくねっ」

 男は満面の笑みで僕に握手を求めた。


 この人…なんて情緒不安定なんだ…


 僕は右手を出して、男と握手をした。

「名前は?」

「……星野です」

 

 嘘をついた。

「星野?」

 フルネームを求められている。

「星野…源…?」

 疑問形で返してしまった。

「ふ、ふふふ。面白いひとやぁん」

 男は優しく笑ってから、その後もニヤニヤしながら僕を見てつづけた。

「で、本名は?」

「あ、松村健です」

 よし…

「へぇ、何年生?」

「二年生です」

「若いねぇwww」

「高校生ですので…」

「それは見てわかるよ」


 男は笑うのをやめてバッグに手を突っ込んで写真を取り出した。


「この女の人、知ってたりする?」

 写真には、茶髪の、僕より年下そうな女性の背中が映っていた。

 でも、顔は見えない。

「いや…背中からはわからないですね」

「この人ね、エリナちゃんっていう女の子らしいんや」

 男がしゃべって、体を動かすごとにロングコートが踊る。


「エリナ…はい」

「聞いたことないの?」

 男はまた笑うのをやめた。

「ない…ですね」

「仕方ないよね」


 真顔のままそういうと、男は手を出した。

「これは何だと思う」

 彼の手のひらは、切られた傷が大量に残っていて、指先も傷だらけになっていた。

「わからないです…」

「私は、昔から色が見えないんだ。でも、赤色を見るのが夢で、自分を何度も切って赤色を見ようとしたんだ。悲しいだろう」

「はい…か…悲しい…? ですね」

 またもや、疑問形で言ってしまった。

「…もういい、学校に入れ」


 そういわれて僕は走って校内に入った。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――

「松村健。松村健。よく覚えておけ松村健だ。松、村、健。わかったか」

 後ろの二人に向かって色の男が言った。

「はい。」

 二人が静かに返事をする。

「今から松村健を観察する」

「はい」

 同時にまた返事をした

「写真は、僕がとるからね」

「はい」


 松村健は、その後校内に入るとそれを色の男は追った。

「すみません、ここ生徒と教師以外は許可がなくては――」

 パシャ

 色の男は写真を一つとって裏側にノリをつけて教師の顔に貼り付けた。

 写真の上側を抑えて、ゆっくり丁寧に教師のでこに貼り付ける。

 それも静かに、まるで仕事をするように一言も言わずに。


 そのまま前に進み松村のいるクラスまで歩いていく。


「はぁ、おいらはなんて忙しい人なんだ。なんて、なんて忙しくてロックで、こう…色とりどりなんだ」

「はい」

 後ろにいた二人がまたもや返事をした。


 朝の太陽で照らされた廊下をひたすらに歩き続けていると、三人の男子が廊下の先に現れた。


「ごめんなんだけどよ、あんまうちんとこで勝手されると困るんだよね。勇気の友達だか何だか知らないんだけど、旧校舎のやつらには”いらっしゃいませー”で入れさせるわけにはいかないんだよね」


「えれ、あれえれ、あれえれあれえれ。勇気君? 松本勇気君?! 知ってるの?! わぁ、マジ救い、きみたちだいすきだよぉもぉ。教えて、どこにいるか教えてよ」

 

 色の男は男子生徒たちのところまでゆっくり、厚底のブーツを鳴らしながら歩いていった。

 左手にカメラを持ったまま両腕を広げていた、まるでハグを求めるように。


「気持ちわりぃやつだな。いいぜ、学校の中でもなんでもやってるやる」

「えれ? 俺楽しみたかっただけなのに」


 生徒の一人が右手を後ろに出しながらパンチをする構えをして近づくと、ついに色の男にパンチで切る距離まで近づいた。

 不器用なパンチが飛んでくると、男はしゃがんでパンチをよけて、下から生徒の写真を撮ってから顔をつかみ、コートのポケットに入っていたノリを出しで生徒の口にドロドロ入れた。


 生徒が咳をしながら地面に倒れこむと色の男はさらに子供の髪の毛をつかんで顔を上に向けさせて放し、片手で目をぱっちり開けさせてからノリを目に放り込んだ。

 生徒は苦しんで声を上げてうずくまっていた。


「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 子供が泣いている。

「クッソ…」

「勇気君を探してるんだよね、私」

 色の男が片手にノリをもってもう二人に近づいた。

「いや、いいいや…知らない。知らないです…二年だっていうことくらいしか知らないです…」

「…あっそ」


 逃げようとする子供を後ろからつかんで右腕で引き止め、左腕に持っていたカメラを子供の口に入れて、パシャリと写真を撮る。

 

 写真が出てこようとすると、生徒の口の端をわずかに斬りながら喉の奥まで進んでいった。

 結果的には、カメラは生徒の口にはよく入らなかったためが、顎が外れて、子供は膝から落ちた。


「あぁ、おちた」

「はい」

 後ろの二人がへんじをした。

「もう一人は逃げたけど、でも…勇気君は二年生だっていうことが分かった。うふ、ふふふ」

「はい」


「おいしいものが、よく口に入るようになったね。そうだ、写真。写真撮らなきゃね」

 色の男はカメラを取り出し、顎が外れて元に戻そうと、痛がりながら声を出す生徒の写真を撮った。


「…んんん、いらない。あげるよ」

 そういって写真を捨てた。


「学校を探索しよう。わたくしが高校に通っていた時は、まだ旧校舎だったものだから、見慣れないんだよねぇ、ここ、楽しいや」

 色の男はそう言ってカメラをコートの中にしまって、ついてくるよう後ろの二人にしぐさをし、歩いて先へ進んだ。



「授業がな。あと10分で始まるんだよ」

 三人の後ろ。

 ロングコートの色の男の背後をとった一人の生徒がいた。


 その生徒は、ガタイがよく、腹が出ていて、髪はかき上げにしていた。

「最高に美しい糞にしてやる、目も開けなくなるくらいな」


 ガタイのいい生徒は、色の男と同じく両腕を開いて相手を煽った。

「来いよ糞糞うんこまんよ」

 

 生徒の名前はシゲイチ。


「金属バットねぇけど、サイレントヒルみてぇなパイプならあるぜ」

 シゲイチの隣には、見慣れたヤツがいた。


「完璧につぶしたら、シゲが好きな美しい糞にできるかもなぁ?」

 乱れた制服、靴の履き方はまるで不良そのもの――


「晴臣とシゲイチコンビだぜこのヤローッ!!」

「勇気には手足一本触れさせねぇぜ、先生だって俺らのこたぁとめられねぇ」

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