第七話『長い対話の始まり』by粗大ごみ
友人からよこされたときに、ちょっと段落分けがなくて、読みにくいかな? って思ってしまいました。内容はめっちゃいいですね。ちょっと近代時代の文学的な匂いがします。
繋がることがこんなにも容易になった社会において君は大変貴重な人材であるから云々と、僕の恋煩いを知った八木はからかい、笑った。彼は続けて、昼飯と連絡先は等価であるとも言った。とは言え奢る奢られるの行いはそこまで珍しいものではなく、彼には先日のお礼を厚く申し上げなければいけない身分であったため、僕はそれを快く了承した。しかし彼が生姜焼き定食を食べながら嘯いた、これは私が腑抜けの君に与えた便法である。君は何らの成長をもしていないのであるから勘違いするべからず云々の言葉は戴けなかった。憤りを感じた僕は立ち上がって、この奢りはそのような不純な動機によらず。奢られたからといって驕るな、僕は彼女の幸せを願うばかりだ。連絡先など要らんと突っぱねてやった。しかし箸を止めた八木が神妙な面持ちで、派手やかで有名な某団体が彼女の貞操を狙っている。あの通り彼女は断れない性格だからもしやの事があるかもしれぬが、私は彼女のことをなんとも思っていないのだから預かり知らぬことだ。とどのつまり君が動くことが彼女の幸せになるだろう等と言ってのけたのには驚かされた。派手やかな八木がそう言うのだから事実そうなのだろうが、その某団体には厳しい教育によって培われた彼女の志操は崩せぬだろう。しかしこれ以上彼女の父親を怒らすのは彼女の不幸せである。僕は意を決して彼女に連絡を取った。
[やっほ~七海です♪ 先日はゴメン。お詫びに今度お昼おごるね!]
以上は八木による故意の過失である。気が動転した僕は、[嘘です。ごめんなさい。]と更に恥を上塗りし悶え苦しんだが、彼女からの返事はすぐに来た。そして幾つかのやり取りの末、僕たちは再び会う約束をしたのだった。
次からサブタイトルが付きます。また、既存作にも付きます。次はリレー小説処女の私の友人に代打として入ってもらいます! ちなみに作品は14話以上での完結に移行します。