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十七本の赤い薔薇  作者: 西村系
第一章 田中エリナ・松本勇気 プロローグ

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松本勇気

こちらの小説は俺が一番最初に、中学の頃に初めて書いたものをもっと丁寧に書き直したものになります。

一話から出てくる登場人物が多いから少しわかりにくいかもしれないんですけど、まぁ、理解できるようには多分書いてます。

”十七本の赤い薔薇” これからよろしくお願いします。

 昔の僕は外を眺めるのが大好きだった。

 その趣味は別に変わったわけじゃない、でも、外を見ると故郷を思い出す。

 何となく、胸が苦しくなって。家族を思い出す。


 僕の名前は松本勇気。


 僕が愛のために何をしたのか、死ぬ前に文字にしおこうと思う。

 すべて、最初から。

——―——―——―——―——―——―——―——―——―——―——―——―——―——―

 20XX年、冬の雪がまだ溶けない春に。

 高校2年生の僕はいつものように授業を受けていた。

 学校では”シニカルな人”としてあまり人気ではなかった僕には人はあまり近づいてこなかった。

 しかし、小学からの友達のシゲイチだけはいつも味方をしてくれた。

 今では、彼は右後ろの席に座って授業中はいつも寝ている。


「カレー味のうんこと、うんこ味のカレーどっちがぁwwwwww」

 英語の授業中、班になって4人で話し合いをしているとシゲイチがふざけて変なことを言い始めた。

 僕の班にはほかにも、晴臣はるおみとハンナがいた。

 晴臣は不良みたいな顔をしたなんだか適当な奴で、同時に少しヒステリックなところもある。適当なくせして班で勉強するときだけは完璧主義なつまらないやつだ。

 ハンナはメガネをした低身長な女の子でシゲイチとやけに仲がいい。


「いちいち小学生みたいなこと言ってないでさっさとやろうぜ?」

 晴臣が片手にペンを握りながら班の中心に置かれた白いボードを眺める。

 今回は日本語の小説の一部を英語に翻訳する授業だ。

 みんなで一体になってやることになるが…正直一人でやったほうが効率がいいと思うが先生の言う通りにしょう…


「ちぇ、めんどくせぇやつ」

「ちぇえ」

 ハンナとシゲイチが舌打ちを打って晴臣をふざけながらにらめつけた。

「なぁ勇気も言ってやれよ、こいつ普段ずっとサボってんのにリーダーぶってよ――」

「別にいいと思うけど、結局お前らも仕切る気ないだろ? なら晴臣に任せておこうぜ」

 シゲイチの話を遮って僕が晴臣をかばった。

 晴臣とは別に親しい仲ではないが、友達じゃないわけじゃない。


 少しの間みんなが静かになり、ほかの班たちがしゃべる声だけが教室の中に響き渡る。

「thank youってどういたしましてだよな」

「バカにもほどがあるぞ晴臣、庇った意味もないじゃないか」

 もう晴臣は僕ですら庇えない、今の一言は爆弾だった。

 シゲイチとハンナに火をつけ、二人が大声で笑い始めた。

 

「だからして、だから、だからなので、だからしては、だから、だからしたら、だからバカラン、バカラ」

 意味なんてひとつも拾えず、ただ“だから”だけが耳の奥で跳ねていた。

 班の活動が終わると、今度はまた先生の永遠に続くような授業が続いた。

 長い時間ずっとぺちゃくちゃしゃべっては、教室の中でぐるぐる回り、片手に持つ棒で黒板を指していた。


 何も集中できない授業で、ひたすら先生のアホみたいな顔を眺めるわけにもいかなかった。

 僕の左側には冷たい山々が広がっていた、それも、大きく、美しかった。

 

 こうやって山を見つめるのは好きだ、というか、山は好きだ。

 季節ごとに色は変わる、だから見ていて飽きはこないし、それに積もっていく雪を見たり、日に日に黄色くなっていく葉を見たり…

 風で揺れる木々たちを見るのは何というか平和だった。


 しかし、山に住もうとは思えないし、登ろうとは思えない。

 正直イカれてる。

 クマに出くわしたら山の中で仲良くお茶会にはならないだろうし、サルも、それにイノシシも…

 山はいいが、住もうとは到底思えない。

 

 死体を隠すのに、最適な場所でもある。


 

 放課後、一緒にシゲイチと自転車で帰った。

 本当はまだ雪のある間は自転車での通行は校則で禁止されているけど、僕とシゲイチはあの人間臭い学校のバスには乗りたくなかった。

 骨の一つや二つ、滑って落ちて折っても自業自得だ。

 

 嫌いだ、嫌いだ、嫌いなんだ。

 学校のすべてが、人が、バスが、授業が…

 自由になりたかった。学校なんていう刑務所から逃げ出して…

 そうしたら、シゲイチはついてこないだろうな…


 シゲイチは、僕とは正反対で友達が多くいて、明るくて、冗談がうまい…時もある。

 ”家出がしたい”なんて言い出したら、こんな僕のために今の人生を捨てるようなやつではないと思う。

 そんなやつだったら、バカだ。

 …ある意味予想通りかもしれないな。


「勇気、最近ラッキーはどうなんだ?」

 突然シゲイチが大声で聞いてきた。

「ラッキー? あぁ、ラッキーか」

「なんだ? あんま見に行く時間ないのか?」

 心配されている。

 別に塾に行ってるわけではないし、習い事もないが、最近は家の事情もある。


 あまり、山に入ってラッキーに顔出しはできていない。


「シゲイチ、今日は時間あるのか?」

「あるよ、俺がラッキー見に行こうか?」

「ありがとう」

 そういうと、シゲイチが次の交差点で右に曲がった。

「また明日!」

「おう!」

 別れて、僕は家に帰ろうと思ったが。

 

 そうだ、少し腹が減った。

 コインランドリー近くのコンビニに寄ろう。

 

「紅鮭と、マヨネーズだったら…」

 大量のおにぎりが並べられた冷たい冷蔵庫の前で独り言を言っていると突然隣に茶髪の女の人がデカいバッグをもって現れた。


「…」

 横目で彼女を見ていると、僕より年下なのがわかった。

 長い茶髪に年下で、うっすい青のトラウザーに、太ももから膝の部分にかけて片脚だけ茶色の花柄がある。

 革製の靴を身に着けていて、上半身に着ている緑のタートルネックにその上から着る太めで茶色のカーディガンによく似合う。

 

 なぜここまで観察する必要があるのかというと、さっきから彼女はずっとバッグに丁寧におにぎりを積んでいたからだ。

 …当然お会計をせずに。


 別に僕が口出しするようなことじゃない、それにあまり関わりたくもないが…

 こんなかわいい女の子の人生がおにぎり何個かでめちゃくちゃになるのもなんだか気分が悪い。


 …


 どうすればいいんだろうか。

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