私たちが親
暫くして、スクリーンの映像に緑が生い茂ってくると、様々な生き物が生まれ始めた。
動物の中には、見たこともない様な不思議な生物もいた。
例えば、角のあるうさぎや、翼のある馬、尻尾のある鳥に、額に宝石の埋め込まれた猫など、神話や創作の生物が時折顔を見せる。
「女神様、不思議な生物が沢山いますね」
「そう言う世界として、出来上がっていくのです。これも設定なのです。
そろそろ、仕事なのです。精霊を創るのです。」
「精霊?」
「精霊は、生き物が生きる為のサポート係なのです。
それぞれの属性をイメージして1体ずつ創れば、後は勝手に増えるのです。」
「へぇ〜」
「ベリルとシアも精霊なのですよ?」
「……え?」
「?」
「精霊を創れるのは、精霊だけなのです。」
「…もしかして、私たちが親ってことですか?」
「なのです。でも、教育は必要ないのです。行く、なのです」
こうして、私たちはあの世界に精霊を放った。
私が放ったのが、光、土、火。
シアが放ったのが、闇、風、水。
シアは、イメージがあまり沸かないようだったので、初めは、私は光の精霊を創った。
見た目は、ショートカットの発光する白髪に艷やかな銀色の瞳のクールな雰囲気の子だ。
私は、男の子や女の子をイメージしたけど、全ての精霊は中性的にしか成らないようだった。
土は、小麦色の肌に、茶色やグレー、橙色の鉱石でできたカチコチとした上に盛り上がり、
頂点のところでクルンとカールした、髪型で、
オレンジ色の瞳…をイメージしたけど、瞳は赤茶色になった。
この子は、気の強そうな感じの子だ。
光よりも、逞しい気がする。
ちょっと、工夫を凝らそうと私は考えた。さっきから、髪型はショートばかりだ。
火は、まろ眉にショートボブくらいのツンツンした炎がパチパチと燃えている髪で、気弱そうな感じだ。
髪色は、炎の色で、瞳の色は髪より明るいオレンジ色の火が揺らめいている。
シアは、まず闇を作った。
闇は、明るい、可愛らしい雰囲気の子だった。
ロングの吸い込まれるような濃い黒髪と黒目で、肌はとても白い。
風は、ショートボブのビビットな緑の髪と瞳の子だった。
若干体が透けているのは、風だからだろう。
ちょっと釣り目で、悪戯っ子のように見える。
偶に、1房の長い髪が、ゆらゆらと風に合わせて揺らめいていた。
水は、とても長い水色の髪とタレ目がちな水色の瞳の、おっとりした雰囲気の子だった。
左目尻に黒子がある。
髪は、長くドロリとしており、しかし、漏れ出はしない不思議な液体のようだった。
創った精霊は、だいたい7歳くらいに見える。
その後は、30分ほど世界を眺めていた。
ここからの展開は、早かった。
精霊が急激に増えていき、荒れた大地を魔法?を使って、整備して、急速に沢山の動物が生息圏を広げて、増えていく。
その内、人間の村らしきものができだした。
らしき、というのは、人間以外にも、
角の生えた人間(鬼人?)
耳の尖った人間(エルフ?)
小さな人間(ドワーフ?)
獣の耳や尻尾のある人間(獣人?)
の村もあったからだ。
人口が多い順でいえば、恐らく、人間、獣人、鬼人、ドワーフ、エルフだろう。
あと、エルフは長生きで、強力な魔法も使える。
魔法は、精霊が力を貸しているから、使えているのだと、思う。
また、精霊の姿は、エルフにしか見えない。そして、エルフとは半ば種族と言えない。
エルフとは、人間、獣人、鬼人、ドワーフのいずれかが、精霊に気に入られて、半精霊化したもの、もしくはその子孫なのだ。
コレは、女神様が説明してくれた。
また、半精霊化は産まれてから確認できるもので、親の種族関係なく、
細身で美しく、耳の長い、某エルフの姿になる。
そのため、種族を捨てたとして、あまりよく見られない場合も多い。
また、エルフの寿命は、200年ほどで一番長い。
ちなみに、2位は人間だ。
とはいえ、まだまだ生活環境も悪いため、改善すればどんどん寿命も伸びていくだろう。
と、オパールが言っていた。