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義手のピアニスト

140文字以内で小説を書け、と言われた時に書いたもの

お題は「手」

 私は、自分の手をじっと眺めた。


 無骨な造り、銀に光る外見、繊細な作業もできる指先。


 医者は言う。


「あなたのように繊細な仕事をする人向けに作られた特別なものですよ、後は慣れです」


 そうだろうか、機械に変わった右腕を見ながら私は思った。


 別に、実際リハビリは順調だったし新しい手は実によくやってくれる。


 しかし、触覚がないというのはこんなにも違和感があるものとは知らなかった。


 あの火事の時に押しつぶされてしまった右腕、もう弾けないと思っていたピアノも大丈夫だ。


 問題は私の骨ばって暖かい手が好きだといった私の恋人は、冷たくなった銀の腕をどう思うのだろうか。


 恋人の前でピアノを弾くと彼女はよかったと我が事のように泣き出した。


 私の腕をまた好きになってくれるかと聞けば、冷たい腕を握って他でもない貴方の手ですから当然だと微笑みながらまた泣いた。


 彼女が握る機械の腕には感じられないはずのぬくもりが宿った気がした。

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