オーディション(1)
私は澪と麗奈の誘いを必死に否定したが結局三人でオーディションを受けることになった。
最初はやる気がなかったがいつしか練習していくうちになぜか夢中になってしまっていた。
私たちの通う高校の恒例となっているカップル文化祭には毎年三つのジャンルがお題として出される。
そのお題にそってカップルの相手となる男子生徒とストーリーを作らなければならない。
私たちは早速カップル文化祭実行委員である大谷伸明先輩の所へと訪れた。
大谷先輩はこの高校一の優等生で常に成績トップの学力者だ。
部活はサッカー部でキャプテンも務めていて去年の夏にはサッカー部を初めて全国大会に導いたこの高校一全校生徒が憧れている先輩である。
私たちは募集事項を確認してそれぞれエントリー用紙に署名をした。
それを大谷先輩に渡すと募集要項について詳しく載っている書類を渡された。
書類にはカップル文化祭の詳しい説明が記載されていた。
今回のカップル文化祭のデートのテーマは「放課後」「夏休み」「別れの駅」の三つだった。
その三つのテーマで制限時間である一分間の間でストーリーを作らなければならなかった。
私たちは三人で話し合いそれぞれ別のテーマでオーディションを受けることにした。
話し合った結果、澪は「夏休み」、麗奈は「別れの駅」、そして私は残された「放課後」を選んで練習に励むことにした。
本来なら恥ずかしくて内容など言えないのだが、私たちはお互いのデートストーリーを見て意見を出し合ってそれぞれのストーリーを作り上げていった。
ただ私たちは作り上げる中で一つだけ緊張している事があった。
それは彼氏役の男子生徒がどんな子なのかということ。
私は特に初めて参加するのでさっぱり分からず自分のストーリーがこれでいいのかとすごく迷っていた。
そしてオーディション当日、私は朝からドキドキのまま学校へと登校することになった。
最後の最後まで緊張でいっぱいだった。
オーディションは五時間目の一時間で行われることになっていた。
私たちは最後まで練習に取り組み本番に臨んだ。
そしてついに待ちに待った五時間目がやってきたのである。