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第92話 コスタリア貧民街の日常8

「そして聖女アイラ様は言いました、『そう、この私こそが女神セレスティア様の信託を受けし正統なる聖女である。虐げられし者たちよ今こそ我が清めの力をその身に受けよ、対価は必要ない。ただひたすら我を正統な聖女と認め崇拝せよ!』そうして聖女アイラ様は貧しい民たちにお金やモノの見返りを求めず癒しの力を振舞われるのでした、終わり」


「ゴブ~」(おお~すごい~迫真の演技だゴブ~)

「アイラ様~すごーい」


アイラ様人形がペコリとお辞儀をすると手早く箱の舞台が片付けられる


パチパチパチパチ・・・年少組の拍手が鳴りやまない

午後の始まりに少し年上の年中組さんたちが人形劇を披露してくれているのだ

何度も講演しているのかなかなか手際がいいぞ

こうして自然に年上から年下へと社会の常識などが教えられていくのだなぁ


年長組は教会や孤児院付近で働いているものは昼食を一緒に食べるようだが商会や自警団の訓練などに行っている男子たちは夕方になるまで帰ってこないようだ

みんな孤児院を出てもきちんと独り立ちできるように頑張っているのだゴブ


お姉さんたちがいない時はこうしてその時に一番年上の子どもたちが自主的に年下の面倒をみている、そうせざるを得ない状況だったとしてもよくやっているゴブ


よ~し!ただ遊ぶだけでは申し訳ないし少しわたしも先輩として役にたつゴブ

ここで苦労している子供たちが社会に出て少しでも早く認められて楽になるように計算の仕方を教えてあげるのだ

そう、わたしが小さい時から習っていたそろばんをこの子たちに伝授してやるゴブ


「ゴブ」(テト~会計士さんから銀貨をいっぱいもらってくるゴブ~)


ここの教会になぜか有り余っている大量の銀貨を少し拝借させてもらう


「ゴブ!」(ふん![神界])


見る見るうちに銀貨が銀のそろばんに形状変化する

勢いあまって30個ぐらい作ってしまった

だって練習用だし10桁の計算分もあれば充分でしょう

手のひら2つ分くらいのかわいいそろばんが目の前に積みあがった


「ふぁ~何これ~楽器とか~?」


まぁ最初はそう思うわな、わたしも小さい時はシャカシャカ鳴らしてたし


「ゴブ」(違うゴブ~これは計算をするときに使うゴブ~)


「コレを使って計算するんだって~」


わたしは一人づつそろばんが配られたのを確認してイスの上に立つ

配る時に少し手をヤケドしたぞ、聖魔法で作るといちいち浄化などの付与が付いて魔物のわたしがさわるとピリピリするのはやめてほしいゴブ


「ゴブゴーブ」


わたしはテトに翻訳してもらいながらそろばんの仕組みと使い方を説明する


「ゴブ~」(願いましては~)


パチパチ、パチパチ

そろばんを弾く音が少しづつリズムよくなってくる

この世界の子供たちはやはり優秀ですな~まず必死さが違うゴブ

早く計算できることが武器になることをすでに理解しているようだゴブ


「ふむぅ~、またまた大きな金になるようなことを始めましたねぇ。このそろばんという計算の補助器はおもしろい。木製で量産しても売れそうですね。そして聖魔法で祝福された精霊銀のそろばんは大商会の方々にどこまで価値を吊り上げられるか」


いつのまにか会計士さんがそろばん教室に参加しているし、何かまたぶつぶつと独り言をつぶやいている。

そろばんの仕組みをすでに理解し大きな桁の足し算、引き算を練習している、賢いな

一応そろばんは孤児院の子どもたち優先ですからね?

作りすぎたので余った分はあげたり売ったりしても構いませんが


ふふふ、そろばん歴が長くわたしレベルになると頭にそろばんが出来て現物は不要になりますがね


「ゴブ~」(お姉ちゃんたちが帰ってきたら得意な人が教えてあげるゴブよ)


子どもちはコツを掴んだらしくパチパチと計算に夢中になっているようだ

まぁこんな感じまで出来ていると後は反復練習ですな

一人づつ一個渡したそろばんも気に入ってくれているようだし


「なんだかこのそろばんを弾いていると体が軽くなって頭もすっきりします~」


ふむ、やはり浄化や回復の効果が付いてしまったかな、少し鑑定してみるか


聖なるそろばん

所有者にわずかに回復と浄化の効果

知力 +2

珠玉の鳴らす音に強力なターンアンデッド効果


やっぱり聖魔法効果が付いておりましたか・・・

そして知力+2って・・・みんなわたしより賢くなってしまうゴブ


っていうかこれじゃドラ〇エの人気商人が持つあのそろばんと同じ効果じゃないか

杖の先にでも付けて聖職者に持たせてあげるか?

”つかう”コマンドは計算じゃなくて振って音を出すっていうところか

いや、確かクリ〇トやミ〇アなどの回復職さんたちは装備できなかったはず、あくまで商人が装備する専用装備だったはず


「ゴブ~」(商人専用だゴブ~)


「商人になりたい子どもたちに使ってほしいだって~」


「ゴブさん・・・つくづくあんたって奴ぁ・・・泣かせるぜぇ」


いつのまにかドノバンさんもいて子供たちが計算しているのを見て感動している


「ゴブ」(ひさしぶりゴブ)


「お、おお。今日はライアン様が来てるんだろ?いろいろと報告をしようと思ってな、今日はいつになく《《打合せ》》に盛り上がっているようだな。まぁいいことだ」


「あたいも何かせつなくなってきたよ、あ~早く夜にならないかな~。最近は開店の仕込みで忙しくて血も見てないし~侵入者とか来ないかな~」


「お、おう。すまねぇなメイヤ。俺も気はあるんだが最近疲れすぎててな・・・」


ドノバンさんもメイヤ先生も事業の準備に忙しくて疲れとストレスが溜まっているようだ、まずいゴブ


「ゴッブ」(はいよ、回復、強化)


「おお、俺にまで回復ありがとうよ。体が軽くなったぜ」


「はぁぁ、それに体の芯がなんだか熱くたぎってきたよぉ。たまらないよぉぉ」


メイヤ先生の瞳孔がガン開きしてヤバい。精神的ストレスまでは回復できないからな

ドノバンさん、奥様を支えるのは経済的なだけでなく心の面も大事なのですよ?

そう思って3日は持続するように強めにかけておきましたけどね!


「ちわーっス、そろそろ帰ろうっスかね~」

奥から出てきたのはライアンだけだった、相変わらずやる気がなさそう全開だな

ああ、でも今日は休日だからやる気は無くてもいいのか、スマンスマン


ドノバンさんが図面を拡げながら進捗状況を説明している


「お貴族さんたちの休憩、宿泊施設なんだが商業ギルドの奴らに建設、管理してもらうことにしたぜ。貴族の喜ぶ建築様式や家具なんざ知らねぇし、俺らじゃ細けぇマナーやしきたりは無理だからトラブルしょい込むのがオチだしな。併設する温泉の貸し出し料だけで充分稼げるだろう、なんせ聖水の風呂だからな」


「ゴブ~」(それはいい考えゴブ~。貴族用の特濃の聖水にするゴブ~)


「えらい人たち用にね~。濃い~のにしてあげるって~」


「くっくく、これは入浴料の設定金額を考えるのが楽しみですねぇ」


「はぁぁ~、もういいでしょ~。あたいも濃いのが欲しいよ~もう帰ろうよぉぉ」


「お、おいぃ。まだ打合せ中だろうが、落ち着けって~じゃあまた来週来るから~」


ドノバンさんが引きずられて孤児院から出て行ってしまった

身体強化がしっかり効いているようだゴブ

楽しい3日間を~。刀傷ザタだけは勘弁してくれよゴブ~


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