表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十七本の赤い薔薇  作者: 西村系
第二章 出会うまで

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/18

校舎内侵入

 死体を隠す方法なんてない。

 だって、私は死体を運んでいなかったから。


 私の名前は田中エリナ。

 数日前に羽田家という女性と、ルカという先輩につられて旧校舎に行ったが――


 簡単に言えば、羽田家は女子高生が好きなレズ女で…ルカはただのバカ。

 私は旧校舎から逃げるためにルカを使用し、羽田家の車を奪い、家に逃げ込もうとしたその時。

 羽田家が私の家の前にいた。

 いろいろと話をしてから、私は彼女の首を絞めて殺した。


 …と思っていた。


 1時間かけて裏庭の倉庫に死体を運び込んだが、数時間後に倉庫の中からバンバンたたく音が聞こえ、彼女が生きていたことが分かった。

 そう、私もルカと同じで馬鹿だから彼女の息を確認していなかったのだ…


「ねぇ、エリナちゃん。出してよ、うちさ、絶対に裏切ったりしないし、あんたの親みたいに見捨てたりはしないし、弟君ならっ、うちも手伝うから! 幼い子供なんでしょ」


「お願いエリナちゃん、大好きだから。ねぇ」

「私さ、別にあんたのこと好きじゃないんだよね。なんなの。”首を絞めてぇ”とかさ。イカれてんの? 気持ち悪いんだよ本当に」

「そんなうち、きつい言葉をかけられると――」

「倉庫の中に残れ。もう扉は叩くな。明日は普通の生徒として私学校行くから黙って一日過ごしてくれるかな?」

「…うん」

 ―――――――――――――――――――――――――――――――

 なんだかんだ悪く言っといて――


 私は、学校へ行って、知ってる人たちに会うのがなんだか楽しい気がして…

 本来休んでも仕方のないような状況なのに、昔の日常に戻りたくて…


 お母さんはもう…本当に戻ってこないのかな。


 家の後ろにある路地を抜けてから冷たい風にさらされながら考えていた。

 あまり、”日常”について深く考えたことはなかった。

 でも、こう思えば…必死に学校に戻ろうとしてる姿勢…

 私…


「エリナ! おはよう!」


 そうだ、そういえばルカも海陽の住宅街に住んでいた…

「聞いた? 羽田家が行方不明になったってよ。よかったな」

 走って私のところまできてから、上がった息のまましゃべり始めた。


「落ち着きなさいよちょっと、年上なんだからさぁ」

「へ、へへへぇ…」

「で? 何が起きてるの? 行方不明で?」

「羽田家がいなくなってから何日かするけど、最初はただの家出か、ヤクの使い過ぎで死んだか…って噂されてたけど、直前に車をなくしてたらしくて…ってこれは、多分俺たちだよな」

「うん、なくなってるっていうか、借りられてたね。そういえば車どうしたの?」

「とにかく、海陽橋の駐車場に止めておいたけど…」

「あんたがいた証拠とかは? 警察を呼ばれてたらあんたと私がまず第一容疑者だからね」

 

 バカな男の顎に人差し指を指しつけて、顔を近づけて圧をかけた。


「車内は…適当に掃除はしておいたけど」

「”適当”に? 警察がうちのところまで来たらあんたマジでぶち殺すどころかバラバラにして中学の給食に出してやるからな」

「あ、う、うん…ちゃんと掃除したよ。」

「だろうな」

「……それで、今――」

「さっさと喋って」


 私はルカに鋭い目つきをすると、彼はすぐにしゃべり始めた。

 時間がなかった、あともう少しでバス停につく。

 バス停には、ほかの生徒もいる。

 こんな会話聞かれたら、まずい…よりもまずい。


「”有”っていう旧校舎を今のところ仕切ろうとしてる人が、行方不明の羽田家を直接探してる。何なら、エリナちゃん後姿の写真を撮られてて…それを今大量の人に見せながら”松本勇気”と、”田中エリナ”それと怪しそうな生徒たちを何人か探してる…」

「てことは?」


「髪型を変えるか、めちゃくちゃマッチョになって後姿を――」

「殺すぞ」

「ごめんなさい」


 彼が謝ると、バス停が見えてきた。


「勇気って誰?」

 だから、もう少し公共の場で話せそうな話にする。


「松本勇気? 俺と同じクラスのやつなんだけど…ただ、あんまり目立たない奴で」

「へぇ、どういうこと?」

「だから、小学も、中学もずっと一緒だったんすけどね。物静かな奴で…ずっと同じメンバーと一緒につるんでたんすよ、晴臣、シゲイチ、ハンナ…くらいですかね」


 バス停にたどり着き、少ししてバスが止まると、大量の生徒たちが運転手に挨拶をして中に入り始めた。

 私たちも列に並んで、少しずつ進み中に入っていく。


「ほかに名前はないの?」

 私はルカに質問した。


 彼はバスに先に入ると、運転手に挨拶をしてから答えた。

「他? 他知らないな。松本勇気意外は覚えてない、同じクラスだからなんか引っかかっただけだよ」

「そっか」


 私も挨拶をして非常にうるさいバス内に入って席を探した。


「こっち」

 後ろから三つ目の右の席の窓際にルカが座って、手を挙げて私を待っていた。


 すぐ近づいて席の前に立った。

「窓側がいい」

「はぁ?」

「窓側がいいんだって」

「なんでだよ、俺が先座ったのに」

「窓側」

「…めんどうくさい女だなぁ」


 バカな男はリュックを手に持って、立ち上がってから私を通してくれた。

「ありがと」

 彼に笑いかけて私は窓側の席に座り込んだ。

 その後彼も私の隣に座る。


「でもな、なんといっても面白い理由があるんだよ」

「え? なんの話だっけ?」


 ルカが突然私の方を向いて話しかけてきた。

 動揺して、彼を見つめる。


「だから、松本勇気!」

「あぁ」

「あいつね、バスに乗ってるところ誰も見たことがないんだってよ。実際ここら辺住んでるって聞くけど、だれも家を見たことないし、俺ですらもあいつがバスに乗ってるの見たことないんだよ。面白い人だろ?」

「うぅん、まぁ」


 バスに乗らない理由ならいくらでもある。

 まず、うるさい。

 二つ目に、人間臭い。

 三つ目に、人間臭い。

 四つ目に、人間臭い。


「どういう見た目してる人なの? フツーに学校にいるのに誰も知らないの? ほぼ空気みたいな人?」

「まぁそうだね、ほぼそう。顔は大体わかるんだけど、今はみんな知らないふりしてる」

「なんで?」

「…音楽の先生を妊娠させたとかで、だれも近寄ってないんだと。近寄ってないっていうか、ここ三日四日くらいは学校来てないねあの人、多分今日来るんじゃないかな。こう、肩に届くくらいの長いくるくるパーマの人で、鼻が高くて外人みたいな顔してる」


「……あんたゲイ? 口調的に惚れてるみたいじゃん」

「いや、い、」

「あんたの趣味なんてどうでもいいけどさ」

「ゲイじゃないよ…」


 しょぼんとしてそのまま下を向き始めたので、私は外を見つめた。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――

 しばらくすると、30人ほどの生徒を乗せたバスが学校の前の駐車場に停まった。

「なんか見えるぞ見えるぞぉ」

 私は寝てしまって、おでこをガラスに擦りつけながらよだれを垂らしそうになっていたが、知ってる声が聞こえて目が覚めた。


「おい、いるぞ」

 ルカが外を指さしながら言った。

 彼の後ろには大量の人が立ち上がってバスを出ようとしている。

「ついたのか…何」

「いや、多分あの大人たち…旧校舎のやつらなんじゃないかなって。多分、容疑者たちを探して…」

「は?ハ?はぁ??」

 

 私は動揺してルカの方を見て彼の両肩を強くつかんだ。

「学校の裏側から入るから手伝いなさい」

「え?は?」

「男なら女一人の願いくらい聞き入れろ!」

「いや、わかったって…」


「私バスから出るけど、あんた常に私の前を歩いて私を隠して」

「お、おお…」

「それから自転車置き場に行ってそのまま裏に回るから」

 

 作戦会議をしてからルカは私に「グッド!」

 のサインをしてから、もう誰もいないバスの中で立ち上がって先に歩いた。

 あとをついて影のように背中に引っ付いた。


 バスを出ると、まず男の声が聞こえた。


「――――」


 正直聞く価値のない言葉ばかりであまり注意は払っていなかった。

 しかし、なぜかルカが校門に向かっている。


「自転車置き場は右だボケカス! 右右!」

「あぁ、ごめん」

 

 校門から中に入ろうとするルカの靴を強く踏みつけて注意をした。

 ふぅ…

 ―――――――――――――――――――――――――――――――

 自転車置き場には自転車が二つしかなかった。

 カゴが付いているものと、右側だけ土だらけの自転車。


「ねぇ、これどっちかさ勇気とかっていうやつの自転車だったりするかな」

「…バスに乗らないから、可能性はあるんじゃないのか」

「ふぅん。」


 歩いていると、校門から遠のいたのでルカから離れた。

「ありがとう。教室の窓から中に入るから問題ないよ」

 私はお礼をしてグーを出した。


「え? グー?」

「手ぇ出せよ」


 彼の手をつかんで私の手に軽くぶつけさせた。


「…おう」

「また」

「またな」


 別れを言って私は一階の教室のベランダに脚を入れて中に入った。

 そのままガラスの扉を開けようとすると、閉まっていることに気が付いた。


 軽く扉をたたくと、中にいる人がすぐに開けてくれた。

「え? なんですか?」

 

 聞かれたが、私はお礼だけ言って女子の前を通り校内の廊下に入った。


 よし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ