第37話 辺境伯家7
護衛の女騎士に仰向けの状態で棒で首を押さえられているゴブ。
「貴様、貴族の婦女子の寝所に無断で入り込むことの重大さを分かっているのか!」
「ゴ、ゴブ!」(違うゴブ!決して寝所に入って悪さをするつもりは無かったゴブ)
「少し失礼」
ベテランの貫禄をもったメイドさんが丸まっている服の裾を広げた。
「ゴ、ゴブ」(あっ、そこはマズいゴブ)
チャリンチャリリン。
金貨が10枚ほど床に散らばった。
「金貨・・・ですね」
「ゴッ・・ゴッ・・・」(ちっ違っ・・・)
動揺して言葉が詰まってしまうゴブ。汗が止まらないゴブ。
「貴様ぁ!寝所に忍び込むだけでも重罪なのに盗みまでしていたとは!」
「従魔の不始末は契約者の責任。残念ですがこれはアイラお嬢様にも何らかの処罰が下されますね」
「ゴブー!」(そ、そんなー!非常にマズいことになってしまったゴブ)
わたしはやってしまったことの重大さに今さらながら気付いて絶望しガタガタと震えだしてしまった。
「あらあら~。何ですか騒々しいですね。今宵はお客様も滞在されているのですよ」
寝巻姿の辺境伯の奥様が隣りの部屋から笑顔で出てこられた。
「はっ。このゴブリンが奥様の寝所に入り込み、奥様に危害を加えようとし、さらにはお金を奪い逃走しようとしたところを捕まえた次第でございます」
「あらあら~。それは大変なことですね~。ゴブリンさん、本当なの?」
「ゴブブ、ゴブブブ!」(誤解ゴブ!決して危害を加えようだとか盗もう・・は少し合っているゴブが・・・違うんだゴブ!)
「ゴブゴブと何が言いたいのかさっぱり分かりませんね。こちらの言っていることは理解出来ているようですが・・・(話の通りですね)コソコソ」
「(うむ、自分の置かれている状況も理解出来ているようだ。ここまでくれば後は奥方様に任せてよさそうだな)コソコソ」
「とりあえず押さえている棒を外してあげなさいな。もう反省しているようですし」
「ははっ。おいゴブリン、自由になったかといってさらなる狼藉を働くなよ」
首元を押さえていた棒が外され拘束から自由になった。
「ゴブ!」(すみませんでした~!)
とりあえずすぐに土下座の姿勢になり謝罪をしたゴブ。
ほんの出来心だったんだゴブ・・・。
「ゴブリンさん、貴族の部屋に勝手に侵入したりましてや盗みをするのは重罪になるのよ?この件は正式に辺境伯家からコスタリア侯爵家の方へ報告し抗議することになるわね・・・」
「ゴブ~」(ううぅ、とんでもないことになってしまったゴブ)
「でも今は真夜中でみんな酒盛りのおかげで起きている人もいないし、このことを知っているのはここにいる私と護衛騎士と傍仕えのメイドだけです。彼女らは私が最も信頼する者たちで、私が命令すれば決してこのことを振れ回ったりはいたしません。この意味が分かりますよね?」
「ゴッゴブ!」(本当ですか!内緒にしてくれるゴブ?)
思わず飛び上がって奥様に詰め寄ってしまった。
「おい、貴様また」
護衛騎士が構えるのを奥様が左手ですっと止める。
「ゴブリンさん、それでもあなたの罪が消えるわけでは無いのよ。私たちも貴族の端くれ、自分たちに利益にならないことは許可しづらいのです。何か私たちにしていただけることでもあるのかしら?」
「ゴブ!ゴブブ!!」(聖魔法で回復や修復が出来るゴブ。本気を出せば美容整形的なことも出来るゴブ!)
「う~ん、何を言っているかは分かりませんがこれでサイメリアと同じ処置を受けれるということかしら?」
「ゴブ!」(本気で誠意をもってがんばるゴブ!)
とりあえずわたしが役に立つことを証明して犯した罪を許してもらうゴブ!
隣りにいた若干白髪まじりのメイドさんに[神界]を発動させた。
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「あらあら~、まぁまぁこれは思った以上の結果ですわ~」
そこにはどこの貴族の若奥様かと見間違えるメイドさんが立っている。
「これが・・・本当の私だったのですね・・・」
「ゴブ!」(本気を出せばこんなもんゴブ)
[神界]の発動結界内でやれることを全てやったゴブ。
まずは年齢欄を43から23に改ざん、体形を男性を惹きつけるであろうメリハリがしっかりあるナイスボディに、顔つきも少しきつめな目は残しつつ目をぱっちり、鼻筋もすっきり、唇もふっくらそして顔全体のバランスを整えて完成ゴブ。
見る人が見ればちゃんと本人と分かる程度にするのがテクニックなのだゴブ。
「なっ!ちょっと。これは・・・。奥様には危険かも知れません。私でもう一度試してから問題無いことを証明しないとまずいですよね!奥様よろしいですよね!」
「・・・魔力の残量などは問題ないのかしら}
ちらっとこちらを見る奥様。
「ゴブ!」(問題無いゴブ。まだまだ大丈夫ゴブ)
[神界]発動!!
まずは年齢欄を30から20に改ざん・・・以下省略。
「くはっ。鎧がきつい!」
護衛騎士さんが慌てて上半身の鎧の調整ベルトを緩めだした。
少し胸のサイズを盛りすぎたか?ほぼぺったんだったからな。サービスしたゴブ。
「おーほっほっほ!!あら、いけませんわ。こんな真夜中に大声を出してしまいました。はしたなかったですわ。ゴブリンさんあなたの犯した罪を許しましょう。そして今度は私に誠意をもって処置をするのですよ?」
「ゴブー!」(奥様が女神のように見えてきたゴブ。全力で頑張らしてもらうゴブ)




