第5話 訪問、そして危機
「ただいま!」
「お、お邪魔します……」
やって来ましたエミリアの自宅。
先程の場所から割と近く、家の作りは俺の家とほとんど同じものだ。
「お帰りなさい、早かったわね?」
家の奥から一人の女性が出てきた。
顔つきや髪の色がエミリアと似ていて、一目見てこの人がエミリアの母親なのだとわかった。
……そしてめちゃくちゃスタイルが良い。
恐らく年齢はフィオナと同じくらいなのだがフィオナほど胸は大きくは無い、と言うよりフィオナが規格外の大きさなのだが。
しかし目の前のエミリアの母親は何て言うかバランスが取れてるって言えば良いのだろうか?
出てる所は出ていてくびれてる所はくびれてる、そんな感じ。
エミリアも将来こんな感じになるのかな?
っと、駄目だ駄目だ。 何かこっちに来てから目に入った女性を変な目で見てしまう。
俺ってこんなに女好きだったか?
「あらどうしたの? ずぶ濡れじゃないその子」
「友達のアルよ、さっきいきなり水を掛けられたの」
「掛けられた!? 酷いわねぇ……アル君? 中に入りなさい、代えの服を貸して上げるから」
「えっ? あ、いや、それは悪いですよ」
「いいのよ遠慮しなくて、それに思い出した。 貴方があのアル君ね?」
「え? あのって言うのは……?」
「エミリアから毎日聞いてるわ、とても優しくて格好よくて凄く強いのよって」
「お、お母さん!!」
エミリアが顔を真っ赤にしながら怒鳴る。
うわぁ、そんな風に言われてるとか、嬉しいけど恥ずかしいな……。
「あらあらごめんなさい、とにかく遠慮しないで上がって頂戴」
「……すみません、じゃあ御言葉に甘えてお邪魔します」
「エミリア、物置に古い服があったでしょ? 持ってきて頂戴、私はタオルを用意するから」
「うん」
エミリアは言われた通り、家の奥へと服を取りに行った。
そして俺はエミリアの母親に案内されて中へと進む。
タオルを渡され、俺は髪を拭いていた。
服はエミリアが見つけていないのかまだ用意されていない。
しかしいつまでも濡れた服を着ているのは気持ち悪いからとりあえず脱いだ。
って言ってもパンツは流石に脱いでないぞ?
目の前に友人の母親とは言っても女性がいる訳だし、いくら子供の姿でも恥ずかしいからな。
本当は部屋の外で待っていて欲しいんだけど、やんわりと断られたから諦めた。
「それにしても災難ねぇ、誰がこんなことしたの?」
エミリアの母親、名前を聞いたらレイシーという名前だそうだ。
「わからないんですけど、何度か見たことはあるんです。 二、三歳くらい年上で二人組だったんですけど」
「あぁ、多分あの子達ね」
レイシーは思い当たる節がある様だ。
「知ってるんですか?」
「元々近くの国からこの村に越してきた人達の子供よ、あの家の子くらいよそんなことするのは」
「成る程……けど、この見た目じゃあ仕方ないですね、自分でも他の人と違うのは知ってますし」
髪を弄りながらそう答えた。
俺は前の世界と変わらないから違和感は無いが、ここは前の世界とは違うのだ。
「だからっていきなり水を掛けられて何もやり返さなかったの?」
「あーえっと……」
やり返しました。
そりゃあもうこてんぱんに。
「思わず頭に来ちゃって……」
「あらあら、やっぱり男の子ねぇ」
「あ、別に水を掛けられたからじゃないんですよ、それだけなら別に怒らないんですけどあいつら俺だけならまだしもエミリアにまで手を出そうとしたんですよ? 男が女性に暴力を振るうなんて本当にあり得ないですよ」
今思い返しても腹が立つ。
第一、男なら女性を守るのが当たり前のことだろうが。
この考えだけは前の世界から変わらない、男たるもの紳士であれ。
「まあ……本当に優しい子なのね」
「優しいですか? 俺としては当たり前の考えですので……」
「ふふっ、将来は相当モテると思うわよ……私ももっと若かったら狙ってたわ」
「えっ? あははっ、駄目ですよそんなことを言ったら、旦那さんに悪いですし」
「あら? 夫ならいないわよ?」
おっと……?
もしかして、かなり地雷を踏んでしまったんじゃないか俺?
「あ、えっと、すみません……」
「え? ふふっ、勘違いしてないかしら? 別に夫が死んだとかじゃ無いのよ?」
えっ? 違うの?
「夫はエミリアが生まれて直ぐに離婚したの、浮気癖が酷くって」
「あぁ……」
「まあ今では全然後悔も無いし、エミリアには可哀想な思いをさせちゃったけど」
確かに、子供にとっては母親だけでなく父親にも甘えたいと思うのが当たり前のことだ。
生まれて物心ついた時には父親がいない、死別では無いからそこまで悲しくは無いだろうけど、やはり他の子供の家族を見て悲しかっただろうな。
でも普段のエミリアはそんなことを思わせない様な元気な姿を見せている。
とても強い子だ。
「あの、失礼ですが再婚とかは考えなかったんですか?」
「今更しようとは思えなくてねぇ、歳も歳だから諦めたわ」
「そんなこと無いですよ! レイシーさん凄く美人ですし、諦めたら勿体無いというか……」
「あらあら、嬉しいわ」
頬に手を当てて笑みを浮かべるレイシーさん。
ただ何だかその視線が妙に熱を帯びてるって言うか……えっ、まさかね、自分の娘と同い年の子供にね?
「あ、あの……レイシー、さん……?」
「さんをつけなくても、いいのよ?」
ジリジリとこちらに近付いて来る。
不味い、これはかなり不味い……!
いやね? こんな美人に言い寄られたら俺だって嬉しいとは思うよ?
たださ、友人の母親にこんな風にされたらマジで焦る!
「ちょ、ちょっと……!」
「大丈夫よ」
「な、何が大丈夫なんですか……!?」
「直ぐに……気持ちよくなれるから……」
アウトー!!
それって完全にアレなことをするってことだろ!?
逃げようと考えたが出口は運悪くレイシーさんの後ろ、窓は開かない作りだから後ろにあるのは壁。
詰んだ……嘘だろ……七歳で俺の貞操奪われるの? しかも友人の母親に……洒落にならない。
どんどん詰められる距離、何か方法は無いのか……!?
「お母さーん! 服見つからないー!」
突然響いた声。
思わず体がびくりと震えた。
「……はいはい、今行くからねー!」
エミリア……マジで助かった……。
大きく息を吐き出す。
「ごめんなさいアル君」
「いやレイシーさん多分疲れてたんですよ、だからこんなことに……」
頬に柔らかい感触が当たった。
そして目の前にはレイシーさんの顔。
えっ? 俺今キスされてる……?
「いいえ、疲れたりなんてしてないわよ? 本当に貴方が魅力的だったの」
「あ……えっ……」
「もしあと何年かして、貴方がその気になったらいつでも来てね?」
そう言ってレイシーさんは部屋から出て行った。
「……嘘だろ」
俺の呟きは、誰の耳にも届くことなく一人残された部屋に消えた。
危機は危機でも貞操の危機ってね……何書いてんだろ俺
ただ、作者のこうなったら堪んねぇなという欲望のままに書きました。
はい、作者は変態です。




