7話 ヨグ様の加護
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一体どのぐらいの時間が経ったのだろうか。
まさか、この世界の滋賀県が完全な未開拓地域だなんて思ってもいなかっただろう。
ヨグ様曰く、京都に位置する場所には国があるらしいので、取りあえずそこに向かっている。
ちなみに、ヨグ=ソトースってのは長いからヨグでいいよ〜ってヨグ様が言ってくれたので、ヨグ様って読んでいる。
歩いている間もヨグ様は絶えずこの世界について話してくれた。
まず、天下統一はされておらず、さまざまな国が存在ということ。次に、魔物と言われる生物がいて、魔法、魔術が一般的に知られていること。その次に、神についての説明。
ヨグ様によると、神にも4つほど種類があるそうだ。
1つ目が外なる神。
神々の中でも力の強い神が多く、この宇宙の創造者や、ヨグ様もこれに該当する。基本的に人間とかどうでもいいと思ってる神が多いらしい。ただし信者は例外。あと、クソ強い。
2つ目が旧支配者。
名前から分かる通り、元々力が強く、宇宙の星々を支配したりしていた神。現在では弱体化していたり、封印されていたりすることが多いそうだ。復活したら人類が滅びる奴とかもいるらしい。俺がカナダで出会った神も、ここに分類される。厳密には神ではないやつもいるらしい。あと、かなり強い。
3つ目が旧神。
神の中でも少なく、理解がある人間には邪神(上2つの神)と戦うための力をくれたりもする。人間目線だと良い神。力の強さ的にはかなり差が大きく、弱い神もいれば、外なる神に匹敵する神もいるらしい。
4つ目がその他
有象無象の神。ごく一部以外は宇宙生命体(宇宙に住むさまざまな種類の生物。神に仕える奉仕種族なども含まれる)でも殺せたりする。土地神とか、力の弱い、形だけの神が多くいる。要するに弱い。人間目線だと、そこそこ強い。
俺がもといた世界では、旧支配者と外なる神は邪神扱いだったらしい。
ヨグ様は旧支配者の一角ぐらいは倒して欲しいようだ。理由は明確には教えてくれなかった。逆に、それ以外は特にとやかく言うつもりはないみたいなので、人生を謳歌するにはそれぐらいの刺激がちょうどいいのかもしれないと考え、いったん置いておくことにする。
『あー、そう言えば和樹くん、君人間じゃないからね?そこ理解してね?見た目は生前の君と変わらないけど、私の眷属になったから、外的要因以外では死なないよ』
『寿命が無いって事ですか?』
『まあ、そんなかんじ。あとは、身体能力が多少上がったる。魔術とかも使えるんだけど、君はまだ私が与えた力を使いこなせないから、まあ、おいおい教えていくよ』
以前の俺なら人間じゃないことに抵抗があったと思うが、神を目の当たりにしてどうでもよくなってしまった。
『魔術と魔法ってなんか違います?』
『魔術は知識と技量と魔力があればどんな生物でも使える。魔法は種族として、生まれ持った能力で、努力で使えるようにはならない。極端な話、人間は魔術は使えるけど、魔法は使えない。この世界でも、魔法使いは一目置かれる存在になってる』
『なるほど…』
そんなことを話していると、人工的に作られた道を見つけた。
道と聞くとどこにでもありそうなイメージだが、人工的に作られたと思われる道はこの世界に来て初めて見るので感動である。
つまり、滋賀県を抜けたってことだ。
「長かった〜」
思わず声を漏らす。ヨグ様の眷属になった影響で肉体的な疲れはないが、森を長時間歩くというのは精神的にきついものがある。ヨグ様による完璧なナビがあったため、道に迷うことがなかったので、なんとか夕方ぐらいには街につけそうで安心した。
『そういえばヨグ様、森を歩いていたのに魔物に会いませんでしたね』
ヨグ様の話によると、魔物は結構その辺にあるらしいが、一度も目にすることは無かった。
『そりゃ、私が加護をかけていたからね〜』
『加護?』
『聞いたことあるだろ?私がかけていた加護は、半径2キロ圏内にいる全ての生物を時空の狭間に瞬間移動させるって加護だ。加護の効果により、旧支配者とか、魔術や空間についての知識があるやつにでも遭遇しない限り基本大丈夫だ。君が転生するときに特典の一つとして4時間の加護をかけておいた。あと1分で切れるけどね』
加護って、攻撃を防いだり、再生能力を高めたりする物だと思ってたんだが…
時間を超越した神ってすげーと思った。
『ちなみに、時空の狭間に送られるた生物ってどうなります?』
『時間を超越した神に殺されるか、時間という概念に飲まれて完全消滅するか、糞犬に殺されるかのどれかかな?』
糞犬について少し気になったが、ヨグ様が嫌な感じで喋っていたところから聞くのは辞めておいた。