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20話 宿

前半部分をかなり前に書いたので、少し変な感じになってしまいました。

最後に魔術についての説明を少しだけ載せていますが、流し読みでOKです。

 図書館が閉館時間(5時)になったので、今日泊まる場所をどこにすべきか悩んでいた和樹だったが、優花に聞けばいいと言う結論にいたる。


「なあ優花、この辺でいい宿知らないか?」


「この辺りですと、しめじ荘と言うところが冒険者に人気ですね」


「じゃあ、今日泊まるのはそこにするか。案内してくれ」


「かしこまりました」


 しばらくして、宿に着く。

 冒険者に人気と聞いていたが、どうやら風呂がある様だ。一軒家となると税がかかり、定住しない冒険者のような職種は、宿に連泊するのが一般的だ。また、冒険者は職業柄非常に汚れやすく、風呂がある宿は重宝されるようだ。


「申し訳ございません。現在お部屋が満室となっており…って優花!?」


「お久しぶりですね。あの部屋は誰か使ってますか?」


「あいてるよ。それにしても、ほんと久しぶりだね。生きてて良かったよ。それで、そちらの方は?」


「こちらは私のご主人様の和樹様です。色々あって、今は従者をやっています」


 俺が喋ろうとするのを遮って、優花が喋る。


「そうかい。なら、冒険者は再開しないのかい?」


「冒険者は近いうちにまた再開しますよ」


「あの部屋はあれ以来誰にも使わせてないから安心しな。今日は満室だから浴場の使用可能時刻が遅くなるけどそれでも構わないかい?」


「はい。大丈夫です」


「そうか。ではごゆっくり」


 鍵を受け取ると、和樹は優花に連れられ正面にある階段を上り、突き当たりの部屋の鍵を開けはいった。


 部屋にはベットが2つ横並びに配置されており、机と椅子が置いてある。簡素な作りではあるが、掃除はしっかりされており、広さは一般的な2人用ホテルと差がないだろう。


「それにしても、ここの宿の人と知り合いだったんだな」


「はい。以前、娘さんが迷子になっていたところを発見しまして、その時からの縁です。私が、スラムにいる間に道具を預かってもらっていたんです」


 いつのまにか、優花は小さな布袋を手にしていた。

 その布袋は魔力を帯びており、ただの布袋ではないのだろうことが窺える。袋に刻まれている魔術式から考えるに、空間系の魔法がかかったアイテムボックスと言われる収納系魔道具だろう。

 優花は、袋の中に手を入れると、ごそごそと何かを探しているようだ。


「ありました。私のギルドカードです。ご主人様は冒険者として活動すると言っていたので、見つかって良かったです」


「そう言えば、優花って何ランクなんだ?」


「私はBランクですね」


「え?高くね?」


「まあ、そこそこのランクだと思います」


「じゃあ、あの女将さんとは冒険者の時に知り合ったってこと?」


 ただの知り合いにしては、少し違うような感じがした。


「そうですね。私が9歳だった時ですから、出会いはある覚えですが…」


「じゃあ、なんでスラムなんかに住んでたんだ?Bランクなら十分稼げると思うんだが…」


「それは………」


「話したくないなら話さなくてもいいよ」


「…すみません」


 優花の表情を見ていると、罪悪感を感じていることが窺える。何か隠していることがあるのだろうが、さすがにあんな顔をした少女から強引に聞き出すと言うのもどうかと思うので、やめておいた。

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・魔術について


 この世界の魔術は魔術式を組み、魔術式に魔力(マナ)をながすことで、魔術を発動します。

 魔術式は頭の中で考えて組むのですが、レベルの高い魔術になればなるほど、魔術式も複雑になり、頭の中で考えて組むのが難しくなり、時間もかかります。そのため、詠唱したり、魔法陣を展開したりして、魔術式を組みます。


 ※数学の計算と同じで簡単な問題は、暗算で素早く溶けるけど、難しい問題になると筆算や、途中式を書かないと解けないのと同じ


 詠唱は魔法陣を簡略化したもので、レベルの高い魔術には向いていないが、魔法陣を展開するより消費魔力が少なくて済むようになっています(詠唱も魔法陣も使わずに魔術式を組む方が消費魔力は少ない)。


 ※一般的にバフ系の魔術は詠唱、攻撃系の魔術は魔法陣で組むことが多い(冒険者基準)。


・魔道具について

 魔道具にはいくつか種類があり、魔道具を使用するときに、あらかじめ魔道具に書き込まれた魔術式に魔力を流して発動するパターンと、魔力の塊である魔石を核として常時発動するパターンなどがあります。

 カメラは前者のパターンで、アイテムボックスのようなやつは後者のパターンです。

 前者のパターンは、その都度魔力を使いますが、使用者により効果が変わります。

 後者のパターンは、誰が使っても同じ効果を発揮して、魔力をその都度使わなくていいけど、定期的に魔石を取り替えるか、魔石に魔力を注がなければいけないデメリットがあります。

 後者のパターンの魔道具は、常に魔力を帯びているため、そこそこの実力者なら近くで見れば大体どんな道具か分かります(一般に流通している魔道具の中でも安物に分類されるものに限る。高価な魔道具は並の魔術師でもわからないように色々仕掛けがある)。

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