22話 ギルマス
今回の話は、2日に分けて書いてみたのですがなんだかおかしな方向に向かってしまいました。次からは1日で書き上げることを心がけるので許してくださいお願いします。
「あれがスライム?」
「そうですよ。思っていたのと違いましたか?」
「うん」
和樹たちは、スライム討伐の依頼を受けていた。
スライム=雑魚キャラのイメージがあるが、そこまで弱いわけではない。大体、一般人でも普通に倒せるような魔物なら、何か特別な理由がない限り、討伐依頼を出さないだろう。
スライムは一つの細胞を巨大化したような見た目をしており、核と思われる赤い球体を中心に、様々な器官が備わっている魔物のようだ。その1番の特徴は、体が半透明になっているため、核を含む器官が透けて見えることである。その透けた体は、見方によってはかなり気持ち悪い見た目と言えるだろう。
「えっと、核を狙って攻撃すればいいのか?」
「まあ、そうですね。核は魔力が溜まっている場所で高く売れるため、出来れば核とその他器官をつなげている、魔力管を狙うのが良いですが…初めのうちは難しいと思うので、核を狙っていいと思います」
和樹は短剣をスライムの核に突き刺さそうとするが、その一撃は核に当たることはなかった。
スライムは和樹に粘液を飛ばしてきたので、バックステップで避ける。
「あれ?今確かに刺したと思うんだけど…」
「ご主人様、もしかして赤っぽい色の気管を核だと思っていましたか?」
「え?そうじゃないの?」
「あの赤色の器官はダミーです。あの赤色の器官めがけて襲ってきたところを反撃するために、わざと赤くしているようです。そのため普段は無色です。核は無色で目には見えないので、魔力の流れで場所を予想するのが一般的ですよ」
理科の教科書に載っている細胞がそのまま巨大化したみたいに見えるため、真ん中の赤色の球体が核だと思い込んでいた和樹だが、冷静に考えて自分の弱点の場所をわざわざ教えたりはしないと言うことに気がつく。
「なるほど。魔力の流れについてヨグ様が詳しく教えてくれたのはこの為か…」
「魔物は魔術知識がないと戦えないですからね。スライムも、カタログスペックだけならそれほど脅威ではないのですが、逃げ足が早い上に大量繁殖するからほっとけないんですよ」
周りを見渡すと、いつのまにかスライムが消えていた。
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あれから数時間スライムを狩り続け、目標数スライムの核が集まったので、冒険者ギルドに報告しにきていた。
「はい。確かにスライムの核80個受け取りました。こちら報酬の1万円です。それと和樹さん、先日の魔物の写真のことに関して今からお話を伺うことはできますか?」
「あ、はい。大丈夫ですよ」
「優花さんも当事者でしたよね?」
優花はこくっとうなずく。
「では、こちらへ」
受け付けの人がカウンターから出てきて、和樹たちは建物の2階の1室に案内された。
部屋の中には、2mほどの巨体を持つ男性が座って待っていた。椅子と机以外に簡素な家具しかないところをみるに、応接室みたいなものなのだろう。
「どうぞお掛けください。それでは私は失礼します」
俺たちが座ったのを見ると、受け付けの人は部屋から出て行った。
「初めまして和樹くん。私の名前は渡辺 秋。宇治の町のギルドマスターを務めている。そして、久しぶりだね優花くん」
「初めまして三上 和樹です」
「お久しぶりですねギルマス」
「さて、単刀直入に聞こう。この写真の化け物について知ってることはあるか?」
「いえ、俺も初めて見たので…」
「私の知る限りでは、古代神話に出てくるショゴスという生物に似ていますね」
「なるほど…古代神話か。ちなみにどのぐらいの強さだと思う?」
「…少なく見積もってもB+以上の実力はあるかと」
「B+クラスの魔物が街の中に最低でも数匹潜んでいると…厄介なことになったな」
※冒険者ギルドでは魔物の強さを表すランクがある。ランクは冒険者のランクと同じで、ランクBの魔物はBランクの冒険者パーティと同等と言う考え方だ。この時+がつくことがあり、B+ならBランクの冒険者パーティが戦ってもギリギリ勝てないぐらいの強さである。
「他に知ってることはあるか?」
「とくに何も」
「私もです」
「そうか。時間をとらせて悪かったな」
「いえいえ。事情聴取料もいただけるみたいですし、大歓迎ですよ!ですよね、ご主人様?」
「え?」
『同意しておいてください』
優花からテレパシーが送られてくる。
「ああ。そうだな」
「おいおい、なんで金を払うことになってるんだよ…」
「…2年前、迷宮調査の時の事件の時に散々賄賂を送っていたのは誰ですかね?あー。なんだかあの時のことを他の人に話したくなってきたなー」
「…いや、お前、それは違うだろ。大体、ギルドの金を勝手に使ったらバレるだろ!」
「私知ってるんですよ?ギルマスが経費で夜遊びをしてること…確か店の名前は…」
「分かった!分かったから…その件は黙っといてくれない?」
「200!」
「200は流石に無理だ!せめて半分!」
「120でもいいですよ?」
「いや100までだ」
「…仕方ありませんね。今回はそれで我慢してあげます。現金で今すぐ払ってください」
「はぁ…お前が帰ってきてまたギルドが荒れそうだ…」
そういうと、ギルマスは腰につけていたポーチから小切手を取り出して優花に渡した。
「今後ともご贔屓に」
そう言って優花は最高の笑顔を浮かべ、俺たちは部屋を後にした。
「とりあえず100万手に入りました。これでしばらくは困りませんね」
「いや、何してんだよ…ってか、ギルマスが経費でそっち系の店に行ったってマジ?」
「マジですよ。まあ、酒でベロベロになってたところを客引きに絡まれて、つれて行かれたので本人の意思ではないようですが」
「なんで知ってんだよ」
「私、以前ギルドにいた時は情報屋をやっていましたので、その時にうわさを耳にしたんですよ。それで、確かめるために隙をついてスキルを使ってみると色々出てきまして」
「スキル?」
「ご主人様に言ってませんでしたっけ?私、【神眼】って言うスキルを生まれつき持っているんです。物事の本質を見抜くことができて、相手の性格とかが分かるんですよ。まあ、格上に使うとバレますし、かなり体に負荷がかかるので、乱用できませんが…」
「便利なスキルだな」
「まあ、たまにこのスキルを持ったことを後悔することもありますがね。さて、眷属で従者である私が手に入れた100万は当然ご主人様のものなんですけど、1つお願いがあるんです」
「いや別に100万は優花が自由に使えばいいと思うけど…」
「いえ、それはいけません。普通の従者なら認められるかもしれませんが、私は眷属ですので」
お金については色々話したが、優花がなぜかここを譲らなかったため、基本的に優花の稼ぎは1部を除き、俺のになることになった。
「それで、お願いってのは?」
「私、高級レストランに行ってみたいんです!」
そんな訳で、また1番と言われているレストランで夕食を取ることになり、10万ほど使ったのだった。




