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6話

「ねぇ、剛。何でそんなに不服そうな顔してるの? 私といるのにさ〜」

「胸ポケット見てみ。俺よりも、ジャムの方がご機嫌斜めだぞ」


 結局、我が家で朝食を食べた後、マニルと一緒に登校することになり、今現在は電車の座席に隣り合わせで座っている。


「あ、本当だ。ふふっ、ジャムは昔から剛のこと敵対視してるもんね〜」


 ジャムは、豊満な胸により圧迫された胸ポケットから顔を出し、ひまわりの種をやけ食いしている。時折食べるのをやめ、こちらを睨んでくるのが腹立たしいような、可愛いような。

 小動物相手に俺もまけじと睨み返す。


「まぁジャムはどうでもいいけどさ、マニルと一緒にいると余計に目立つんだよ。通学の時なんて特にな。ほら、周り見てみろよ」


 スマホをいじるフリしてちらちら視線をこちらに移す人。

 後ろにいる誰かを探すフリして振り返って見てくる人。

 なんのフリもせずにまじまじと見てくるヤバい人。

 遠くからアプリの無音カメラで撮影するもっとヤバい人。

 好奇な目を至る所から感じる。


「それって、私が皆の目を引くほどの美少女って褒めてくれてるの?」

「別に褒めてないけど。それは、ただの事実だろ」

「……ふ、ふ〜ん。なるほどね〜」


 納得した素振りをしたマニルはジャムの頭を執拗に撫で始めた。

 可哀想に。ひまわりの種が食べにくそうだ。


「だから、明日からは俺一人で学校に行くからな。穏やかな気持ちで学校に行きたいんだよ」

「でもさ剛一人でも、目立つことに変わりなくない? 私がいてもいなくても一緒なんじゃないの?」


 体をねじらせて、至近距離で見つめてくるマニル。

 目の前にいる小学生らしき男の子が、顔を赤くしている。

 君にはまだ少し早い。十二禁だ。


「でしょ? そうでしょ?」


 そのままマニルの身体はもっと近付き、俺の右肩に胸が押し込まれる。これが原因だ。

 マニルはスキンシップが多くて、はたから見たらカップルに勘違いされかねない。


『勇者くんに謎の金髪彼女が!』


 とかいうネットニュースが流れたら、お前も困るんだからな。


「……一人で目立つことには慣れたから別にいいんだよ」

「じゃあ、私と目立つことにもそろそろ慣れようよ」


 それにしても、胸にも触覚はあるはずだが、マニルは顔色一つ変えていない。

 当ててきた側が「あっ……」とか言って顔を赤らめるのなら、俺も「な、なんだよ」とか言ってそっぽ向くんだけどな。

 マニルがそういうスタンスなら俺も俺で、無の境地へといざ参らん。


「とにかく俺は一人で行くからな! 寝る。お休み」

「つれないな〜」

「……………………」

「げんこつ山の〜♪」

「……やめい」


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