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三人の告白  作者: 羽衣
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愚か者の恋


僕は勘違いをしていた。



いつからかわからない。

でも、一つだけ確かなことがあった、それを気が付くには遅かったということ。

神様、愚かな僕をどうか許して下さい。


僕の幼馴染みはとてもよく似ている双子だ。

けれど、姿は似ていても性格はまったく違う。

大人しいほうが姉で活発なほうが妹というように真逆な性格をしている。

僕たちは小さいころから一緒に過ごしてきた。

だけど、ある時を境に一緒というのがなくなる。


僕が恋をしてからだ。


彼女の側にいつでもいたかった。

僕は彼女だけを見つめ、彼女のことだけを考えていた。

だけど、彼女はいつもはぐらかす。

僕の気持ちを知ってるはずなのにいつもはぐらかすのだ。

そんな日常に鬱憤がたまっていたのか、気が付いたら最低な行為をしていた。


僕は身代わりにしてしまったのだ。


顔が全く同じ君を。

しかし、聡明な君はすぐに僕の気持ちに気付いた。

それなのに笑って許してくれた。


僕は最低なのに。


いつも僕が君を見つめると君は寂しそうにうつ向く。

僕はそんな君に気が付かないふりをした。


もし、あの時に時間が戻せるなら。

もし、自分の気持ちに早く気が付いていたら。

君は僕の隣で微笑んでいたかもしれない。


けど、それはあくまでも『もし』なのだ。


気が付いたときは全てが遅かった。

僕が自分の気持ちに気付いたとき、君は眠っていた。

いつ目覚めるのかも解らない眠り。

体のあっちこっちに繋がれたチューブ。

外傷はないのに目覚めない君。

医師も首を傾げている。


けれど、僕は知っている、君が目覚めない理由を。

君は優しい人だから。


雨の日だった…。

いつもの通りで君を見かけて声をかけた。

立ち止まった君はこっちを向いて泣いていた、僕の時間がとまった…。


僕は初めて間違えた。


彼女と君を。

産まれて初めて君を彼女の名で呼んだ。


翌日から君は目覚めない。


僕は気が付いた、君の気持ちに。

そして、自分の気持ちに。

君の側に居たいって気が付いたんだ。

お願いだ、起きておくれ。

僕に本当の笑顔をみせてくれ。

僕は愚かだ。

大切なことにも気が付かないで勘違いをしていた。

最初から彼女が正しかったのだ。

僕は懺悔する、ベットで眠る君に。



僕は今日も懺悔する。





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