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第55話 お嬢様誘拐事件3

今度は表通りから少し奥に入った場所にあるそこそこ大きな屋敷だった。


「ここっすか?今度は間違いないっすよね」


「ゴブゴブ」(反抗的で邪悪な気配が集まっているゴブ)


ばんっ、と勢いよく扉を開けて中に入る。


「お嬢様を返してもらうっす!ここにいるのは分かっているっすよ!」


何かさっきよりも陰気な奴らが一斉にこちらを振り向いた。


「くくく、えらく威勢がいいのが乗り込んできたな」

「ここが闇魔法ギルドと分かって来てるのかねぇ」

「新しい実験を試してみたいと思っていたところだよ、活きのいいのがきたねぇ」


次々と薬瓶や袋が投げつけられる。

足元から草の蔓っぽいのが伸びて拘束してきた。


「さぁてどこのバカだか知らないがここに来たのが運のつき・・ぐべぁ!」


ひょこひょこと近づいてきたフードを被った男をライアンが切り飛ばす。


「な、なんだてめぇ。まだ動けるのか!」

「おれの拘束魔法が効いていない!」

「おれの睡眠魔法も無効化されているぞ!」


驚き狼狽している7,8人を一瞬で切り刻んでおとなしくさせた。

毒も麻痺もすぐに浄化して無効にしているゴブ。

拘束魔法や精神魔法も結界で完全に防いでいるし死角はないゴブ。


こいつらぺらぺらとよく喋るわりに一撃で気を失っているゴブな。

体格もよくないし魔法使い系のチンピラってところか。


「お嬢様を早く連れてくるっす」


「げぶぶ、だからさっきから何なんだよぉぉ、お嬢様ってのは!」


インテリ系チンピラさんたちの中で一番服装が上等そうな男を捕まえて尋問を始めた

質問の前に剣をぶっ刺すのはよくないことだと思うゴブ。

まるで奇跡のつるぎが拷問用に製作したみたいになっているゴブ。


特に有用な情報を得られないまま1階の男たちは気絶してしまった。


「しょうがない、2階に行けばボスがいるっすか。そこでまた聞くしかないっす」


2階に上がり廊下をずんずんと歩いていく。結構奥に細長い感じですね。

さっきからまた同じように魔法やら毒の霧やらがまわりから掛けられているがとりあえず無視ゴブ。

一番奥に装飾が豪華な扉が見えた。

なんかさっきと同じゴブな。

チンピラなりに格の違いをまわりにアピールしているのかゴブ。


少し身なりのいい若い奴がわたしたちより先に走っていって扉を開けている。


「ボス!大変です!魔法もクスリも効かねえヤバい奴が乗り込んできて・・・ってあれぇ?ボスがいない?転送陣が光っているし・・・うわっ爆弾がセットされてる!」


チッチッチッ・・・ドドンッ。


どうやら扉を開けるとすぐに爆発する爆弾が仕掛けられていたようだ。

転送陣がどうのとか言っていたからボスはもう逃げてしまったようゴブ。

さすがインテリ系チンピラ、危険を察知して勝てないと分かると逃げ足も早いな。

部下をあっさり捨てていくとはなかなかやる奴ゴブ。


「え~っと・・・降参します。すみませんでした。僕たちで出来ることがあれば全面的に協力しますのでこれ以上うちを荒らさないでください」


気絶から回復した奴らもボスに逃げられたことが分かって急に従順になったゴブ。

分かるよその気持ち。信頼していた上司に裏切られ自分で責任を取らされるハメになった哀れなサラリーマンは会社への忠誠心はゼロになってしまうものゴブ。


「ここも違ったっす。ああ、別に探し人がいなければそれでいいっすよ。特に個人的なうらみとか無いっすから。他に人攫いしそうな組織とかあるっすかね」


「あ~、うちは魔法と薬を生業としていますが・・・あと大きな組織としては娼館を仕切っているドノバン一家と賭博関係を仕切っているサイモン一家ぐらいですね」


最初に行った派手な建物にはドノバンと看板が上がっていたような気がするゴブ。


「ドノバン一家はもう行ってきたから次はサイモン一家の場所を教えてほしいっす」


「ええっ、貧民街最大のドノバン一家を潰してきたんですか!さっ、さすがゴブリン騎士の兄貴ですね~。いや~うちが瞬殺されるはずですよ~。へへへ」


何か妙な称号を付けているゴブ。

騎士がゴブリンを装備しているのではなくて、ゴブリンが騎士に騎乗しているのに。

例えるならゴブリンライダー(騎士)とでも呼んでほしいところだゴブ。


~~~~

「朝早くから邪魔するっす。うちのお嬢様がいたら返してほしいっす」


貧民街のほぼ中心にあったサイモン一家のアジト兼賭博場に乗り込んだ。

夜に開催される賭博が稼ぎの中心のため、人影が少ないな。


「ああん?小僧、朝から物騒なもん振り回して人探しだとぉ?ここは領主様の威光も届かねぇ違法賭博場だ、遊びたかったら鎧を脱いで現金をたんまり持ってきな」


「やっぱ何か知ってそうな人は2階っすよね~」


ライアンもかちこみ3回目ともなると慣れてきたのか、1階でたむろしているザコや中間管理職レベルからはたいした情報を得られないことを勉強したようだな。

さっきからかっこつけているおっさんを無視して階段のほうへ歩きだす。


「おいコラ、てめぇ無視してんじゃねぇ。そっちは関係者以外・・・ぶふぇ!」


階段を上がろうとしたライアンの肩をつかもうとしたおっさんを振り向きざまに頭から縦に両断した。

もちろんヒールが掛かるので切ったところから繋がって回復しているが、切られたおっさんはショックで口から泡をふいて気絶してしまった。


「うわぁぁ!タマキンさん、大丈夫ですか!何しやがる!てめぇ」


何か後ろから怒号が浴びせられモノが投げつけられてきているが無視ゴブ。

かっこつけていたおっさんの名前はタマキンっていうのか・・・。

まあ、そのへんはどうでもいいゴブ、お嬢様を探すゴブ。


「てめぇ、さっきから俺らを無視してんじゃねぇ!ぐはっ」

「やりやがったな!生きてここから・・げぶっ」


どこの組織も自分の力量を知らず突っ込んでくるバカはいるもんだゴブ。

こちらは聖魔法レベル7の身体強化に結界、浄化で武装しているから下町のチンピラごときではキズひとつ負わないゴブ。


向かってきたザコたちを切り飛ばしながらボス部屋へ向かう。

一番奥にある装飾された扉があるのがボス部屋だ、もう定番すぎて飽きてきたゴブ。

ライアンの奴も同じパターンばかりで面倒くさくなってきてるな。


「ちょっとお邪魔するっす」


部屋の中には太ったおっさんと神経質そうな眼鏡をかけた若者が声もださずに座ってこちらを見ている。


「お嬢様はいないっすね。奥の金庫室も調べさせてもらうっす」


2人の横を通り過ぎて金属でできた金庫室の扉を剣で切り開く。

ごとん。と重たい音を出して扉が倒れた。


「う~ん。中には金貨ばかりでお嬢様がいるようには見えないっす。やっぱりここでもなかったようっすね。邪魔したっす。うちらはもう帰るっす」


「お、おう。気を付けてな・・・」


幹部っぽい2人は椅子に座って硬直したままわたしたちを見送った。

さんざん邪魔してきた奴らも帰りは大人しくわたしたちを見守るだけだった。


はぁ~。ここも違ったゴブ。

もうこの町で悪意が集まっているところは無さそうゴブ。


「朝からアジトを3つ潰してちょっと疲れたっす」

「ゴブ~」(こっちも聖魔法を掛け続けてピリピリするから休みたいゴブ)


とりあえずここに来るときにあった教会にでも寄って一旦休憩ゴブ。


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