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第33話 辺境伯家3

医務室につくとひげもじゃで体格のいいおっさんがタバコをふかして座っていた。

片目で片足が木の棒の義足になっており、医者というよう山賊の親分だゴブ。


「お医者さん・・・なのでしょうか?」


お嬢様がつい口に出してつぶやいてしまった。


「がはは!オレが医者に見えるかよ。オレはこのポーション保管庫の管理人だ。水魔法が使えるからひどいケガの時は回復させてやってるけどな。あまり期待しない方がいいぜ。なんだぁ坊ちゃんがケガなんて珍しいことがあるもんだ」


「ああ、私も手段を問わず負けられない時もあるのさ。まずは彼女に中級ポーションを出してやってくれ」


明らかに自分の方がひどいケガなのに、イケメンは中味もイケメンだな。


「そんな、サミエル様から先に治療を受けてください。私はどこもケガをしておりませんので・・・しかも中級ポーションなんて」


誰だよ!ってマゼンタ嬢でした。もう先程からヨメな感じがすごいゴブ。


「未来の奥さんに万が一のことがあってはいけない。どうか使ってください」


真っ赤になってうなずくマゼンタ嬢。今のはプロポーズなのかゴブ?

こっちではプロポーズに指輪とかでなくポーションなんだゴブね。


「何度も言っていますが違いますし、私はされたらイヤですわよ」コソコソ


もう2人の世界を邪魔しても悪いゴブ。ささっと治して訓練場に戻ろうゴブ。


「そうですね。ミセッティ、回復魔法をお願い。そして戻りましょう」


「ゴブ」(分かったゴブ)


「この左手のキズは決して消えないあなたとの初めての出会いの記念です」


「サミエル様・・・」


「ゴブ」(はい、ヒール。治療完了ゴブ)


「さお、戻りましょう、ミセッティ」


もうこの空間に耐えられないゴブ。


お互い見つめ合う2人を残してわたしたちは速やかに退室したゴブ。


もちろんサミエル様の左手はキズ跡ひとつ無いように完璧に治癒したゴブ。


一生残るキズが絆の証とか意味が分からないゴブ。



訓練場に戻るとさらに地面に血だまりが増えているゴブ。


5対5の一騎打ちの最後の試合がちょうど終わったようだ。


「くは~。やっぱり辺境伯の騎士はレベルが高いっす。結構ヤバかったっす」


勝敗は辺境伯側が4勝、こっちはライアンだけが勝利したようだ。


「さすがは国境最前線の防衛を担う騎士たち。実力は噂以上ですね」

「我が騎士も決して軟弱ではないがこちらの騎士たちは頭一つ抜けておられるな」


奥方様とハッテンダム子爵も結果に異論は無いようだ。


「よおぉし。ここからは儂が相手じゃぁ。てめぇら全員でかかって来い!!」


ハイランダー辺境伯が両手に片方ずつグレートアックス(両手用斧)を持って吠えた。完全にバーサーカーですな。


「おっしゃぁ~。久々にお館様と百人組手じゃ」

「今日こそ一撃入れて見せる!」

「ぶっ殺してオレは自由の身に戻るぜ!」


殺気全開の辺境伯の部下たちが一斉に辺境伯へ切りかかる。


「甘ぁーい。まだまだぁ!気合が入っとらんぞぉ!!」


斧が振り回されるたびに何人かが吹っ飛ばされていく。


いつまでこのノリが続くゴブ。何か精神的に疲れてきたゴブ。


「アイラちゃん、ミセッティちゃん。回復をお願いするわね」

「辺境伯と剣を交わすことが出来るとはこの上ない機会である」


奥方様とハッテンダム子爵も参戦されるようだ。

これはこちらも回復に本気を出しますかゴブ。


「ミセッティ。私たちも後方で回復が遅れないようにしますわよ」


お嬢様もやる気のようだ。お嬢様も充分軍閥派閥の脳筋です。

魔法を使うのはわたしですけど。


死屍累々の重傷者たちを片っ端から回復させていく。


「ゴブァ!」(おらぁ。回復させた奴から戦線に復帰しろ!)


「さあさあ、回復しましたよ。まだ戦えますか?」


お嬢様とわたしがいる限り手足の1本2本失くなっても即、戦線復帰させるぜ。


ゾンビアタック開始だゴブ。

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