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1.交わる

「若菜さん、大丈夫?」

「あー、少し休めば平気」


 今日は遊園地での校外遠足だ。私は隼人たちのグループに誘われて、班行動という名のWデートをしていた。


 隼人に誘われて嬉しかったけど、緊張しすぎて昨日は全然眠れなかった。そしてジェットコースターで酔ってしまうという、最悪の事態になってしまったのだった。


 勧められるままベンチに浅く座る。逆側の端に、隼人が座ってこちらを心配そうに見ていた。すごく気まずくて顔をあげられない。


 同じ班の敦子と仁はジェットコースター降りたら「ここからは若いお二人で」とかふざけてどこかへ行ってしまった。班行動の意味分かってんのか。「若菜ちゃん頑張って」じゃねーよ。私は女友達からは姐さんなんて呼ばれているが本当は人見知りなんだ。


「気持ち悪くない? 朝ごはんちゃんと食べてきた?」

「いや……。朝はあんまり……」

「ちょっと何か食べたほうがいいかも。ポップコーン買ってくるから休んでて」


 隼人がギュッと口を結んで立ち上がった。それからニコっと笑って走って買いに行ってしまった。……気まずいって思っていたの気づかれたかなぁ。1人になったのでベンチの肘掛けに懐くように上半身を預ける。あとで観覧車、一緒に乗れるかなぁ。



「若菜さん、はい。あとコーラも」


 隼人が買ってきてくれたのはプレーンな塩味だった。指先が触れてドキッとする。


「ありがと。……コーラ?」

「うん。酔いに効くらしいよ」


 食べていると段々落ち着いてきた。お腹空いてて酔ったとか更に恥ずかしい。

少し隼人に近づいて、手元を覗き込む。


「隼人、くん。それ、何味?」

「苺ミルク」

「なんか、意外」

「元気になったら若菜さんも食べるかなって思って」


 隼人の耳が赤くなってる。うーん、かわいい。「どうぞ?」というように差し出された箱から何粒か手に取る。

 

「美味しー」


 うまっ。程よい甘さに肩の力が抜けてくる。隼人がクスクス笑いながら箱ごと塩味と苺ミルクを交換してくれた。


「良かった。調子出てきたね」

「なんかごめんね。隼人、くん、面倒見いいんだね。下に兄弟いるの?」

「隼人でいいよ。下にはいないけど姉貴がいる。下僕状態」

「えー。いや、頼もしいよ? あ、私も若菜で」


 隼人が嬉しそうに笑った。なんか自然に喋れてる! そして名前呼びいただきました! 裏で呼び捨てしてるのバレてたかな。うちらのグループみんな声大きいもんなぁ。……なんで私に声かけてくれたんだろ。

 隼人は話が面白くて、酔いの具合悪さもすっかりどこかへいってしまった。


「んー、完全復活。隼人、何か乗りに行こう」

「そうだね、最初はゆっくりのがいいんじゃない?」

「あ、それじゃ観覧車。観覧車に乗りたいな」


 私はウェットティッシュで手と口元を拭き、隼人にも1枚渡した。隼人も同じように拭いて口元に残ってたポップコーンがとれた。よかった。


「それじゃ、若菜。行こうか」


 立ち上がると袖が触れ合って、一瞬のあと、隼人がキュッと手を握ってきた。私も握り返す。顔が緩むのをバレないように下を向いて歩き出した。

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