飛びハネ舞踊る
「シア、ありがとう」
私は、眠ってしまったシアの頭を優しく撫でた。
私は、シアを起こさない様に抱き上げると、扉を開けた。
「もう、立ち直ったのです?」
女神様は、部屋にあるスクリーンを見ながら答えた。
「はい。お騒がせしました。スクリーンを後で映してくれますか?」
「分かったのです。シアはどうするのです?」
「シアは寝かせてきます」
「あぁ。そうなのですね」
女神様は、振り返って言った。
私は、シアの部屋に向かい、ソファーへ寝かせた。
部屋には、ベットが存在しないのだ。精霊も、神も睡眠は必要ないからだ。
暫く、ボーとしていれば、回復する。そう言う構造をしている。
とはいえ、元は人間なので。
やっぱりベットは恋しいのだけれど…
「人間の意識があると、不便なのですね」
女神様は私がシアを寝かせてくると、言った。
「ベットを作ってもらってもいいてですか?」
「なら、シアが目覚めてから創るのです。今は一緒に見る、なのです。」
女神様の左隣には、椅子が一つあった。
勇者ライトは、村の片付けを手伝ってい。
また、大人たちから気味悪いものとしての視線を受けていた。
恐らくライトと仲が良かった子供2人は、多少ぎこちないが、ライトに話しかけている。
ライトは、少しホッとした表情を見せた。
村の村長は、村人の数が減りすぎているため、村の援助を求めるために、他の村へ行き、物資を積んで帰ってきた。
暫くして、また村長は出て行った。
今度は、村ごと物資の援助を求めた村と合併するようだった。
そこで、ライトは曰く付きの子供ではあるが、子供のいない貧乏な老夫婦に引き取られることとなる。
そんなある日、ライトの村はダークエルフに襲われた。
ライトは、ダークエルフを戦おうとしたが、老夫婦の夫は戦いに行き、妻の方ら、ライトを匿った。
しかし、ライトは外から怒号や叫び声が聞こえると、
それを切り抜け短剣を持ち、外を出ると、ダークエルフに村の人達は次々と殺されていた。
自分が、殺すことを躊躇したから、村の人達が殺された。
ライトはそう、理解した。
それからは、早かった。次々とダークエルフを殺していった。
でも、間に合わずに助けられなかった人間もいた。
ライトは、沢山の村人に責められ、気持ち悪がられた。
老夫婦の、妻の方はその日の朝には、心臓を弓で突かれて冷たくなっていた。
家を出て行った、ライトを追いかけて殺されたのだろう。
ライトの心は消耗していた。
私は、ライトの心を癒やすために、下界へ降りて光の精霊に連絡を取った。
【光の精霊キラ。ここ来てくれませんか?】
私は、自分の生み出した精霊と、自由に連絡を取ることができる。
【ベリル様。如何いたしましたか?】
キラは直ぐに現れだした。
相変わらず、ピカピカ発光する白髪に艷やかな銀色の瞳だ。
「お願いがあって。神子であるライトを元気にして欲しいの」
「お任せ下さい。月の美しさを骨の髄まで教え込んであげましょう。
そうすれば、直ぐに飛びハネ舞踊るでひょう」
「ええっと、取り敢えず癒やしてくれたらいいんだけど」
「とんでもございません。癒やしとは、月の美しさを見ることでございます。」
「まぁ…そうだけど」
「ご心配なさらずに。この、光の精霊キラにお任せ下さい」
「…分かった。お願いね」
キラは、その場から消えた。
私も、直ぐに天界へ戻った。
キラは、上手くやってくれたようで、翌朝、ライトは前向きな表情だった。
その日から、ライトはいつも夜の月を眺め、朝の月を眩しそうに見つめるようになる。
ライトは、数日後、村長に言われて大都に行き、ダークエルフたちとの戦に送り込まれることとなる。
初めには、一平卒としてだった。
しかし、戦果を上げに、上げた。
ライトは、直ぐに前線に送り込まれた。
そして、最終選抜に生き残った各国の仲間たちとともに、
少数精鋭魔王討伐パーティーという、
初期、50名のパーティー結成した。
しかし、魔王城にたどり着く頃には、その半分以下の20名。
魔王との戦いとなると、10名となり、生き残ったのは6名となった。
彼らは、無傷ではなかった。
手足や、眼球を失っていたり、肉体も薬漬けでボロボロになっていた。
その時、私はこう言った。
【神子よ。
魔王を浄化したこと、然と見届けました。
女神様オパールに変わり、光の最上位精霊ベリルが感謝します。
魔王は、闇の精霊の暴走により、凶暴化していました。
今は、光の精霊の浄化の力により、暴走の危険はありません。
あなた方がに、一つお願いがあります。
エルフも人間も獣人も鬼人もドワーフも種族違わず幸福を享受できるよう、
戦陣を切って欲しいのです。
ワタクシも見守っております。
もし、その意志が有るのならば、
神子よ、傷ついた仲間に光魔法を使ってください。
微力ながら、力添えしましょう】




