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プロローグ
欲望。
それは、人類を大いに進歩させた糧である。だがその反面、失敗や絶望に導く原因でもある。
人はその欲望を抑える力を、理性と呼んでいる。
人間誰しもが持っている理性。これは、人間の心の中に巣食う闇を、抑えきれる力を持ち合わせてはいなかった。
そのため、今日も人間は、醜く、他人を陥れ、自分勝手な行動をとる。
こうして、一つの悲劇が生まれていく。
自分勝手な行動をとること、それは仕方のないことだ。人間誰しも、自分が一番大切なのだから。
だが、協調する事を課せられているこの社会において、その理屈は通じない。
そして、醜い行動をとる者がいるそんな中、今日まで、人間は共存し続けている。
素晴らしい。素晴らしすぎる。
まだ尚、進歩していこうという欲望も素晴らしい。
――面白い。
この者たちを、絶やしてはいけない。
そのためには、素晴らしく、その反面、自滅に導くであろう、欲望を抑える必要がある。
理性を超える何かを、人間と欲望を共存させる、絶対的な何かを――