表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12

エピローグ


***


 もう一人の少女は大の字になって空を眺めていた。

 ほんのりと地上のヴェールに覆われた夜空は一等星だって目を凝らさないと見ることができない。けれど、この街でそんなことを気にするのはその少女ぐらいだろう。

 なぜなら、空から見下ろせば地球で最も美しいであろう地上の星がそこかしこに溢れているのだから。事実、彼女が今いるヘリポートにはため息が出るような夜景が広がっていた。

 企業のマークとミュージカルのタイトルを飾り立てるネオンと液晶ビジョンが光の河ならば、屹立する摩天楼は光の森といったところだろうか。

 少女は闇に手を伸ばす。

 この二年で少女はその小さな手に何もかも掴み取っていた。

 だから―――、もういいと思うのだ。

 少女が目を瞑りかけたとき、懐のスマホが震えた。画面を見ると家族以外ではただ一人連絡先を登録している友人からだった。いつも通り愛想のない文面とともに写真が一枚添付されている。それは日本のアニメキャラを模した(フィギユア)だった。美術的には価値がないに等しい、高校生が作った平凡なプラスチック人形。

 しかし、少女は笑っていた。

 どんな著名な同業者の作品にもピクリとも反応しないその顔が。



 数時間後、「音谷しの」の公式インスタグラムは短い文章で芸術活動の停止を告げていた。


 

―――NEXT GIRL MEETS GIRL TOO


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ