バカ
「ライト、やろう」
そう言ったのは、勇者の親友である騎士だった。彼は、鎧に鋭い十字の跡が胸についている。
血の染み付いた鎧からは、未だに血が滴っている。
「ちょ、何いってんのよ!?バカルド。本当に、精霊かも分かんないのに!」
そう言ったのは、猫獣人の拳闘士だった。
しかし、全身に切り傷や火傷を負っていて、細長い筈の尻尾は拳一つ分ほどのまでしかなく、
左耳はネズミに食われたように欠けていた。
「いえ、この方は精霊ですわ。かなりの力がある。」
そう言ったのは、白髪に銀色の瞳のライトエルフだった。
しかし、片目から血の涙の跡があり、閉じている。
「ほほう。エレイラが言うなら、確かじゃな」
そう言ったのは、黒いトンガリ帽子と黒いコートの杖を持ってはいるが、
腰のピント伸びたお爺さんの魔法使いだった。
しかし、右腕がない。
「ライト好き、なよう、して。」
そう言ったのは、顔面の左半分に火傷を負ったせいで、話辛そうにしている、
旅の途中で仲間になった鬼人の少女である。
「…皆を助けて欲しい」
茶髪に、銀色の瞳の青年ーライトは細かな傷はあるものの、殆ど回復していた。
私の力を与えたせいで、人の領域を超えてしまったのだ。
しかし、だからこそ、魔王を倒せた。
私は光の精霊のキラを呼び寄せ、力を与え、勇者の光魔法で、彼らの肉体を完全回復をさせた。
こうやって、間接的にしないと、100年も待たなければいけない。
これはなるべく沢山の人々に、幸福を享受してもらうためだ。
それに、この後、絶対に勇者は苦労するだろう。
こうして彼らは、国に帰り、末長く称えられた。
始めから、6人だけたった勇気ある者達のパーティー、勇者パーティーとして。
また、勇者パーティーはダークエルフの奴隷化を阻止したり、ダークエルフについての絵本を出したりした。
時々、私も助言擬きを与えたりした。
こうして、勇者パーティーの手は教育機関まで伸びて行き、
ダークエルフの人権もなんとか、確保できるようになった。
大きな要因としては、ダークエルフは闇の精霊により暴走した魔王に操られていたから、だからである。
実際には、闇の精霊の暴走ではないけど…まぁ、嘘も方便というやつだ。
とはいえ、ダークエルフが魔王に操られていたのは間違いない。
鬼人はただの戦闘狂ってだけだ。
でも、鬼人も操られていた、と言うことになってある。
鬼人といえども、全員が全員魔王の配下にいたわけではないしね。
これがもし、積極的に配下になっていた!
なんて、言われれば、鬼人全体が、
他の種族から目の敵にされるだろう。
さて、そんなこんなで、魔王嫌いの勢力に、偶に暗殺されそうになりながらも、
光の精霊のキラを付けていたお陰で、皆月が好きになり、
元気で精力的になり過ぎたためか、月の精霊として、私を崇める宗教まで創り上げてしまった。
なんだか、むず痒いような、嬉しいような……
あと、教会の中には、月の精霊の像が、
手を挙げ、後ろのステンドグラスで月生み出している、場面を描き出していた。
とはいえ、私には似ていない。
それは、髪を長くしただけのキラだった。
キラは遺憾だ。と言っていたけど。
正直、アレが私そっくりだったら、
恥ずかしすぎて直視出来なかったと思うので、キラにはそのままでいい。
と言っておいた。
それに、私は、光の他にも火、土を司っているし、使える属性だって闇以外なら使うこともできる。
キラは本当に、光だけを司る精霊なので、月の精霊にピッタリだ。
そう言うと、キラは少し悩んでいたが、満更でもなさそうな雰囲気で承諾してくれた。
キラは表情の変化が乏しい反面、
こう……周りにキラキラのエフェクトの様なモノが時々舞っていて、
通常はチラチラと雪のように、上から小さな光が降ってくる。
嬉しいときは、エフェクトが沢山、上から降ってくる。
不機嫌なの時は、キラキラが停止して、
振動しだす。
テンションが爆発しているときは、キラキラが下から上へブワリと逆流するのだ。
キラ以外の精霊にも、こういうエフェクトはある。
でも、キラ以外は殆ど肉体が変化するのだ。
例えば、土は、感情の変化で鉱石の髪の形が変形する。
どういった場合に起こるかは、あまり交流が無いので、分からないけど。




