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第48話  ダンドール子爵家ご来訪3

「でもここまで印象が変わったら別人だと疑われてしまわないのかしら?」


鏡の前で確認している満足げなエレノア様を見ながらアイラお嬢様がつぶやいた。


「問題無いと思います。貴族の方々は産まれてすぐに魔力属性と波長を貴族院に登録いたしますからご本人であることは間違いなく証明されるでしょうね」


出来るメイド、カタリナさんが説明する。


「貴族は正当な血統が大事ですから、他人との入れ替わりや姿形を似せる魔法や薬などで成りすましを防ぐために貴族院で管理されているのですよ。600年前の建国当時は魔族が国の中枢に入り込もうと貴族に成りすまそうとした事件もあったようですし。生まれ持った属性と魔力波長は成長しても変わらないことが研究されてからそんなことは起きなくなったようですが」


へぇ~。指紋みたいなものか。魔力にも個人の特色が出るもんなんだな。

こっちの世界ではそれで犯罪の証拠とかにして検挙しているのか。


でも今回のエレノア様は少し調子に乗ってやりすぎた感があるゴブ。


「ゴブ」(もう一回ベッドに横になるゴブ)


「エレノア様、ミセッティがもう一度ベッドまできてほしいと言っています」


「はい、分かりました。少しまだ体はだるいけど本当に感謝していますわ」


エレノア様がベッドにゆっくりと横になられた。


「ゴ~ブ」(勘違いしてやりすぎたので元に戻すゴブ)


「乙女にする意味を間違えたので元に戻すそうですわ」


「!!!」


お嬢様が言い終わる前にエレノア様が跳ね起きてわたしを両手で突き飛ばした。


「ギャブ~!」


わたしはベッドから転がり落ちてころころと回転し壁に激突してしまった。

痛いゴブ。

顔色が悪くだるそうだったのにすごい力だったゴブ。

元気じゃないかゴブ。


「ミセッティ?大丈夫ですか。ものすごく吹っ飛んだんですけど」


「ゴブ~」(急に突き飛ばされてびっくりしたけど別に問題ないゴブ)


「ミセッティちゃん。急に起き上がってごめんなさいね。危害を加えるつもりはなくってよ。ただ今の姿になっても支障はありませんから余計なお気遣いは不要ですわ」


エレノア様がダンドール夫人の後ろに隠れながらこちらを凝視しながら話す。


めっちゃ警戒されてますわ。元に戻してあげようとしただけなのに。


「ミセッティ、エレノア様はこのままでも良いのではないでしょうか。辛い体験をされ1か月も泣かれていたのです。少しぐらい綺麗になっても罰は当たりません。むしろ女神様がかわいそうな乙女に慈悲をくださったということにして・・・」


アイラお嬢様は優しいですな~。さすがわたしの主人役をしているだけはあるゴブ。


「そそ、そうですわ~。きっと私が断食をしながら祈りを捧げていたのをセレスティア様がご覧になって慈悲と祝福をくださったのですわ。アイラちゃん、セレスティア様とつないでいただきありがとうなのですわ~。これはつらい思いをして試練を乗り越えたご褒美なのですわ!」


部屋に引きこもって食事が喉を通らなかったことがだんだん美化されているゴブ。

まぁ元気になったからいいけどゴブ。


「私も、私も食事を控えてセレスティア様に毎日お祈りを捧げておりましたわ!それも一日の半分以上も!寝る時間もこれまでの半分くらいになっておりましたし」


ダンドール夫人がまた騒ぎ始めたゴブ。

この人もさっきまで歩くのもだるそうだったのに急に元気になってきたゴブ。


ちらりとお嬢様と奥方様の方を見てみる。


「ふふふ、まぁエレノア嬢の変貌をこう近くで目の当たりにしてしまうとね・・・気持ちも分からなくはないですわね」


「女性としてはいつまでも美にはこだわりたいものですしね」


奥方様とカタリナさんはダンドール夫人の感情が理解できるようだ。


「さっきから気にはなっていましたがサイメリア様も以前より若々しくより美しくなっていますよね!?わざとシワのような化粧をされてごまかされているようですが近くで見ると少し前より全然違いますわよ?」


「え、あ~、ほほほ。私はまだ年齢まではいじっておりませんし・・・余分なお肉を少しだけとってもらっただけですのよ」


「《《私は》》」「《《まだ年齢は》》」」「《《余分なお肉を》》!」


ダンドール夫人は気になる単語があるようだ。


「つまりエレノアやサイメリア様の他にも施術を受けた方がおられるうえに年齢や体形までも手を加えることが出来るということなのですね!」


なかなか鋭い読みゴブな。

さすが貴族ゴブ。


「ミランダ・ダンドール夫人は商家出身の第2夫人ですが海運を担うダンドール家の商業部門を取り仕切り、ここ数年でダンドール家の資産を倍にした女傑ですからね。つい先程までは落ち込んで弱っておられましたが本来はかなり活発で聡明なお方なのです」


カタリナさんがわたしとお嬢様にこっそり教えてくれた。


「くぅぅ、こんなことならもっと金貨を持てるだけ持ってくるべきでした。こうなったらダンドール家に嫁いだ時にお母様からいただいたこのネックレスを差し出して」


「お母様?!それはダンドール家の家宝です。まずいですわ!」


「エレノア、あなたは生まれ変わったからそう簡単に言えるのです。女には宝石や金貨で買えない大事なものがあるのです。むざむざ機会を逃す手はありませんよ!」


「ほほほ、宝石や金貨より価値のあるものがありますわ。私たちの両家は敵対派閥同士とはなっておりますが《《個人的な》》友情までは禁止されておりませんもの。

あくまで家の代表ではなく《《友人として》》交流や情報共有することはよくあることだと思いますわ」


奥方様がダンドール夫人に優しく話しかけている。


「そうですわね。あくまで《《個人として》》のお付き合いは女同士よくあることだと思いますわ。派閥を越えた《《個人的な》》友情などね」


「ふふふ・・・おほほほっ」

「お~ほっほっ」


二人の高笑いが離れの屋敷に響く。どうやら交渉は成立したようだ。


「ゴブ」(では話がまとまったところで早速施術するゴブ)


「ミセッティがダンドール夫人に施術をするって言っていますわ。今回は珍しく察しがいいですわね」


「ゴブ」(任せるゴブ。夫人の願いは分かっているゴブ)


「よろしくお願いいたします。これで私も・・・あぁ・・・楽しみですわ!」


わたしは夫人の下腹部に手を差し伸べ聖魔法を発動させた。


聖魔法レベル6 [復活]エクスヒール


「ゴブ」(これで処女に戻ったゴブ)


「きちんと処女に戻せたようです???・・・これで良かったのかしら?」


お嬢様が首をかしげながら説明した。


「いいわけあるかぁぁぁ!この年で処女になって誰が喜ぶんじゃぁぁ!見た目を良くしろってんだよぉぉ!!」


なんかブチ切れられて首を絞めらているゴブ。


「ゴ、ゴブ~」(苦しいゴブ~。もう何がなんだか分からないゴブ~)

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