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第43話 戻ってきました侯爵家3

「うぅ~。まだ昼前なのにどっと疲れました~。みんな逃げてひどいです~」


お嬢様の質問をなんとかうまくかわそうとしてお花に付いているおしべとめしべという定番の話や創造の女神の慈愛に満ちた人類創生の神話などでごまかそうとしたが、

お嬢様の純粋かつ切れ味のするどい質問の前に結局かなり具体的な説明をすることになったらしい。


「まだわたしも人から聞いただけなのに~。くわしく説明出来るわけないですよ~」


「まぁ私もいつまでも子供でありませんから、赤ちゃんがお母様から産まれることは理解していますわよ。つまりもうすぐ私に弟か妹が出来るということですよね」


「ぶぇ!?い、いや~。いきなり妊娠されたりはしないんじゃないかな~。あはは」


「うん?男女の交わりは子孫繁栄のために女神様より命じられた神聖な行為だと今しがた教えてくれたじゃないですか?」


「う~、え~。それはそうなんですけど~。子供を作らないまでも夫婦で愛を確かめ合うというか~、楽しむというか~。ふぇぇ~ん、もう勘弁してください~!」


マリーは半泣きでまわりに助けを求め始めた。


「ふふふ、アイラちゃんも好きな人ができたらいつまでもおしゃべりし続けたいとか、手をつないで歩きたいとか思うでしょう?それと同じようなものよ」


「なるほど、その気持ちは何か分かる気がします。素晴らしいことですね」


奥方様の説明にアイラお嬢様も共感することがあったようだ。


めでたし、めでたしゴブ。アイラお嬢様も少し大人になったゴブな。


「・・・私にばっかり具体的な説明させてズルいです~」


ぽんこつメイドが何かつぶやいているが無視ゴブ。


「ううぅ~。おかげで今日の私の掃除当番の場所が全然進んでなくて怒られます~。

お昼までにお部屋ひとつ掃除しなければいけませんのにあと1時間もありません~。絶対間に合わないです~。ミセッティ様~手伝ってくださいよ~」


「ゴブゥ~」(こっちも金貨を磨いたり忙しいゴブしな~)


すぐに人に頼るぽんこつメイドだが今回はお嬢様の大人の階段を上るのに一役かってくれたしな。しっかりと細かく説明していたのは高評価をやるゴブ。


「ゴブ」(ちょっとその雑巾を貸すゴブ)


ぽんこつメイドの持っている薄汚い使い込まれた雑巾を手に取った。


「ゴブ!」(聖魔法レベル5[祝福])


[祝福]は聖魔法効果を物体に定着させる魔法。これで掃除がはかどるはずゴブ。

簡易鑑定で効果を確認してみる。


祝福されし雑巾(レベル7)

・ふれたものを浄化する。汚れ、毒、呪いなどを取り除く。

・しぼった水は聖水になる。


うん。まぁまぁ成功ゴブ。見た目は小汚いボロボロの雑巾のままだが。


「ゴブ」(これで仕事の効率があがるはずゴブ)


「これで仕事がはかどるはずと言っていますわ。・・・また大騒ぎにならなければ良いのですけど。今回は私が長い時間お話をさせてしまったのが悪かったですが、何かする時は事前に相談してほしいですわ」


お嬢様は心配性ゴブな~。汚い雑巾1枚で出来ることなんて知れてるゴブ。

それに使うのがぽんこつメイド筆頭のマリーですからな~


「これを使えば水仕事で手が荒れることが無さそうです。ありがとうございます~」


「ゴブ」(この御礼はベッドの下に隠し持っているクッキーでいいゴブ)


「マリー・・・。あなたお客様にお出しして余ったお菓子をベッドの下にため込んでいるのですか?はしたないからもうおやめなさい」


「うひぃ?なんでそれを知っているんですか?!先輩にもバレていないのに!」


~~~~~ カタリナ視点

アイラお嬢様たちが部屋から出られてしばらくして奥方様から話しかけられた。


「ところでカタリナ、あなた実家とは手紙をやりとりしていますわよね」


「はい、実家とは季節の変わり目ごとに向こうからも手紙がきますので近況を手紙にして返しております。実家といってもうちは近いですから。乗合い馬車でも王都を経由して3日で着きますし、早馬で駆ければ1日の距離ですからね。最近はお見合いの催促もなくなり世間話だけですが・・・」


「あなたの実家は私たち軍閥とも内政派とも距離を置いた中立派でしたよね」


「ええまぁ、そうですね。あえて言うならば国王派といったところですね。現国王の意向を最優先に派閥に加わらない一派という感じですね。それぞれの利害関係でのお付き合いはあると思いますが」


「その付き合いの広さを見込んで内政派閥のダンドール子爵家の奥様に手紙を届けてもらえるようご実家にお願いできないかしら?」


「ダンドール子爵といえば内政派閥筆頭のカマエール公爵の側近ではないですか!?そのような敵対派閥のそれも奥様に直接手紙とは・・・可能だとは思いますが」


「ダンドール子爵の令嬢の噂はあなたの耳にもはいっているかしら?」


「えぇと噂ですか?1か月ほど前に誘拐事件に巻き込まれそうになったとかですか?

未遂で終わってこともなく済んだとか、そのことでショックを受けて体調をくずされているとかでしょうか」


「まぁ半分は正解ね。上流貴族ではもう情報が行き届いているようですが、どうやら未遂ではなく誘拐されてしまっていたそうなのです。そのことでご令嬢は深くキズついて学園にも社交の場にも姿をみせられないとか」


「う~ん。でも確か貴族院で純潔証明の発行とか出来ましたよね。悪い噂がたっても証明書を出せば済む話なのでは?」


「それが出来ないから困っているのではないかしら」


「まさか!そんなことが!誘拐された時にキズつけられてしまったというのですか

子爵家令嬢がお供も無しに出歩くことはないはずでしょうに」


「この話には裏があって、遊び人でどうしようもない婚約者に苦言をのべた次の日に事件に巻き込まれたようね。噂話もどうやら意図的に広まっているようですね」


「くっ。面倒な婚約者を合法的に婚約破棄してのうのうと次の女に手を出そうとするなんて・・・クズのやることですね」


「この件は王妃様も心を痛めておられるようですから何らかの動きがあるに違いありません。それより、キズついた令嬢を文字通り治すことが出来るならどうします?」


「はっ!お嬢様とミセッティの聖魔法ですか。部位欠損の修復で乙女の復活ですね」


「そんなこともあろうかと私自身で確かめましたが問題なさそうです。このことを早くダンドール子爵家に秘密裏にお伝えしなければいけません。これは派閥争いの外での出来事。派閥など関係無い同じ女性としての義務なのです」


「分かりました。早馬にて手紙を届けさせます。私のお母様であればダンドール子爵家奥様ともお付き合いがあったはず、必ず正確にお伝えさせていただきます」


「奥方様がしっかりと2度目の初体験を経験されたことを詳しく手紙にいたします」


「・・・封をする前に必ず私に見せるのですよ」

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