8話 ヨグパンチ!!
ポイント評価、ブックマーク登録よろしくお願いします!!!
異世界に来てから5時間が経過した。
いまだに人とは会っていない。
『ヨグ様〜、町まであとどれぐらいですか?』
『このスピードだと1時間ぐらいかな?』
『これ大丈夫ですかね?もう夕方じゃないですか。夜になるまでにつけますかね?』
『大丈夫だ。私を信じろ』
『…』
『さては、魔物に襲われないかが心配なんだな?よしよし、そんな君のために私の恩恵をやろう。もし何かに襲われたりした時は【ヨグ=ソトースの拳】と言え。そうすれば大体のやつを倒してくれる。それじゃ、私ちょっとソシャゲのイベント周回してくるから少しテレパシー外すね。何かあったら呼んでね〜』
『え?あっちょ…』
次の瞬間にはテレパシーが繋がらなくなっていた。
多分頑張れば送ることも出来るんだろうけど、ヨグ様(人間バージョン)を理由もなく無理やり呼ぶと怒りそうなのでやめておいた。
町まで道のりはわかっているものの、話し相手がいなくなるとすごく辛い。
ってか、神様がソシャゲをやってることに驚きだ。
神様界隈で流行ってるゲームとかなのか?
そんな事を考えながら歩いていると、馬車(?)が道の真ん中で止まっており、周りには剣を持った明らかにヤバそうな人たちを発見した。
どう見ても盗賊だよな?
気になったので近づいてみると、襲われている馬車はかなり豪華な造りになっており、馬車自体にも相当価値があることが分かる。
「おい、大人しくしろ。大人しくすれば命まではとらねぇよ」
そんな声が聞こえる。
馬車の近くには怪我をした執事らしき人とお嬢様らしき美少女がいた。執事と思われる高貴的な雰囲気を漂わせる老人は、剣を持ち抵抗しているようだが、足を負傷している上に、人数差がありすぎて到底勝てるとは思えない。
「そこのあなた、どうか私たちを助けてくれませんか?」
俺のことに気がついたお嬢様らしき人が俺に向かって助けを求める。
助けるべきなのか?まだ絶対にこいつらが盗賊か分かっていないため、安易に関わるべきではないと思う。
「おい、そこのお前こいつらの仲間じゃないだろ?なら、今なら見逃してやるぜ?」
盗賊のリーダーらしき人物にそう言われる。
こんな時に限ってなんでヨグ様と繋がらないんだ…
先ほどからヨグ様にテレパシーを送っているものの返信はない。
こうなったら仕方ないので、直接聞いてみることにした。
「あのー、一様伺いたいんですけど…盗賊ですか?」
「…それ以外の何に見える?安心しな、今なら見逃してやるよ」
見逃してくれるみたいだが、それで良いのだろうか?俺は今、金を一切持っていないし、知り合いもいない。このままこの先の国についてもはたして、入国できるのか?仮に入国したとして、宿代とかないし…
この襲われている人たちお金持ちっぽいし、助けたら多少はお金くれそうだし…
「盗賊なら仕方ないですね。今その人たちから手を引くなら、殺さないでおいてあげますよ?」
いろいろ考えた結果助けることにした。【ヨグ=ソトースの拳】を使えば多分ワンパン出来るだろうが、一様警告する。
「せっかく見逃してやるって言ったのに、馬鹿なやつだ。おい、お前らこいつを先に片付けるぞ。獲物は俺が見張っておく」
リーダーらしき人物がそういうと、6人の盗賊が俺に襲いかかってきた。
「悪く思わないでくださいね。ヨグ=ソトースの拳」
そういった途端、盗賊たちはぐちゃという音と共に弾けたんだ。そして、先ほどまでいた6人の盗賊は肉片になっていた。
「…おい、どうなってんだ」
盗賊のリーダーと思われる人物は恐怖に襲われる。
何が起きたのか全くわからず、ただ自分の部下が気づけば肉片になっている。
魔術かとも考えたが、威力が高い上に発動までが早すぎる。
そこに立っているガキがやったことだと思われるが、もはやそれが本当にガキなのかすら分からなくなってくる。
よく見れば見るほど、それが人外に見えてくる。
完全に言葉を失った盗賊は恐怖から森の方に逃げ出した。
和樹は盗賊をわざわざ追いかけることもないだろうと思い、襲われていた人達に話しかける。
「あの、大丈夫ですか?」
「あ、はい。助けていただきありがとうございます。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「俺は和樹って言います。旅をしていまして、この近くの国に向かっていたら偶然あなたたちを見つけたので」
「そうだったんですね。私はリリアと言います。良ければ乗って行きませんか?今は手持ちのお金が少ないので、一緒に来ていただければお礼ができるんですけど…」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
和樹は内心馬車に乗れてすごく喜んでいた。
歩くよりも早くつけるし、何より話し相手がいることがとても喜ばしい。
しかし、【ヨグ=ソトースの拳】の威力が思ってたより高く驚いた。ヨグ様の事だから強いとは思っていたが肉片になるとわ…
「あの、和樹さん気になっていたことがあるんですけど、先ほどの盗賊を撃退したあれは、なんだったんですか?魔術とはとても思えないんですけど…」
「えーと…秘密です」
考えたがいい言い訳を思いつかなかったので、秘密で通すことにした。ちょっと無茶があるとは思うが、説明することもできないし…
なんやかんやで馬車に乗ることができた和樹だったが、和樹はこれら一連の出来事が神によって、全て仕組まれたものだということを知らない。
補足ですが、主人公の和樹君はすでに1度発狂しています。そのため和樹くんの思考回路は一部狂っている部分があります。また、眷属になった影響もあり、ヨグ=ソトースに対して絶対的な信頼があります。
そのため、ヨグ様が魔物が来ても大丈夫って言っていたため【ヨグ=ソトースの拳】で人間ごときを倒せないはずないと考えていました。