表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めたらデブだった  作者: キロ
2/2

手紙と探索

 もし自分の体が、突然別人のものに変わったとしたらどうだろうか?

 その人の人生の積み重ねは、その人のもの。

 中身が変わってしまえば全く別の人生になってしまう。


 他人から見ていて、別人のように変わった人間を見ればどうだろうか。

 変わる努力をしたと認められるだろうか。

 いや、ちょっと変わってるくらいじゃそういう反応だろうね。

 

 親しい人が、突然まったく別ものに変わったらどうだろう?

 変化への驚き、話が通じなくなる不安、心配、疑い……。

 

 

 あなたは誰だ、

 と聞いてしまうかもしれない。

 


 




 

 


 手紙には、几帳面な四角い文字で、綺麗に綺麗に書いてあった。



「あなたはくるってもいないし、その体はまさしく私のもので、あなたのものではありません。


 でも、私にはもう必要のないものです。

 私なんかの体で本当にごめんなさい。

 あなたの新しいからだとして使ってください。

 

 私の両親は1か月まえ死にました。

 親戚もわかりません。

 おばあちゃんも、おじいちゃんもいません。

 私と仲の良い人もいません。

 ベッドの裏に、通帳を張っています。

 暗証番号は0404

 私の誕生日にしています。

 学校へはしばらくインフルエンザと伝えています。


 私はこの度異世界へ呼ばれたので、行くことに決めました。

 小さなころから私を苦しめてきた大きな魔力を見込んでもらいました。

 魔力はすべてもっていきますが、魔力がなくて困ることはないと思います。

 身勝手でごめんなさい。

 

 最後に、あなたが私を恨むことはあっても、私があなたを恨むことはありません。

 あなたは、一度体からたましいが外れた方と神様からうかがってます。

 もしかしたら記憶があいまいになっているかもしれません。

 困ったことがあったら、オレンジ神社に行ってみてください。

 真剣に祈れば、神様はきっと助けてくれます。

 

 堂島真子より」


 

「魔力……。神様……。天涯孤独……」

 私はしばらくぽかんと口をあけていた。

 魔力が高いと何でもできちゃうものなの? 

 知らなかった。


 私の知る世界でも、魔力と科学による都市開発が進められている。

 とはいっても詳しくは知らない。一般人がテレビの中の構造を知らないように、魔力も使えたら便利ぐらいの知識しかない。

 魔力を使える人間が圧倒的に少ないことも理由の一つだけど、魔法は人間のエネルギーでしかないのだ。例えばコンロの火の強弱や、エアコンの温風冷風機能に使われていたりする。ぶっちゃけ地味だけど、地球から資源を取りすぎず共存できる、エコな能力だ。


「ま、いいか……何も知らないよりは助かる」

 いっぱい突っ込みたいところがあるけれど、だいたいわかった。

「私は私で、この体はこの体、なのか……」


 よかった。私はただの30歳、堂島真子で、合っているのだ。

 私はもともと魔力がない、一般人だった。

 魔力がある方が逆に混乱していただろうし、魔力なしでも魔法化学が進歩したこの世界で暮らしていくのには困らない。


 まさか魔力が多い人は魂持っていかれちゃったり、その体に他人が入ったりしちゃうこともあるのは知らなかったけど。

 知らなかったけどね!!!


それはともかく、この体も「堂島真子」なんて。

「同じ名前なのは偶然なのかな……?」


違う声が聞こえることに違和感を感じながらも、つぶやいてみる。

つぶやけば案外、かわいい声をしている。

……大きい声を出せば、なぜか野太くなってしまう。なぜ?


学生証の写真には、髪を伸ばしっぱなしのぽっちゃりした女の子が映っていた。

学校名は、

「うわ!!中学生だ!!」

桜坂中学校 1-A 18番 堂島真子


「こんなおっきいのに…!!すごい!」

 いや、からだだけじゃない。

 ぽっちゃりさんは、ぽっちゃりさんなりにね、私には無かった胸がね。


 こほん。

 古いメモには、魔法陣が描かれていた。

 魔力があれば読み解けるはずだが、魔力のない今はちんぷんかんぷんだ。

「だから破いて捨てておくとする!」

 ビリッビリッビリッ!!

 物語でいうところの序盤で何に使うかわからないものは、たいてい後半で意味を成してくる。


 しかし、それはたいてい良い意味ではない。


「大切なものだったら手紙に書いてるだろうし、書き忘れる程度のものならない方がまし!

忘れよう!魔法陣などここにはなかった!!」

 何より私の勘がビンビン嫌な予感を感じていた。

 厄介ごとはなくす方が良い。


 フラグはつぶす!それでいい!

 通帳はしっかりもらっておくとする。

 私の生命線は、意外と貯まっていたけれど、きっとこれ保険金なんだろうなぁ。



「はあー、さて、家の探索をするか」

 不謹慎ではあるが、天涯孤独ならこの家にはだれも居ないはずである。

 さっきよりも気が楽になり、私はゆっくりドアノブを回した。




 ゆーっくり、隙間を覗いた。





 そろそろと廊下に出て、周りを見回し深呼吸。






 怖いんだよ!!!

 ゆっくりになるのよおばさんはさ、臆病だから!!!


 結局同じ2階フロアには、両親のものと思われる寝室2つと、掃除用具入れ。

 一階には、トイレ、お風呂場、ダイニングキッチン。

 なかなか一人だと寂しいものだね。

 

 ダイニングキッチンの上にはピンク色の携帯が置いてあった。

 もしかしたらこの体のマコちゃんのメール残ってるかな?と思ったら、初期化してあった。


 Oh…。なるほど。




 冷蔵庫の中は、整理したような跡があった。

 野菜と調味料、冷凍庫にはお肉が冷凍されてある。

 いろいろと戸棚を開けてみれば、大量のカップラーメンも発見。

 豚骨が好きだったのかな?種類が多い気がする。

 まんべんなく塩も醤油も担々麺もあって、少し嬉しくなってくる。

 さっきからおなかがぐうぐうなっている……。



 まだ外は見てないものの、家の中はくまなく見たつもり。

 私はようやくこの家を攻略し、安寧の地を得たのだ。




 さて、おなかすいたな。

 とりあえず、ごはんを食べることにした。


 台所を借りて作るのは、野菜と豚肉のみそ野菜炒め。

 主食は塩ラーメン。

 

 ご飯を食べたら、ごはんを焚いて……。

 お風呂に入って……。

 服を捨てて……。

 それから、それから制服をきて……。




 ――私の思考は、ご飯のおいしさと高まりすぎた飢餓感に塗りつぶされていった。



 気が付いた時、私の目の前には空になった大皿と、カップ麺3パックのかすが残っていた。

 慌ててキッチンを見てみれば、キャベツ1玉なくなっている。

 な、なんなんだ、この現象は……!!!!

 これで、なんで腹八分目なの……!!!



 戦慄、私の新しいからだ。


誤字脱字等ございましたら、メッセージで報告してもらえれば幸いです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ