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十七本の赤い薔薇  作者: 西村系
第三章 秋山有・羽田家先輩

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18/18

探偵

「最近は鶴丸さん学校に来なくなったみたいだね」


 エリナと初めてバスに乗ってから約一週間、僕はシゲイチらといつものように話していた。

 パソコン室の中でだらだらしてパソコンを触ったりだとか、椅子を回したりだとか。


 パソコン室のカーテンは常に閉められていて暗く、地面は湿っていて、ケーブルがそこら中に貼られている。

 転ぶ可能性もあるっちゃあるが、地面には灰色のカーペットが敷かれていて転んでもいたくはないようになっている。

 ところどころ茶色く汚れているところがあるのは、技術の先生が、もう年を取りすぎていてパソコンを触れない上にいちいちコーヒーをもった状態で転んで落とすからだ。

 

 落とすごとに「うぅ、また落としまったとぉ」とか言って立ち上がっては職員室に戻って新しいコーヒーを取りに行く。

 でも結局また落としてしまう。


「そうだなあ、確かに、来なくなったな」

 シゲイチがパソコンを見ながらそう言うと、晴臣がマウスをカチカチしながらこう答えた。


「前に見た時は校門の方で赤い車のお迎えが来て、中に入っていくのを見たよ」

「へぇ」


 僕は二人の方を見て言った。

「あの人大丈夫なのかな? 学校休んだことなかったし、風とか、何らかの病気になったことってなかったし」

「確かにね」


 僕が言うと、晴臣は指を指して答えてきた。

 まるで名探偵が犯人を当てるかのように。


「勇気」


 すると、入り口の方から女性の影が壁に寄りかかっていた。

 

 エリナだった。


「一緒に帰ろうよ、あともう少しでバス出るみたいだから」

「あ、マジ?」


 僕はそう言って、彼女の顔をちゃんと見えるように背筋を伸ばして前にあったパソコンから顔をひょっと出した。

「うん」


「いいよ行けって」

「そうだそうだ」

「へ、へへへ。ありがとうお前ら」


 僕は鞄を左手に持って立ち上がり、エリナのところまで行った。



 二人で入り口の靴箱まで歩いていくと、僕は彼女に話しかけた。

「最近鶴丸さん見た? あの、バスで僕の隣に座った人」

「あぁ、あの人?」

 

 エリナは靴を履きながらそう言うと

「いや、見てないよ。ここ一週間くらいは学校じゃ見てない」

「そうか」

「何?」


 エリナが聞き返してくると、僕はとにかく靴を地面に置いて、はき始めた。

「あ、行方不明ってこと?」

「いや、そういうわけじゃないんだけどな。多分…」

 

 そういって、僕は靴を履いた状態で足の後ろを地面にトントンして、先に進む。

 エリナも僕の隣をついてくる。


「でも何あの人、勇気とめっちゃ仲いいみたいな感じ」

「一応、普通くらいだと思ってたんだけど…確かに最近は様子がおかしかった」

 

 鶴丸は中学に入ってからはろくに僕と話そうともしなかったし、目向きもしてくれなかった。

 でも、高校に入ってたまに話しかけてきたりだとかもあったけど…

 最近みたいに、触ってくるのは初めてだった。


「…そんなに気になるなら探してみる?」


 エリナが扉の前で止まってそういってくれた。

「一緒にってこと?」

「まぁそうなるね、私もそういうの放っておけないし」

「…まずは情報集めになるかな」


 僕はそう言って、扉を通って二つの並んだバスたちを見た。

 それに、エリナは僕の隣で同じことをする。


「まずは、奥海陽に入るバスと、海陽の住宅街を通るバス…」

 僕はつぶやいた。

「鶴丸の家も知らないわけ?」

「いや、知らないよ。知ってるわけないでしょ友達でもないのに」

「…わかった、情報集めね、手分けしてみんなに”鶴丸の家はどこですか”って聞くの?」

「話が早いじゃないか、でも、そうだよ。僕は住宅街に入るから、エリナは奥海陽のバスに乗って。知らない生徒でもなんでもいいから全員に話しかけて、情報を絞り込んでくれ」


「イエッサー!」

 エリナは右手をおでこにあげて、軍隊のように背筋を伸ばしてそういった。


「じゃあ、行こう」



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