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悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました  作者: ぽこぺん


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第63話 ゴブリンのお仕事2

転送で飛んだ中継都市から王都までは馬車で30分くらいだった。


街道はけっこう歩いている人たちもいて賑わっているな。


私たちは貴族専用っぽい整備された道路を馬車で爆走してきた。

初めての王都なのに旅の風情のカケラも無いゴブ・・・。


王都の城門には長い受付待ちの行列が出来ている。


一般向けと商人、冒険者用の区別がされているようだ、そして貴族専用の入口も。

私たちはもちろん貴族専用門からの入場だ。

馬車の御者が何か見せるだけで中を見られることもなくフリーパスだった。

そして馬車は市場や商店街にもちろん寄ることも無く学校の門前に到着した。

初めての王都なのに旅の・・・(以下省略)


「ゴブ~」(何だか王都に来た気がしないゴブ~)


「我慢なさい、お姉さまの急用のために来たのですから」


「ゴブ」(分かっているゴブ)


「アイラちゃん、大丈夫、疲れていない?行きましょう。今は学園内におられるはずです」


レイシア様の表情は先程までとうって変わって緊張している。


私たちは学園の門の前で馬車から降りて徒歩で学園に入場する。


「失礼。学生証を拝見いたします。ここから先は貴族のご子息様の通われるエリアですので」


2人の門番に止められた。

学生証はもちろん持っていないゴブ。


「レイシア・フォン・コスタリアです。確認をお願いいたします。こちらは私の妹になります。急ぎの用件で貴族科エリアの入場をお願いしたいのです」


「う~む。レイシア様の確認はさせていただきましたが他の方は手続きがまだされていないようなので・・・」


門番さんも困っているぞ。

レイシア様、あまり深く考えずに衣裳だけで入ろうとしたな。


「いかがなされた、少し騒がしいですぞ」


奥から少し太った厳しい顔つきの身なりのいいおじ様が出てきた。


「これは、これはレイシア嬢。ご機嫌麗しゅうございます。今日は何の騒動を、いや問題解決に動かれておいでなのかな?」


「うふふ、騒動なんてまるで私が問題児のようではないですか。いやですわ。マーリン子爵ったら冗談がお好きですね~。今日は妹たちを学園に案内したいのです。

紋章官であるマーリン様なら私の家族のこともよくご存じですよね」


「もちろんですぞ。家族構成を全て把握してこそ紋章官のお勤めが全うできるというもの。貴族家の家族構成は逐一把握させていただいておりますぞ」


「身分は私が保証できるから今回だけ特別に入園させて欲しいな~って」


「う~む、今は夏休みで人が少ない時期ではありますが、王太子様もおられるし」


マーリン子爵様がアイラお嬢様とわたしの顔をじ~っと見ている。


『コスタリア侯爵家は娘3人と記録されているが・・・その下にご子息がおられたとは。いやよくよく見ると少し耳が尖っている。整った顔立ちに長い耳・・・もしやハーフエルフか!コスタリア家の婿殿は仕事に熱心で側室を持たぬ愛妻家と聞いていたが・・・なるほど、公表できぬ事情もあるということか。温厚で無害な雰囲気ではあったが貴族の端くれ、なかなかやるもんじゃ。むしろ見直したわ』


うんうん、と何度もわたしの顔を見ながら何か納得したようだ。


「通ってよし!!」


「えええ!いいんですか?マーリン子爵。今は中に公爵家や王子もおられるのに」

門番2人が驚いている。


マーリン子爵は優しい顔つきになってわたしの頭をなでてくれた。

子ども好きのいいおじさんじゃないか。


「困難な状況でも心が折れなければ必ず道は拓かれる。あきらめずに生きていけば居心地のよい自分の居場所はおのずと出来てくるはずじゃ。頑張るのじゃぞ」


「ゴブ・・・ごほん、ごほん」(それはどうも?)


わたしは声を出すのを我慢してペコリとお辞儀をしてみんなと歩き出した。


「うむ、母親が違っても兄弟姉妹が仲良ければ大きな問題は起きまい。願わくば成人し家督争いになるのを当主がうまくまとめることが出来ればよいがのぅ」


何だかまだぶつぶつと小声でつぶやいておられる。


「はぁ~、ちょっと緊張しました~。レイシア様~。何とか通してもらえましたね」


「あはは~。いつも顔パスだったからいけると思ったんだけどね~。何とかごまかせて良かったよ~」


「いいえ、レイシアお姉様。マーリン子爵は全て分かったうえで通してくださったのですわ。貴族の中でも特に情報が集まる紋章官をされておられる方です。恐らくミセッティのことはすでにご存じのはずですわ。マリーのことも知っていたようですし」


「あ~、そうかも知れないわね。私のところまでアイラちゃんが聖魔法とテイマーに目覚めたって情報が入ってきてるぐらいだから大人たちの世界ではもう噂が広まっていたか~。貴族社会って怖いよね~」


「ゴブ~」(でもいい人だったゴブ。魔物であっても差別されなかったゴブ)


「アイラ様が大事にしている従魔だと気づいていたのですね~。さすがです~」


「マーリン子爵様は学者系派閥で私たちとは少~し仲が悪いけど大人の対応をしてくれたのか~。一つ借りが出来てしまったわね~」


門をすんなり通してもらった安堵からか、きゃっきゃっと騒ぎながら大通りを歩く。

こそこそせずに堂々と歩けるのはいいことゴブ。


~~~~~

「コスタリア家に隠し子あり。三女のアイラ嬢よりも年下で現在4,5歳と思われる長男である。奥方が認知されているかは不明だが姉妹で学園を訪れるなど子供間では関係は良好な様子。耳がやや尖っており純粋な人族ではないと思われ継承権については判断がつかない。ハーフエルフの可能性があり、情報を拡散する際はシャリナルルア大森林共同体と軋轢が生じないよう充分に配慮されたし」


「よし、とりあえずはこの程度の情報で良しとするか」


通信の魔道具、伝書鳩、人伝手の伝言、あらゆる手段で情報が拡散され、

その日、いや半日もしないうちに貴族間に噂が広まっていったのだった。


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